人口減少に苦しむA市への提言

教育格差が地域のガラの悪さにつながり、それが子育て世代の流出を招いているというA市。その対策を、限られた情報をもとに提言する。「塾に行かなくても学校の授業だけでトップ高を狙える」公教育の再生である。
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shinshinohara @ShinShinohara

子育て世代の流出が止まらず、人口減少が続くA市。これを食い止める提言をしてほしい、というのが今回のクロスオーバー21のお題だった。今、私が提言するのであれば「塾に依存しない公教育の再建」と地域のリーダー(ファシリテータ)の若者認定、を提案したい。これからその理由を述べよう。

2015-03-01 13:34:27
shinshinohara @ShinShinohara

A市では南北に教育格差の事実があり、南部は「ガラが悪い」イメージがあるために、子供が生まれると就学前に他の地域に流出する事態となっているという。ならば、南部の教育レベルの底上げを図ることが「ガラが悪い」イメージの払拭につながり、子育て世代の定着と人口減少の歯止めともなるだろう。

2015-03-01 13:38:41
shinshinohara @ShinShinohara

ではいかに南北の教育格差を埋めるか?その話をするために、「ゆとり教育」後に起きた現象を説明しなければならない。これは一般に語られるゆとり教育の問題とはかなり異質なので、先入観を持たずに聞いてもらいたい。

2015-03-01 13:41:16
shinshinohara @ShinShinohara

ゆとり教育開始後、大幅に授業数が減った。これが塾通いの激増を招いたのだ。「ゆとり教育では円周率を3としか教えないらしい」「そんな内容でうちの子は受験戦争に勝てるのだろうか?」塾産業がゆとり教育への不安を煽り、経済的「ゆとり」のある親はこぞって子どもを塾に通わせるようになった。

2015-03-01 13:44:17
shinshinohara @ShinShinohara

塾に通う子は授業より速く学習内容を終わらせる。学校の授業が退屈になる。親は「もっと授業のレベルを上げてほしい、受験戦争にこれでは勝てない」と学校の先生を突き上げる。学校教員もその声を無視できず、プリントの課題を増やしたりなどする。すると、塾に行けない子供が非常に不利になった。

2015-03-01 13:47:18
shinshinohara @ShinShinohara

ゆとり教育以前の授業ならば、塾にいかずともよい成績を上げることは、まじめに勉強しさえすれば難しくなかった。授業数が多いのもなることながら、授業の進行もゆっくりで、理解する時間的ゆとりがあり、予習復習さえすれば学校の授業についていくことは難しくなかったのだ。

2015-03-01 13:50:07
shinshinohara @ShinShinohara

しかしゆとり教育は「ゆとり」を子供たちから奪ってしまった。受験戦争に勝てないと不安に駆られた親は子どもを塾に通わせ、その親子は「学校の授業が遅い」と学校教員に文句を言い、学校教員も塾通いの子に合わせた授業をし、繰り返し反復をする余裕を失った授業が塾にいかない子どもを追い詰めた。

2015-03-01 13:54:27
shinshinohara @ShinShinohara

塾で先に習っている子供を意識した授業は、塾にいかない子供たちからすれば説明不十分で分かりにくくなる。妙に応用問題の多いプリントは教科書を反復学習する余裕を塾にいかない子供たちから奪った。この結果、塾に行く子と行かない子で学力格差が生まれ、どんどん悪循環になってしまったのだ。

2015-03-01 13:57:09
shinshinohara @ShinShinohara

そもそも、塾産業があおった「円周率3で受験戦争に勝てると思いますか?」という不安は、当を得ないものだった。公立高校の受験問題は公立中学校で習った以外の内容を出すことは決してない。3ならば3で、受験問題が組み立てられる。3.14であれば受験に有利なんてことはちっともなかったのだ。

2015-03-01 14:00:04
shinshinohara @ShinShinohara

しかし親は恐慌に陥った。学校の授業内容だけで受験に対応できるのに「学校だけでは受験戦争に勝てない」と不安が立ち、ゆとりが少しでもある家がみな塾に通わせるようになると余裕のない家の子は塾通いの子に歪められた授業内容に理解がついていけなくなり、落伍した。学力格差はこうして広がった。

2015-03-01 14:06:37
shinshinohara @ShinShinohara

ならば、「塾の不要な学校教育」に改革することが、南北の教育格差を埋め、学習レベルの底上げにつながるだろう。塾に通えない子でもゆったりと授業が進み、子供たちが自分の個性に合わせたスピードで習得し、次の単元へと移っていく。まずは、塾にいかなくてもついていける授業、が必要である。

