ニンジャ・サルベイション #2

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「人違いでは!」ホールドアップしながらユダカは叫んだ。ミカリが追随した。「そうです!無害な……無職になったばかりの未来ある若者です」拳銃が一斉に二人に向けられた。ナムサン!ユダカはミカリを庇おうとする。足が竦む!「イヤーッ!」その時!カラテ・シャウトが隣接ビルから降ってきた!23

2015-03-21 00:43:43
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シャウトと共に降ってきた影は、拳銃を構えた者たちの只中に落下した。KRAAAASH!「「「グワーッ!」」」抉れたアスファルトと共にバラバラの四肢が吹き飛び、緑色の血が散った。「ハハァー!」「ザッケンナコラー!」生き残りがそちらへ銃を向け直す。「イヤーッ!」「グワーッ!」 24

2015-03-21 00:49:42
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「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」乱入者は次々にパンチと蹴りを叩き込み、顎骨を吹き飛ばし、内臓を破裂させてゆく!撒き散らされる血の色が緑色である事も不可思議だが、何よりこの者の残虐なカラテ!ユダカの心臓の鼓動は倍にも早まる!25

2015-03-21 00:54:24
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「お前、お、お前……」ユダカは震える指で指差した。「イヤーッ!」その者は何かをユダカの方向へ投げつけた。飛翔物はユダカの顔の横を通過した。「グワーッ!」「な……」ユダカは振り返り、追っ手の額に突き刺さったスリケンを見た。「お前!」ユダカはもう一度乱入者を見た。「カシイ!」 26

2015-03-21 00:57:11
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「ヨー、ブロ。久しぶりだな」キャリバーは冗談めかして言った。「約束通り、助けに来たぜ」「「スッゾオラー!」」後ろの連中が一斉に拳銃を構えた。「イヤーッ!」キャリバーはひととびにユダカとミカリを飛び越し、着地して、両手をひろげた。BLAMBLAMBLAM!「ハハァー!」 27

2015-03-21 00:59:52
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「ああ……行けるなァ、このぐらいなら」キャリバーは上体に力を込めた。血塗れの銃弾がバラバラと落下し、傷口が煙を噴いた。「スッゾ……」追っ手達が第二射を試みようとした。キャリバーはその時すでに彼らの懐に踏み込んでいた。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 28

2015-03-21 01:06:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムアミダブツ!何たる殺戮か!緑の血は時間とともに酸化して赤く変色を始める。ユダカとミカリは半ば呆然とキャリバーの背中を見守る。「行けるなァー……行けるぜユダカ」キャリバーは最後の死体を投げ捨て、向き直った。「何をやらかしたんだお前?けどよォ、取り敢えず安心だ……俺が居るぜ」29

2015-03-21 01:10:45
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(【ニンジャ・サルベイション】 #2 続き)

2015-03-21 22:24:31
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ナムアミダブツ!何たる殺戮か!緑の血は時間とともに酸化して赤く変色を始める。ユダカとミカリは半ば呆然とキャリバーの背中を見守る。「行けるなァー……行けるぜユダカ」キャリバーは最後の死体を投げ捨て、向き直った。「何をやらかしたんだお前?けどよォ、取り敢えず安心だ……俺が居るぜ」29

2015-03-21 22:25:12
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「居るってお前」ユダカは衝撃にわなわなと震え、「何がどうなって……いや……だいたいお前、そんなに殺して……いや……」考えをまとめようと焦った。生きている者はこの駐車場に三人のみ。「何から訊きゃいいんだ?」「知るか!」キャリバーは笑い飛ばした。「しかし何でこいつら、血が緑だ」30

2015-03-21 22:32:19
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「勿論それもあるけど、お前、」ユダカは夢の続きを疑った。あるいは、飲んだものに悪い何かが混じっていたか。「お前、どうしちまったんだよ、カシイ」「驚くのも無理はねえ。カラテさ」キャリバーは力こぶを作ってみせた。「俺はよ。ニンジャになったのさ」「何それ……」ミカリが呻いた。 31

2015-03-21 22:36:09
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「俺だって訊きてえんだ、ユダカ。なんで早速ピンチなんだ?」キャリバーは二人を促し、襲ってきた連中の車に乗りこんだ。「すげぇシートだ!背中が沈むぜ」「どうすンだ、車」「そりゃお前……逃げなきゃだろ」キャリバーは頭の横でクルクルと指を回した。「この様子じゃ、まだ来るんじゃねえの」32

