自分用グランクレスト大戦SSまとめ

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

いい機会なのでのんびりしたい処だが、部隊を出立する前に副官達にさんざ「出来るだけ早くお戻りになられますよう」と耳にタコが出来るほどに言われてきた手前、そうもいくまい。しかし、所用を済ませばまた前線へととんぼ返りしなければならないという事実は中々に気を重くさせる。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

ため息のひとつでも付きたいが、隊長が一人部隊を離れてのんべんだらりとしていては残してきた副官達にも兵達にも示しがつかない。本来ならば部隊ごと引き上げ、部下達を引き連れて酒場で大宴会のひとつでもしてやれれば良かったのだが、今の前線の状況ではそれも出来ない。全く、やってられない。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

頭の中では愚痴りつつも、手と足はやるべき事を粛々とこなす。騎馬のまま城へと駆け上がり、城前にて馬を預ける。その足で司令部へと報告書の山を叩きつけ、返す刀で既定をなぞるだけの中間会議をこなし、城にどっかりと尻を落ち着かせているお貴族様連中へのゴマ擦りと物資への根回し。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

短い滞在予定だというのに、やることだけは膨大にある。物資と人員の補給の陳情書を片手に、留守番している部下達への慰労にワインの樽でも引いて行ってやろうか、などと思案していると、「もし」と声が掛けられた。まだ若い、青年と少年の狭間を行き来しているような高い声だ。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

「失礼を承知でお尋ねいたしますが、もしや貴方はかのフェルミ郷ではないでしょうか。」 如何にも、自分がカノッサ・クラリッサ・フェルミである、と応えを返すと、その青年―青年という事にしておこう―は輝かんばかりの笑顔を惜しげもなく晒しながら己が如何に

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

カノッサ・クラリッサ・フェルミの武勇伝への傾倒者であるかを熱く語ってくれた。正直に言ってしまえば、面倒くさい上に暑苦しい。だがこの暑苦しさには覚えがある。マリーネ嬢の美しさや物腰の優雅さ、精神の気高さを凄まじいまでの情熱で以って語りつくしていたあのお方にそっくりだ。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

まあ兎に角、この青年が何を言いたいかを大雑把に纏めると、『自分も戦場に連れて行ってくれ』という事らしい。実に武勇伝に憧れる貴族の坊ちゃんらしい言い草だ。即座にお断りをさせてもらおうとしたが、言い募ってくる青年の瞳は存外に真剣実を帯びていた。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

聞けば自分は三男坊で、家督も既に兄が継ぎ、自分の食い扶持を稼ぐ手段を探していたのだとか。其処に丁度良く武勇伝を聞き及んでいた俺が登場した、という訳らしい。下級貴族には良くある話で、実際我が部隊もそんな輩の溜り場のようなものだ。そして俺はそんな話に弱い。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

そこまで言われてしまえば、俺が返せるのはただの一言だけだ。 「死ぬかもしれんが、それでも来るのか」と。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

すると、青年はこう言った。 「私は貴族のまま腐るより、騎士として死にたいのだ」と。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

思わずため息が出る。偶に居るのだ、こういう坊ちゃんらしからぬ無駄に気骨と熱意の溢れる人間が。そのため息を否定的なものと見たか、青年は項垂れた。やれやれ、人の話は最後まで聞くものだというのに。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

「よろしい、ならば貴君はこれより我が部隊の仲間である。寝食を同じくし、共に戦場を駆け、共に死す。その時まで。」 そう告げると、青年は弾かれたように顔を上げた。その瞳は爛々と輝き、頬は上気して赤味を帯びている。今にも叫びだしそうだが、喜ぶにはまだ早い。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

家族には事の次第を説明する事。己が死んだ時の事を話し合う事。出立は5日後の朝にする故、それまでに身辺の整理をする事。話は軍司令部に通しておくので、後ほど挨拶に行く事。これらを怠ると後々面倒になるし、こなせぬのなら部隊には入れぬと云う事を青年に言い含める。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

さて、思いがけず面倒な荷物を拾ってしまったのだが、その荷物こと未だ興奮冷めやらぬ青年に、ここは部隊長として仕事の一つでも言い渡してみよう。迷惑賃だとでも思ってもらえればいい。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

「では我が隊の隊員として一番最初の仕事を言い渡す。」 我知らずに悪い顔になっているだろうが、青年は気づかない。実に真剣な顔で聞いている彼には悪いが、我が隊の伝統のようなものなので諦めて聞き入れてもらおうか。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

「上等なワインをひと樽。それとつまみを30人分、荷馬車に積んで引いてくる事。」 自分の歓迎会用の酒とつまみだ、十分に良いものを用意し、存分に励んでくれたまえ。　了

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

そんな訳で、オプションの《勇敢な青年騎士》君の加入イベントSSでござる。我ながら気合入れすぎでござる。やりすぎたでござる。楽しかったでござる。　#吐血　#グランクレスト大戦

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

『腹が減っては戦は出来ぬ』 成る程、至言である。実にしみじみとそう思う。腹が減って仕方が無い瞬間は特に。 #グランクレスト大戦SS

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

備蓄してあった食糧の残りもいよいよ少なくなり、さて一狩りしなければなるまいな、などと思案していた正にその時である。補給部隊が到着したのは。当然のように拍手喝采を以っての大歓迎だ。久々のそれなりに柔らかいパンを貪り食う我が部隊員達の様子は、正直正視に耐えない。子供か。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

まあ食えるときにたらふく食っておくのも兵の大事な仕事である。これが最後の飯になるとも知れないのだ、良く噛んで大事に食えよ、と声を掛けようかとも思ったが、笑顔で美味そうにパンを頬張る兵達を見ているとそんな気も削げてくる。食えればいいとはよく言うが、矢張り飯は美味いほうがいい。

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

余計な小言は無しにしよう。それに前線に居ると柔らかいパンなどそう食えるものではない。今は自分も有難い大地の恵みに舌鼓を打つ事にした。　了

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

はい、友人のキャラ同士のバトルを覗き見てる宜しくない連合のロード目線のSSが出来ましたよー。　#覗き見楽しいなー

皐月＠グランクレスト大戦用 @satuki_grancres

『最寄の平原にて中規模の戦闘あり。勢力は両陣営ともに不明。至急確認されたし。』 斥候からの知らせを受け、何時もの様に小規模の騎馬隊を編成し戦場が見渡せる丘へと走る。紋章学を修めていない斥候を出すと、こういう時に難儀する。 #グランクレスト大戦SS