ニンジャ・サルベイション #2
「俺はな、だから二重に嬉しいぜ。ユダカがクールなままだった事。そして、俺がニンジャだって事さ。ユダカに恩を返せる男になった。いいか、これは運命だよ。でなきゃ、あのクラブにお前が裸足でわざわざ来るわけねえ。だろうが!」「そういう事でいいんじゃない」ミカリが無責任に相槌を打った。44
2015-03-21 23:41:49「ハハーッ!」キャリバーは後部に身を乗り出し、ミカリとハイタッチした。ユダカはどんな顔をしたらよいかわからない。「……しかしよォ。動かねえな」キャリバーの目がギラリと光った。不満げに前の車列を睨んだ。「事故か何かかもな」ユダカはアクビを噛み殺す。「追いつかれない?」とミカリ。45
2015-03-21 23:46:36「そうだよユダカ。緊張感を持て!」キャリバーはハンドルを横から掴み、アクセルをユダカの足ごと踏みつけた!「オイオイオイ!」「やれ!俺らにこんな渋滞は似合わねえ!ファック・オフ!」ウォルルルルル!車が悲鳴を上げる。「しょうがねえな!」ユダカは吹っ切れた。ブレーキを開放した。 46
2015-03-21 23:50:27ナムサン!車は斜め前に急発進し、車体を前の車列に擦り付けながら加速する!「ハハァー!」キャリバーは手を叩いて笑った。「ウォーララ!ウォーラララ!」レディオのロックンロールがまた同じ曲を流す。コーラスを繰り返す。三人はドカドカと音を立てて揺れる車内で笑いながらコーラスを重ねる。47
2015-03-21 23:52:57「アイエエエ!」車列の先、赤灯を振っていた誘導員が弾丸めいて飛び出してきた車に轢き殺されかけ、失禁しながら道路脇に転がった。車は斜めの台に乗り上げ、斜めに飛んだ。「「「ウォーララ!ウォーラララ!」」」曲が終わっても、三人はコーラスを繰り返す。「昔を思い出すか。かも知れねえ!」48
2015-03-21 23:59:10「グルーヴしてきたぜ!」キャリバーが言った。安普請な破砕アスファルト現場を飛び越え、なにかしらの損壊音とともに着地した彼らの車は、何度かガードレールに車体を接触しながら速度を上げていった。ボウ、マフラーが黒煙を吐いた。「「「ウォーララ!ウォーラララ!」」」 49
2015-03-22 00:02:36