徳パンク小説『黄昏のブッシャリオン』(先行版)

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ろくせいらせん @dddrill

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2015-03-12 22:30:20
ろくせいらせん @dddrill

「……こんな文明が、まだ生き残っていたなんて」街の中心部で、二人は息を呑んだ。そこは、別世界だった。 大気中に溢れる徳が、クーカイやガンジーのような不徳者にすら感じ取れる。街は隅々まで掃除が行き届き、人々が善行を積む、自ら徳を生む者達の街。30

2015-03-12 22:40:09
ろくせいらせん @dddrill

「……どこへ行けばいいんだ」「聞いてみるしかないだろう」道行く人に尋ねると、親切に「まずは住職さんのところへ行かれては」と寺への道順まで教えられる。同行して案内する、という申し出を断りながら、ガンジーとクーカイは教えられた寺へと向かう。 「……気に入らねぇ」ガンジーが呟いた。31

2015-03-12 22:44:56
ろくせいらせん @dddrill

「……これが、徳カリプス前の人間の生き方なのだろう」とクーカイは返す。「どのみち、水素か電気を分けてもらわねば、街までは帰れん」 「……わかってる。それから、仏舎利もだ」その後の車中、二人は無言だった。32

2015-03-12 22:48:24
ろくせいらせん @dddrill

「……ようこそ、お越しくださいました」徳の高そうな住職が二人を迎える。あの爺さんに雰囲気が似ているな、とガンジーは思った。 「はじめまして。俺はクーカイといいます」「……ガンジーだ」「クーカイ様にガンジー様。良いお名前です。拙僧はこの寺の住職、徳心と申します」33

2015-03-12 22:59:01
ろくせいらせん @dddrill

「……俺達は、南に200kmほどの村から車で来た。すまないが、消耗品と水素か電気を幾らか分けて貰えないだろうか」「……それは、遠路遥々お越しになったのですね。勿論、手配いたしましょう」 「……かたじけない。代金は何で支払えば良いだろうか」クーカイは淡々と交渉を進めていく。34

2015-03-12 23:05:50
ろくせいらせん @dddrill

「……そうですね。では、街のお話を、聞かせて頂けますか」「……承った」情報払い。想定内だとクーカイは頷く。荒れ果てた世界で、町の外の情報は貴重だ。 「車については、後ほど詳しい者に頼みましょう」話が一段落したタイミングで、二人の前にお茶が運ばれて来る。35

2015-03-12 23:10:50
ろくせいらせん @dddrill

「しかし……見事なお庭だ」寺の窓の外には、見事な枯山水が広がっている。あの廃寺にあったものとは違う、完全な形の。「住職はかなりの徳をお持ちの筈」 「滅相もない」「エネルギーを狙う不届きな輩や、得度兵器に襲われることもあるのでは?」クーカイは核心を口にした。36

2015-03-12 23:16:48
ろくせいらせん @dddrill

この街に着いた時から感じてた違和感。何故、この街が徳に満ち溢れたままでいられるのか。 「……そのような者も時折参りますが、エネルギーを分けてお帰り頂いています」「そうですか」徳エネルギーの性質上……人間相手ならば、それである程度通じるだろう。しかし。37

2015-03-12 23:20:44
ろくせいらせん @dddrill

「あの得度兵器……狂った機械については、どのように」「『得度兵器』は、狂ってなどいませんよ」そう答えた一瞬。住職が本堂に目をやったことを、クーカイは見逃さなかった。 「狂っていない……と?」「はい。彼等もまた……救われるべき者達です」 「……流石、徳が高いお方は違いますな」38

2015-03-12 23:24:09
ろくせいらせん @dddrill

「随分静かだったじゃないか、ガンジー」「……あの住職、どうも胡散臭い」住職との話を終えたクーカイとガンジーは、車を整備するため街を移動していた。「その勘、当たってるぞ」「そうか?」「俺達に何か隠し事をしようとしてた。鍵は、多分本堂だ」40

2015-03-12 23:30:41
ろくせいらせん @dddrill

「……もしかして、そこに『仏舎利』の手掛かりが?」「わからん。だが……お前も聞いていただろう。『得度兵器』絡みだ」 「『得度兵器は狂っていない』、か……忍びこむか?」「ああ。一泊させて貰えないか頼んでみよう。上手くネタを掴めば、エネルギーの支援を受けられるかもしない」41

2015-03-12 23:33:54
ろくせいらせん @dddrill

二人は本堂へ忍び込む算段を立てる。この里に秘められた謎は、一体如何なるものなのか。それは次節に譲ろう。 ……だが、その前に読者の皆様へお伝えしておかねばならないことがある。『得度兵器は、狂ってなどいない』これは、紛れも無い事実である。彼等はただ、目的を遂行しているに過ぎない。42

2015-03-12 23:37:10
ろくせいらせん @dddrill

彼等の目的は、人類の生活水準の向上にある。それが如何なる結論を齎したのか。彼等が如何なる姿をしているのか。それは、次節で明らかになることだろう。43 オリジナル徳パンク小説『黄昏のブッシャリオン』#2終わり #3へ続く

2015-03-12 23:40:19

続き

まとめ 徳パンク小説『黄昏のブッシャリオン』② サイバー文明ならサイバーパンク。 蒸気エネルギー世界ならスチームパンク。 徳エネルギー文明なら徳パンク。 アフター徳カリプス徳パンク小説 『黄昏のブッシャリオン』 http://togetter.com/li/793611 6083 pv 54

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