2015-03-01 14:10:37
shinshinohara @ShinShinohara

現状でそうした改革を行うと、塾で先に学んでしまった子供が退屈するという問題が出る。それについては「授業に遅れがちな同級生を教える」という、生徒同士の教え合いを進めて頂きたい。「せっかくお金をかけて塾に通わせているのに、よその子がタダ乗りするなんて」という意見があるかもしれない。

2015-03-01 14:13:16
shinshinohara @ShinShinohara

しかし教えるという行為は、教えられるという受け身よりもずっと高い学習理解を可能にする。むしろ塾通いで先に進んでいる子は積極的に教える側に立つとよい。塾で習った範囲の授業を受ける際も「あいつにどう教えよう?」とシミュレートするように言っておけばよい。

2015-03-01 14:15:32
shinshinohara @ShinShinohara

「塾を不要とする学校の授業」と、学習進度の高い子供による教え合い、その二つでまずは学習レベルの底上げを図る。これが提言の第一である。

2015-03-01 14:17:14
shinshinohara @ShinShinohara

もうひとつ提言しよう。「ファシリテータ兄・ファシリテータ姉」の認定だ。ガラが悪い地域に見えても、実際には人情味が厚いということが多く、そういう地域には、勉強もできて年下の面倒もよい子供・若者が必ずいる。その年長者をファシリテータに認定し、年下の勉強や相談に乗ってもらうのだ

2015-03-01 14:20:59
shinshinohara @ShinShinohara

イメージとしては江戸時代の「若者小屋」に近い。若者はある年齢になると若者小屋に出入りするようになり、人望の厚い若者が面倒を見た。大人も若者小屋にはあまり干渉せず、若者の自治に任せた。若者はそうして学習もし、体を鍛え、友を得た。

2015-03-01 14:24:30
shinshinohara @ShinShinohara

ただ、今回認定するのは「ファシリテータ」。勉強の面倒も見るし相談にも乗るが、押し付けがましくない、というのが望ましい。しかしもし、こういう存在がいたとしたら、最近川崎市で起きたような事件はなかっただろう。地域で人気のある面倒見のよい若者に、相談するすべが今はないのだ。

2015-03-01 14:27:24
shinshinohara @ShinShinohara

相談できる年長者がいる。その若者は人格にも優れ、勉学もできるというなら、その地域の学習レベルは、長い目で見てきっと向上する。

2015-03-01 14:29:40
shinshinohara @ShinShinohara

もうひとつ、地域の大人ができることがある。「声かけ」と「話を聞く」だ。大人はつい子供に対し説教臭くなる。すると気性の激しい子は反発しやすく、問題を抱えていても相談しなくなる。ひたすら話を聞いてほしい。そして時おり、こう言ってほしい。「あんた、よう頑張ってるなあ」

2015-03-01 14:45:32
shinshinohara @ShinShinohara

他愛もない話も聞いてくれる。自分の話すことに耳を傾けてくれる。そんな大人がいると「この人は僕のことを分かろうとしてくれる」と、心を開くようになる。心を開かせてくれた人は大切にしたくなる。すると、自然に優しくなる。「ガラが悪い」のなら、そうした大人の存在が重要だ。

2015-03-01 14:47:58
shinshinohara @ShinShinohara

A市は保育所も多く、病児保育をする施設まであるなど、児童福祉が充実している。それでも「教育環境が悪い」という評価がなされるという。なぜそうなるのか、現場を知らないことには何も言えないが、こうしたことはないのか、という点をひとつ指摘しておきたい。

2015-03-01 14:50:29
shinshinohara @ShinShinohara

私の住む近辺には2つの育児支援施設がある。一つはスタッフがとてもフレンドリーで、保護者同士も仲良くできる仕掛け作りに余念がない。押し付けがましくもなく、適度な距離感もあって子供同士も仲良くなりとても気に入っている。

2015-03-01 14:52:13
shinshinohara @ShinShinohara

もうひとつの育児支援施設は「集団の中の孤独」を感じる。スタッフは子供や保護者に不干渉。そのためか、それぞれの親子が誰もいないかのようにバラバラに遊んでいる。子育ての相談をする空気もない。

2015-03-01 14:57:04
shinshinohara @ShinShinohara

A市の場合も、「仏作って魂入れず」になっていないだろうか。子育てて悩むお母さんが、気軽に相談できる空気が、市にたくさんあるという施設のスタッフにあるだろうか。もしそれが乏しいのだとしたら、少し掘り下げて考えた方がよい。

2015-03-01 14:59:10
shinshinohara @ShinShinohara

最近の保育所や育児支援施設で、ベテランがいなくなり若いスタッフばかりになっているケースである。ベテランは勤続年数が長いので給料が高い。これを低く抑えるためにベテランを役場に戻し、現場を若いスタッフで回そうとする自治体が増えているようだ。

2015-03-01 15:01:26