【鼠の落日】

どんなに辛い過去があっても、今が最高に素敵な日
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雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

ある日の宿毛湾 子日は手を握り締めながら夕日を眺めていた 瑠奈花「やあ子日」 子日「あっ提督!こんばんは!」 瑠奈花「はは、まだ夜には少しばかり早いな」

2015-02-22 02:14:59
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瑠奈花も子日と一緒に夕日を眺めていた 瑠奈花はふと、子日が手を擦っていることに気がついた 瑠奈花「…子日。私を恨んでいるか?」 子日「えっ?どうしたの急に?」 瑠奈花「その手のことだよ」 子日は自分の手を見つめてようやく思い出したようだった

2015-02-22 02:15:40
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子日「恨んでなんかないよ!むしろ感謝してる!ここに来てから毎日が素敵な日だよ!」 瑠奈花「…そうか」 瑠奈花は子日と一緒に座り込んだ 瑠奈花「今日はこのまま夕日を見ていよう。そんな気分だ」 子日「…うん!」

2015-02-22 02:16:17
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〜数ヶ月前・呉鎮守府第〇司令部〜 瑠奈花は憲兵を引き連れ、呉鎮守府を訪れた ライトセーバーという強力な武器を持つ瑠奈花は時折大本営から、軍規を犯した提督を拘束する任務を受けることがあった 今も、この呉鎮守府のとある司令部が麻薬の密輸を行っていたとして検挙されたのだった

2015-02-22 02:16:58
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瑠奈花「憲兵殿、状況は?」 憲兵「艦娘の反乱はほぼ鎮圧できそうです。おそらく皆、麻薬中毒で言いなりにされているのでしょう。ひどい話です」 瑠奈花「そうだな…提督は執務室にいるかな。私が向かう」 憲兵「完全に鎮圧できたら合流します。お気をつけて」

2015-02-22 02:17:42
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〜執務室〜 瑠奈花「失礼しますよ」 提督「き、きたな…!」 執務室にはこの司令部の提督と一人の艦娘がいた 瑠奈花「艦娘を麻薬の密輸に利用するとはよろしくありませんな。大本営の名のもとに貴方を拘束する」 提督「さ、させるか!やれ、子日!」

2015-02-22 02:18:39
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瑠奈花の前に小さな艦娘が立ちはだかった 見たところ薬は打たれていないようだった。連装砲を構えてきたが、手足は震えて力は入っていない。単に恐れているだけのようだ 瑠奈花「君の提督は悪いことをしたんだ。私は彼を捕まえなければならない。通してくれるかい?」

2015-02-22 02:19:24
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子日と呼ばれた艦娘は俯き、何も言わずに道を開けた。瑠奈花は提督の元に歩き出す その時、提督は乱暴に叫んだ 提督「何をしてるんだ!この役立たずめ!この男を始末しろ!」 子日はビクン!と体を震わせ、再び連装砲を構えて瑠奈花の背中を撃とうとした

2015-02-22 02:20:04
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しかし、瑠奈花の方が早かった。瑠奈花はライトセーバーを機動して振り向き、緑の光刃が子日の両手を切断した 子日「ッ!?」 提督「ひい!?」 子日は大きな悲鳴を上げることもなくその場に倒れた。ショックで気を失ってしまったようだ 瑠奈花「…ッ!」

2015-02-22 02:21:04
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「憲兵だ!動くな!」 憲兵達が次々と執務室に入ってきた。外の鎮圧が終わったのだろう 憲兵「瑠奈花殿、これは一体…?」 瑠奈花「彼を拘束してください。腰を抜かして動けない筈です。こちらの艦娘はすぐに病院へ」 憲兵「なんということだ…」

2015-02-22 02:21:37
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憲兵達が提督と子日を連れて行くのを瑠奈花は黙って見つめていた 憲兵「やってしまいましたな…瑠奈花殿」 瑠奈花「そうですね…」 憲兵「あれは正当防衛です。貴方が罪に問われることはないでしょうが…」 瑠奈花「…私なりのやり方で責任は取るつもりです」

2015-02-22 02:22:19
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〜呉鎮守府・工廠〜 瑠奈花「明石、いるか?」 明石「あ!瑠奈花さんじゃないですか!」 瑠奈花「君に用があるんだ。丁度呉にいてくれて助かったよ」 明石「私に用事ってなんですか!?ライトセーバーの技術おしえてくれるんですか!?」

2015-02-22 02:22:57
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瑠奈花「ああ、好きなだけ分解して調べるといい、その代わり私の頼みも聞いてもらうぞ」 明石「やったー!ついにライトセーバーの謎が!で、頼みってなんですか?」 瑠奈花「ついて来い」 明石「あ、ちょ、ちょっとぉ!?」

2015-02-22 02:23:29
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〜病院〜 瑠奈花は明石に小さな箱を渡した 箱の中には金属の部品のようなものが入っていた 明石「何ですかコレ?」 瑠奈花「私の友人が開発した義手だ。これをあいつに、子日につけてやって欲しい」 明石「えっ、私がですか!?」

2015-02-22 02:24:06
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瑠奈花「医学の知識はあるだろ?」 明石「いや、まあそりゃありますけど…」 瑠奈花「医学と機械、両方に精通している君にしかできないんだ。頼むよ」 明石「…わかりました。やれるだけやってみますね。ていうかこの義手、ちゃんと動くのかな…」ブツブツ

2015-02-22 02:25:01
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〜数日後〜 瑠奈花「子日の様子はどうだ?」 明石「なんなんですかあの義手。まるで手が再生したみたいですよ。動きも感覚も元通りです」 瑠奈花は病室を見つめた。初春、若葉、初霜が見舞いに来ていたが、子日は不自然に笑って適当に言葉を返しているだけだった

2015-02-22 02:25:48
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明石「とりあえず手は大丈夫ですけど、精神面が問題ですねぇ。あの子前の鎮守府で虐待に近い扱い受けてたみたいで、だいぶ心を閉ざしちゃってますよ」 瑠奈花「子日はうちで引き取る。責任はちゃんと取るつもりだ」 瑠奈花「…別に貴方が悪いわけではありませんし、無理に背負わなくても…」

2015-02-22 02:26:26
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瑠奈花「いいんだよ。ただほっとけないだけなんだ」 明石「これも何かのご縁ですし、何かあったら力を貸しますよ。」 瑠奈花「ありがとう。助かるよ」 瑠奈花は明石に礼を言うと、病室へと入っていった…

2015-02-22 02:28:24
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〜回想終了〜 吹雪「そんなことがあったんですね」 日は落ち、周りはもう暗くなっていた。子日は瑠奈花の膝枕で寝てしまい、身動きの取れなくなった瑠奈花は彼を探しに来た吹雪に子日の過去の話をしていたのだった 瑠奈花「この手の仕事にはうちの艦娘は連れて行かなかったからね」

2015-02-22 02:28:50
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吹雪「でも子日ちゃんも今じゃちゃんと馴染めてますし、よかったですよね」 瑠奈花「そうだな」 吹雪「それより司令官」 瑠奈花「なんだ?」 吹雪「私も膝枕していいですか。いいですね?」 瑠奈花「残念、今日は子日の特等席だ。我慢しなさい」 吹雪「(*`ω´)ぐぬぬ・・・」

2015-02-22 02:29:13