- satuki_grancres
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2/10分
―くだらない。この戦も。連合も。そしてあのお優しい君の恋心も。 まあ一番くだらないのは、未だにそんな戦いの渦中に身を置き、連合の腐敗に眉を顰め、燃え盛る恋心を飲み込んで剣を取ったあの方に剣を捧げた自分なのだが。
2015-02-10 20:23:42「まったく、威力偵察か本隊からはぐれたか、それとも只の命知らずかは知らないが、相手の力量もはからずに突っ込んでくるというのは如何なものかと俺は思うんだがなぁ。」 剣に付いた血を払い、こびり付いた油を拭う。 空は青く、日差しは暖かい。全く以って何時も通り。実に平和だ。
2015-02-10 20:31:27そんなわけで連合所属のロード、カノッサ・クラリッサ・フェルミ君爆誕。連合の盟主アレクシスの学友かなんか。アレクシスに王の器を見出し、「貴方がグランクレストをその手に納めるのを見てみたい」とのたまう系生き物。そのためなら外道にならない程度に割と何でもしちゃう系男子。
2015-02-10 20:39:19つまり王様のわんわんお。一歩間違うと見守り系ホモ谷へと転げ落ちるアカン感じの中の人好みのキャラ。 うん、通常運転。 #何時も通り
2015-02-10 20:41:482/11分
草の、土の、肉の焼け焦げる臭いがする。檄を飛ばす司令官の怒号が、恐怖に引きつった絶叫が、今わの際のつぶやきが聞こえる。戦場はいつもこうだ。生と死が混然一体となって五感に押し寄せてくる。騒々しい。全く以って騒々しい。自らの屋敷の静かな庭が恋しくなってきた。 #グランクレスト大戦SS
2015-02-11 22:02:52持ち主に似た適当さで適度に手入れされ、適度に放置されたあの園庭で茶を飲みながら実に下らない話に花を咲かせるのだ。やれどこの子爵の子息が悪さをしただの、出入りの商人が持ってきた珍品の類の話だの、マリーネ嬢の輝かしい美しさに対する賛美だの。
2015-02-11 22:03:02あの頃は暇を持て余していたが、平和だった。そしてその平和が続くのだと何の根拠も無く信じきっていた。 実に、愚かだった。
2015-02-11 22:03:142/12分
最前線に居る自覚はある。気を抜けば一巻の終わりだという事も重々理解してはいる。だがここまで連戦に次ぐ連戦ばかりになると、愚痴の一つも言いたくもなるのが人情というものだろう。 「嗚呼、上等なワインと美味い飯が恋しい。」 #グランクレスト大戦SS
2015-02-12 01:53:19斥候から『敵部隊に合流の兆し有り』との報告を受けたのが半日前。即座に小規模な騎馬部隊を編成し進軍、斥候と合流の後に敵部隊の合流地点に当たりを付けたのがつい先程。後詰の部隊は到着までにあと数刻はかかるだろう。
2015-02-12 01:53:35敵の合流予測地点はここから林を抜けた先の平原で、おそらくは合流した後に陣を張るつもりなのだろう。既に到着した部隊に続き、補給物資を積んだ部隊が平原に向かっているとの情報が斥候から届いた。このままだと味方部隊が到着する前に敵部隊が合流するだろう、とも。さて、どうしたものか。
2015-02-12 01:53:51結局、平原の敵部隊に気づかれない事を祈りつつ、今現在の部隊で林の手前で敵補給部隊を待ち伏せて討伐。後詰部隊と合流の後、平原の敵へと強襲をかける事にした。結果はまあ、やってみなければわからないだろう。我ながら行き当たりばったり過ぎるとは思えども、このまま手を拱く事はできまい。
2015-02-12 01:54:122/13分
状況は正に一進一退という言葉が似つかわしい、泥沼のような様相を呈していた。兵の士気も目に見えて低下しているし、何よりこの状況を打開する決めの一手が無いのが痛い。 #グランクレスト大戦SS
2015-02-13 00:58:14「敵の総大将に雷でも落ちてはくれないだろうか。それか唐突に敵軍の中心で竜巻でも起こるとか。」 愚痴ったところで現実になる訳でもなく、副官の『何言ってるんだこの男』というような、実に冷たい視線に晒されながら無い脳漿を振り絞って副官達と共に策を捻り出そうと試みる。
2015-02-13 00:58:36自分が策を練るに向いていないと痛感するのはこのような時だ。驚くほど何も出てこない。大体において自分は前線で剣を振るうのが性に合っているのであって、地図を覗き込みながらあーでもないこーでもない、と戦術論だのを駆使して部隊を勝利に導くのにはどだい不向きなのだ。
2015-02-13 00:58:52そも敵軍の規模に対してこちらの軍の規模が同程度なのが良くない。しかも練度も同程度、武装も似たり寄ったりと来ると、これはもうどうしようもない。このままでは両軍共に消耗するより他には無い。何とも、頭の痛い状況だ。ちらりと横を見ると、副官達もしかめ面で唸っている。
2015-02-13 00:59:06彼らも同じようなものだ。こんな指令官達に付いて来ざるを得ない兵達はさぞかし苦労しているだろう。「俺なら御免だな」と呟くと、「下らない事を考えている暇があるなら良策の一つも出して下さい」と副官に小突かれた。ある筈が無いだろう。思わず愚痴がこぼれ出る。
2015-02-13 00:59:18「嗚呼、敵の足元に都合よく地割れでも起きんものか。」 こうして何時ものように戦場の夜は更けていく。隊長の頭痛の種を残しながら。 了
2015-02-13 00:59:352/14分
貯まりに貯まった前線での報告と、今後の方針を決めるための会議と、上へのご機嫌取りの後の陳情と。まあ諸々をこなす為に久しぶりに城へと帰還を果たした。 #グランクレスト大戦SS
2015-02-14 03:09:19前に訪れたのは一体何時振りであろうか。馬に揺られながら、美しさと実用性を兼ね備えた重厚な城門を眺める。この城門を見るのも久しいような気さえしてくる。
2015-02-14 03:09:34