- DD_LUNAKICHI
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あれは…2年くらい前のことかしら あたしはとんでもない失敗を犯したの 僚艦を沈めてしまったとか、物資を奪われたとか、その程度の事じゃない 対深海棲艦作戦の最重要拠点を奪われたのよ
2015-04-15 00:38:55南西諸島はかなり恵まれた海域だったわ バシー島やオリョール海の近くは敵の輸送艦がよく通過するルートに近くてね、燃料や弾薬、ボーキサイトといった基本的な資材を効率よく奪うことができたのよ 沖ノ島に泊地を建設したことで、敵の通商破壊が容易になったってわけ
2015-04-15 00:39:35当然深海棲艦もここを放っておくわけないわ だから沖ノ島含め南西諸島には多くの艦娘が配備された でも結局、沖ノ島は敵に奪われてしまったわ なんでそれがあたしの失敗かって? 当然でしょ…沖ノ島の攻撃を見抜けなかったのはあたしのせいなんだから…
2015-04-15 00:40:10あたし、実は戦闘はあまり得意じゃないの。いや、そりゃ出撃する時は「蹴散らしてやるわ!」とか言ってるけど とにかく、昔は苦手意識が強くて。それで、戦闘以外の事で何か役立てないかって思ったの それで思いついたのが、密偵だった
2015-04-15 00:40:54元々情報収集が得意でね、たまに一人で出撃して敵の情報を探りに行ったりしてたわ それがいつからか、敵の泊地に潜入するようにもなった 仲間を深海棲艦に変装させて、敵軍にスパイとして送り込んだ事もあったわね …友達がいたのが意外?うるさいわね!
2015-04-15 00:41:24そうしてるうちに、あたしの構築したスパイ網はかなり大規模になっていたわ あたしのもたらした情報は実際に役に立って、当時の提督や同僚、先輩達からも褒められて…嬉しかったわ でも…
2015-04-15 00:41:58ある日の夜、沖ノ島は深海棲艦の急襲を受けた みんな完全に油断してたから、沖ノ島はあっさり陥落。オリョール海やバシー島にいた兵士達も、指揮系統がめちゃくちゃになって混乱 南西諸島は僅か一夜にして、敵の手に落ちた その後のことは…今でもあまり思い出したくないわ
2015-04-15 00:42:51〜とある司令部〜 「沖ノ島が陥落だと…!曙!曙を呼べ!」 狭い執務室に怒鳴り声が響く。しばらくして、紫の髪の小柄な艦娘がやってきた 曙「お呼びですか…?」 「沖ノ島の攻撃に関する情報はどうした?」
2015-04-15 00:43:13曙「そのような報告は…ありませんでした」 「敵軍に密偵を送り込んでいるのではないのか?」 曙「はい…」 「ではなぜ沖ノ島襲撃の情報を掴めなかった?」 曙「それは…」
2015-04-15 00:43:54「…お前の情報はそもそも信頼できるのか?」 曙「え…」 「偽の情報を掴まされていたのではないのか?」 曙「こ、これはあたしの仲間が命懸けで手に入れた情報です!」 「思えば今までは上手くいき過ぎていたようにも思える。それにお前の仲間が信用できるのかもわからん…」
2015-04-15 00:44:26…その後のことは、あまり覚えてない 仲間を侮辱されて、ブチ切れて、提督に殴りかかったんだっけ… そんなことをして大丈夫なのかって?そんな訳ないでしょ 当然、その後は酷かったわ。上の連中には散々罵声を浴びせられ、すれ違う艦娘からも陰口を叩かれたわ 解体処分はなんとか免れたけど
2015-04-15 00:45:26漣達は、「今までのあなたの功績を妬んでるだけだから、気にしなくていい」って言われたけど… 仕事も与えられず、味方は姉妹艦だけ。あの頃は完全に干されてたわ かなり塞ぎ込んでたけど、潮が毎日励ましてくれて 正直潮がいなかったら、自殺も考えてたかも そのくらい追い詰められてたのよ
2015-04-15 00:46:11曙「転属?」 「ああ、上からの命令だ。新人の提督が着任したので、手助けをしてやって欲しいと」 曙「…要するに左遷でしょ?厄介者を追い払う口実ができたってわけね」 「曙…すまなかった。俺が不用意な事を言ったから…」 曙「…あんたみたいなクソ提督の元を離れられて嬉しいわ」
2015-04-15 00:47:06「そうか…元気でな」 曙「ふんっ!」 曙はそっぽを向き、執務室を出て行った 曙(次の司令部は、宿毛湾か…。ほんとに左遷じゃない)
2015-04-15 00:47:29〜宿毛湾〜 曙「…!?」 瑠奈花「君が曙だな。私が君の新たな上官の瑠奈花だ」 曙「ガ…ガキンチョじゃない…!」 瑠奈花「ん?」 曙「あ、いや…」
2015-04-15 00:49:04曙(呆れた…!僻地に左遷するだけじゃなくて子供の元に送りつけるなんて!) 瑠奈花「君には明日から艦隊に加わって哨戒に当たってもらう。今日はゆっくり休んでくれ」 曙「…わかったわ。それじゃ」 曙は明らかに不機嫌な声で執務室を後にした
2015-04-15 00:49:34瑠奈花「…なにか気に障ることでも言ったかな。高雄、どう思う?」 高雄「さ、さぁ…」 ...................................................... これがあたしの着任した経緯よ いや、ほんとにあの時はただのガキだと思ったのよ!
2015-04-15 00:50:10〜沖ノ島の戦いの数日前〜 瑠奈花は高雄を秘書艦に据え、彼女と共に執務室でひたすら電話をかけていた 最上、霧島、川内。皆南西諸島で孤立していたところを救った者達。瑠奈花が電話をしているのは彼女らの本来の司令部の提督達。 『あんたか!うちの最上を救ってくれたのは!』
2015-08-10 22:18:44瑠奈花「どうも、瑠奈花と申します」 『本当にありがとう。なんとお礼をしたらよいか…』 瑠奈花「それでしたら、1つお願いがあります」 ひたすら、とにかく電話をかけ続けた
2015-08-10 22:19:45『なんと…そんな無茶な。いや、あなたは最上の命の恩人、喜んで力を貸しましょう』 瑠奈花「それはありがたい。感謝いたします。詳細は後ほど、では」 瑠奈花「…ふう、疲れた」 高雄「提督…もうお休みになってください。ここ数日ずっとこんな調子では身体に悪いです」
2015-08-10 22:20:22瑠奈花「そういうわけにもいかない。後一歩、もう少しで沖ノ島攻略の足がかりを掴める。ここで頑張らなくてはな」 高雄「あなたが倒れては意味がありませんよ。程々に」 瑠奈花「わかってる。出撃中の艦隊が帰ってきたら今日は休もう」 瑠奈花は机に散らばった書類を整理しはじめた
2015-08-10 22:21:10高雄「出撃中といえば、彼女、どうにも馴染めてないみたいですよ」 瑠奈花「曙か」 曙。南西諸島の攻略に入ってから雪花の一員となった艦娘。少々気難しい性格で、仲間とも度々トラブルを起こしていた 瑠奈花「まあ、あれが彼女の性格なんだろうな」
2015-08-10 22:22:40