三日目、逢魔時 - 今様に落つる怪奇譚

2015/04/17から2015/04/20までの、人間とあやかしの語らいの様子です。
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遊灯華 @youtouka

太陽を直に見た子どものように目を細めて、遊灯華は人間たちを見た。 「会えるなら、わしも、会いたい……鍋を作ったの、楽しかった」

2015-04-17 21:55:28
遊灯華 @youtouka

鬼火ではつまらない。遊び火がいい。 そんなことをもごもごと呟いた坊主を思いだす。 お前さんをはじめてみたとき、華が咲いたかと思った。だから、よければわしと一緒に生きないか。 酔狂な坊主 と同じことを言われたから、うれしいのではなかった。ただ、一緒に、と誘われたことが、うれしかった

2015-04-17 21:59:33
蓮田 颯丞 @hasterMissing

夕刻。寺の門の前で、とうかを見遣る。 ちょっと間があって、それから小首を傾げれば。 「……一緒に、帰ろうか?」 先程散々ぶちまけた反動か、端的に誘った。

2015-04-18 02:26:01
遊灯華 @youtouka

「……あい」  誘いに頷いて、遊灯華は火野夕奈をそっと見つめた。おずおずと手を伸ばして、夕奈の服の端に触れる。ゆらりと陽炎のように揺らめいた手で、けれど服を燃やすわけでもなく、きゅっと握った。頬が赤くなったように見えたのは、あるいは、さしこむ夕陽のせいかもしれない

2015-04-18 09:05:47
染井 恭子 @Swamp_swap

伸ばされた手を特に悩むことなく掴む。 「ご飯には、なった?」 魂の垢というのは落とせていたのだろうか? 物理的にあまり清潔では無かったのは、自覚していたけれど。 無意味に重ねた手をにぎにぎしながら問いかけて

2015-04-18 09:39:15
赫滑ねぶる @akanameneburu

「あぁ、美味かったぜ」 言葉の通り、味は申し分ない。 満腹かと問われれば答えかねるのだが、それについては、時間もやりようもいくらでもある。 彼女は彼を、受け入れてくれたのだから。 スーパーの買い物袋の中には、鍋の材料の他に、こだわりの手作りバスソルトの材料も入っていた。

2015-04-18 11:53:19
赫滑ねぶる @akanameneburu

ねぶるは、人の体温が好きだった。 差し出した手が、華奢な暖かい指でにぎにぎとされている。 わずかに力を込めて握り返し、ひょろりと立ち上がれば、二人の身長の差は大きく広がる。 ふいに、振り向いて。 蓮と水藤、夕奈と遊灯華。 それぞれの道を共に歩むことを決めた四人へと、視線を向け。

2015-04-18 11:53:21
赫滑ねぶる @akanameneburu

「なぁ、お嬢ちゃんたち。その……水藤の姐さんは、気付いてたと思うんすが……」 ゴニョゴニョと、落ち着かなげに舌を揺らしながら。 「……俺ぁ」 意を決したように。 「俺ぁ、実ぁ、……座敷童じゃねぇんだ!……騙してて、すまねぇ!」 無意識に、握ったままの手に、力が入る。

2015-04-18 11:53:23
赫滑ねぶる @akanameneburu

「座敷童じゃねぇなら、じゃあなんだっつうと、俺ぁ……垢舐めって言って、なんつぅか、こう……人間からしたら、ちょっと気持ち悪ぃタイプの、あやかしだと思ってる」 ポリポリと、後ろ頭を掻きながら、わずかにこうべを垂れて。

2015-04-18 11:53:24
赫滑ねぶる @akanameneburu

自分を卑下するつもりも、同族を乏すつもりもない。 だが、人々の、風呂で落とす『穢れ』は『汚ならしい、気持ち悪い』と、そういう思いや慣習から生まれたのが『垢舐め』である以上、ねぶるは『気持ち悪いあやかし』なのだ。

2015-04-18 11:53:26
赫滑ねぶる @akanameneburu

だから、憧れた。 幸せを招くと言われ大切にされる、座敷童に。 それでも、ねぶるという男は、嘘をつくのが苦手だ。 それを吐き出して、少しばかり晴れやかな気持ちで、周囲の反応を伺う。

2015-04-18 11:53:58
不老 蓮 @Lotus_frow

夕焼け小焼け。烏が鳴くから帰りましょ。もうすぐ深くなる夕刻時に。 「……あぁ」 なるほど、垢嘗か。以前話してくれた気持ち悪い類というからなんだろうとは思ったのだけど、そういうものだと……確かに生理的に受け付けるのは難しい存在だ。普通なら。 「嘘を突かれても、気にはしませんよ」