2015-03-21 22:40:43
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「俺が運転する。かわれ、カシイ」ユダカは心を決めた。ミカリは後部に、キャリバーは助手席に。「シートベルトしろ」「俺はニンジャだから平気だぜ。あと、キャリバーって呼んでくれ、ユダカ。大事なんだ」「アア?」「精神テンションだよ。例えばよ、縁の切れた親のファミリーネームは嫌だろ?」33

2015-03-21 22:46:52
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「お前がそのたとえをすると、反応に困るんだ」ユダカはアクセルを踏み込んだ。「だがまあ、わかった。キャリバー=サン」「ドーゾヨロシク」SLAM!車体が壁を擦った。「免許あンのか、ユダカ!」「あいにく電車通勤だよ」二度三度道路脇のオブジェクトに衝突したのち、車は大通りに走り出た。34

2015-03-21 22:50:54
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「いんが、因果関係を考えるとよ、どう考えてもお前のカイシャだ」キャリバーは言い、ミカリを振り返った。「アンタもそう思わねえ?」「思う」「何やらかした?」「課長に社員証を……アー……」対向車線にはみ出し、危うく正面衝突だ。「スッゾオラー!」対向車がヤクザクラクションを鳴らす!35

2015-03-21 22:56:40
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車はキュルキュルと嫌な音をアスファルトに刻みながら車線復帰する。「あっぶねえな!」キャリバーはユダカの肩をどやした。「正面衝突は試してねえけど、多分死ぬからよォ!」「頑張ってるよ、俺は」「グルーヴしてきたぜ、ユダカ」キャリバーはニンマリと笑った。「昔みたいになってきたぜ」 36

2015-03-21 23:00:25
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ユダカは鼻を鳴らし、車載レディオをONにした。「サンシャイン〜、きらめいて〜」「変えろ!変えろ!」「私達の世ザリザリ」ザリザリ……チューニングを合わせる。「ウォーララ!ウォーラララ!」捨て鉢なロックンロールが流れ出す。「「「ウォーララ!ウォーラララ!」」」三人はシャウトする。37

2015-03-21 23:05:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「悪りィな、アンタ!」キャリバーがミカリを振り返った。「何か知らねえが、こいつのかわりに謝っとくよ。俺に免じて許してやってくれ」「そうね」ミカリはユメドリンクのスクリューキャップを開けた。「どうしよう、本当に」「気にしてもしょうがねえ」キャリバーは即答した。38

2015-03-21 23:10:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャってのは何だ。どういうことだ」あらためてユダカは尋ねた。「修行したのかよ」「いいや違う」キャリバーはドアガラスを拳で叩き割り、後方を哨戒する。「話すと長く……ならねえわ。ヤクザにボコられてよォ、死ぬかと思ったら、どっこい死ななかった。死にかけたらニンジャになった」39

2015-03-21 23:14:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「全然わからねえ」ユダカはため息をつく。「死にかけるとニンジャになるのか?」「なったんだから、しょうがねえ。グールー(導師)の声が聴こえた。笑えるよな。神秘体験だ。キャリバーっていう名前をもらったぜ。目を覚ましたら、ヤクザどもを百倍ひでえ目に合わせてやった。壁のシミだ!」 40

2015-03-21 23:18:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤクザかよ。ヤクザと事を構えてお前、順当にギャングスターに転がってたってわけか?」「しょうがねえ!俺は考えるのが得意じゃねえし、カネも無かったし、働くのもピンと来ねえ。だからって、」「働けよ」「だからって、威張ってるヤクザにヘコヘコできるか?できねえ!ナメさせねえ!」 41

2015-03-21 23:21:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユダカは唸った。この男のことを、だいたい完全に思い出した。こういう短絡的な奴だった。「にしても、殺しってのは……」「せいとう、正当防衛だ。容赦はしねえよ。さっきの奴らも見たろ?なんだよ、緑の血ィ流しやがって……ナメさせねえ。お前には指一本触れさせねえよ、ユダカ!」42

2015-03-21 23:28:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そりゃどうも」渋滞の車列に加わり、ユダカはハンドルに顎を乗せる。キャリバーは続けた。「お前はクールな奴だ、ユダカ……なあミカリ=サン、俺はよ、マジでこいつに恩がある。こいつがダチになってくれたから……じゃなきゃ野垂れ死んでた。マジな話にな」「やめろよ」 43

2015-03-21 23:38:56