- satuki_grancres
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不敵な面構えを崩さずに攻撃を繰り出す度に、あの竜の巨体が二度三度と大きく揺れる。信じられない心持でしばし呆然とその光景を眺めていると、再度後方から「いっくぜぇ!」という矢鱈と気合の入った鬨の声が聞こえてきた。
2015-02-22 02:20:53そちらを見遣れば、両腕を獣そのものに変化させた邪紋使い(@Eiru_Sin)が、やはり竜に向かって突貫していく姿が見えた。堅牢な鱗を断ち切り、強靭な筈の筋を抉る。たった二人の邪紋使いの加勢によって、竜がみるみる内にその力を削いでいく。
2015-02-22 02:21:06これなら、行ける。どちらのモノとも判らぬ血でぬる付く剣の柄を強く握り直す。剣を胸の前に掲げ、精神を集中させる。己が意志をその剣に刻み付ける。中空に燐光が浮かび、次第に複雑な形を成していく。見よ、混沌の化け物よ。これが人の意志の具現、聖印―クレスト―だ。
2015-02-22 02:21:19救援の二人の猛攻を受けて、弱り頭を垂れ始めた竜へと向かって剣を突き出す。爺様から聞いた、狙うは弱点。竜の喉元。
2015-02-22 02:21:32ずぶりと肉を貫く感触に舌打ちしつつ、止めとばかりに聖印を剣に這わせ、その力を竜へと流し込む。激しくもがき、剣をもぎ離そうとするが、そうはいかない。あらん力を込めて剣を突き入れ続ける。そうしている内に、次第に反応は鈍くなり、遂にその動きを止めた。
2015-02-22 02:21:46ああ、勝った。そう悟った瞬間、体から力が一気に抜け落ちた。情けなく尻餅を付き、しばしぼんやりと空を眺める。そうして、ばったりと倒れこんだ。事後処理は後だ。今少しは、この勝利の余韻に浸っていたい。空が青い。酷く疲れた。嗚呼、腹が減った。 了
2015-02-22 02:21:562/26分 段々サボりが多くなってきた
「餅は餅屋、だろう・・・」 目の前に山と積まれた書類一式を眺めて、一言。今日も減る気配のない紙の山脈に埋もれながら、そう愚痴を零した。 #グランクレスト大戦SS
2015-02-26 01:24:25大陸全土を巻き込んだ戦争中だからといって、日々の雑事は減る訳でもなく。寧ろ戦争中だからこそ、戦に関する諸々は多くなる。数え上げればリキは無く、数え上げたからといって目の前の書類が減るわけでもない。
2015-02-26 01:24:38至極面倒くさがりな君主の為に優秀な文官達が出来るだけ纏め上げてくれた書類だが、それでも数はかなりのものだ。決裁の印を記すだけの書類が大半であろうが、それにしても多すぎる。確認と印を記すだけで日が暮れて有り余るだろう。というか有り余った。夜までかかった。
2015-02-26 01:24:53そしてそんな作業をもう2,3日は続けているだろうか。そろそろ尻に根が生えそうだ。逃げ出したいが、隣に貼り付けたような笑顔が眩しい副官が居るせいで上手くいっていない。隙を突いたり、目を盗んだりしようとはしたが、如何せん付き合いが長いせいで全て阻止された。おのれ。
2015-02-26 01:25:07坊と兵達は領地の境界近くの哨戒。爺様は「昔取った杵柄」だとか何だとかで砦建築の手伝いに行ってしまった。隊長の俺は執務室にほぼ軟禁状態でやりたくも無い書類仕事。体は休まるが、気は休まらない。せめて気晴らしついでの領地内の見回りをさせてくれ、と副官に打診したが、素気無く断られた。
2015-02-26 01:25:23「領地内といっても、貴方の場合酒場に見回りに向かったり、森へと見回りに向かったついでに狩りの一つでも、とかやり始めるでしょう。却下です。」との事だ。よく解ってるじゃないか。これだから付き合いが長い奴は困る。戦場では頼りになる事しきりだが。
2015-02-26 01:25:37そんな副官との会話を聞いていた、近くの文官よりの一撃。 「口を動かすよりも目と頭と手を動かしてください。そうしないと減るものも減りませんよ。」 思わず苦虫を噛み潰したような顔になったのは言うまでも無い。わかったよ、さっさと終わらせればいいんだろう、終わらせれば! 了
2015-02-26 01:25:543/2分
今回の作戦は難攻不落と名高い敵城攻略作戦。我が部隊は攻略部隊の露払いの為に陽動を行う段取りとなっている。作戦の総司令に「貴君も攻略部隊に加わらないか」と誘われもしたが、謹んで辞退した。
2015-03-02 01:51:14攻略部隊に加わるには実力が足りていない、などと尤もらしい理由を述べてきたが、突っ込み癖のある坊とおっとり刀の爺様が居る我が部隊には些か荷が勝ちすぎる。あと面倒くさい。砦の外で適当に敵を散らしていた方が、我が隊の戦略には合っている。適材適所だ。
2015-03-02 01:51:27何時もの様に砦から敵部隊を釣り出し、適度に撃退するなりして砦内の戦力を手薄にすればいいのだ。間諜からの情報によると砦の中にはかなりの部隊が駐在しているらしく、釣り出して減らすにしても中々に骨が折れそうだ。
2015-03-02 01:51:42だが幸いにも、竜狩りの時に手助けをしてくれた邪紋使い(@Eiru_Sin)が今回も手を貸してくれるらしい。竜の鱗に穴を穿つ実力者だ。実に心強い。
2015-03-02 01:51:55戦場の空は良く晴れている。青い天蓋は高く、空気は澄んでいる。ここ数日は雨が降ることもなく、土もぬかるんでいない。つまり、絶好の戦日和だ。遠くから開戦を知らせる太鼓と鬨の声が聞こえてくる。さあ、行こう。戦って戦って、生き残り、我が君に勝利を持ち帰るのだ。 了
2015-03-02 01:52:233/5分 フラグなど無い
君主は、聖印を通して己が一番強く抱く意志を反映して、様々な超常の力を発揮する。例えば俺は“敵を討つ”という意志が表出しており、剣などの武器に力を乗せ、放つ業を得意としている。 #グランクレスト大戦SS
2015-03-05 02:11:19そして今俺の目の前で兵たちを治療している女性は、“人々を救う”事を旨としている君主、だそうだ。何でも癒しの力に特化した力を持っているらしい。傷付いた兵たちを癒すべく前線を回っているとの事で、我が部隊の居る砦まで遠路遥々やって来たそうだ。実にありがたい事だ。
2015-03-05 02:11:32我が部隊は女っ気の欠片も無いむさい男所帯だ。綺麗どころに手当てしてもらうのが嬉しいのは分かるが、緩みきった顔が情けないことこの上ない。
2015-03-05 02:11:45