2015-04-18 16:06:04
不老 蓮 @Lotus_frow

僕もそこまでは……たぶん気にはしないけど、何事も慣れというものがある。 目にしなければ問題ない、というのも。 「……友達ですから。そう告白してくれて嬉しいですよ」 ねぶるさんにはそう告げる。

2015-04-18 16:07:55
白堀之水藤 @sirafji

何を改まっていうかと思えばそんな事。 だがそんな事とはいえ本人からすれば重大な告白。 「生まれ生きてる限り意味はあるもんさ。今、一所懸命生きてる奴を気持ち悪いとはあたしは思わんな」 垢舐めであれなんであれ苦手と思うものは居れど、生きてそこにいる者を気持ち悪いと思う方が嫌悪を抱く。

2015-04-19 02:21:32
白堀之水藤 @sirafji

ともわれ、あやかしが別のあやかしの名を騙ることなんて己の経験上他にもいる。 大概はその位を欲するがためなのだが…憧れなら可愛いものだろうに。 「ま、蓮の言う通りキチンと告白したのだから、良しとしよう。黒いのだって、それを分かってて今隣にいるんだろう?」 なんてケラケラと。

2015-04-19 02:21:55
蓮田 颯丞 @hasterMissing

にこりと笑い、服の端を掴むとうかの手を包み込むように握る。 ――これからは、私がこの子の居場所になるんだ。 誰かの居場所になるという事は、少なくとも夕奈にとって軽い言葉ではない。 それでも、こんな自分でも誰かの何かになれるというのは、喩えようもなく嬉しかった。

2015-04-19 18:06:46
蓮田 颯丞 @hasterMissing

それから、ねぶるの、昼の自分を思わせるような叫びを黙って耳にして。 内心を吐露する彼を耳にして。 「……良かった。最後まで座敷童で通すのかな、って思っちゃいました」 ふふ、と笑う。 「なんとなく分かってましたよ。私はあまり気にならないですけど…でも、言ってくれて良かった」

2015-04-19 18:09:51
染井 恭子 @Swamp_swap

そんなねぶるの告白を既知のものと判断し思いっきり聞き流しながら、携帯が入っていたポケットを漁る。 レシートやくずごみを落としかけながら、目的の物を引っ張り出す。 「これ、あげる。」 ねぶると手を繋いだまま不老へ、自分の学校名と名前。メールアドレスが書かれた名刺を差し出す。

2015-04-19 18:58:28
染井 恭子 @Swamp_swap

火野にも視線を転じて、目線で要るかと問い掛ける。 にぎにぎ にぎにぎ 無意味に 存在はアピール。

2015-04-19 18:58:32
不老 蓮 @Lotus_frow

ぽとぽと落ちるレシート等を見ながら、あげる、と差し出されたのは学校や名前、メアドの書かれた名刺。 それを受け取り、名前のほうに先ず目が行った。 「染井……恭子」

2015-04-19 19:21:20
不老 蓮 @Lotus_frow

彼女の名前はこの三日間で分からなかった。ここにきてようやく判明した『黒いの』さん 彼女の足元に転がった紙くずを拾い上げながらくしゃりと笑う。 「ありがとうございます、恭子さん」

2015-04-19 19:21:23
染井 恭子 @Swamp_swap

「あっ。」 うっかりしていた。 と、言わんばかりに名刺と不老を見比べ。諦める。 「何かあったら、手伝える、かも。だから。」 まぁ、彼女がいれば問題ないかと 水藤をみて、頷く。 「でも、恥ずかしいから。調べちゃ、ダメ。」

2015-04-19 20:08:59
不老 蓮 @Lotus_frow

「……?」 なにかまずいことでもあったのだろうか。諦めるようなそれに違和を覚えたけど、それは追求しないようにした。 ……仕事柄、僕は人と接することは多い。僕も名刺を作るべきか。 「……じゃあ僕も」 メモとペンを取り出して、自分の連絡先と名前をお返しとして差し出す。

2015-04-19 21:01:15
遊灯華 @youtouka

手の甲に重ねられた手は、己のそれより一回り大きく、暖かく、そして、どこか力強かった。 「……ひの、ゆうなは、あたたかい」  笑みを浮かべながら呟いた言葉は、滑舌が悪すぎたのと声が小さすぎたのと、あやかしが急に張り上げた声にかき消されて、ほとんどの人間には届かなかった

2015-04-19 22:08:19
蓮田 颯丞 @hasterMissing

染井の視線の意味に気付いて、にこっと笑うと。 「ありがとう。……今回はスマホ忘れちゃったから、帰ったらすぐに送るね」 今回最大のミスが何かと言えば、きっとそれだろうと思う。 でもまあ、少し手間はかかるが、連絡手段ができるのだから問題はない。

2015-04-20 05:06:01