【あやかし草紙】まとめ 2012年水無月

タグ #あやかし草紙 をつけていただいた呟きのまとめ
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@sakutukixxx

その音を聞いたのはほんの偶然だった。朝、いつものより一本早い電車に乗れた。たったそれだけの気まぐれ。だけど、ひとけのない学校の屋上で、僕は彼女が歌うのを聞いた。聞いたことのない言葉は、心地よい音となって僕を捕らえた。広がる草原と青空が見えた。 #twnovel #書き出し

2012-06-30 12:42:41
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

よし、殺す。キチンと殺す、さくっと殺す。綺麗に殺す!「なんだ物凄く殺気を感じるぞ?」「…」残り少ない米ぜーんぶ食った宗旦狐に弁解の余地はない。「…烏粋、心がせまいうえおとなげない」…あとで猫又を一発ぶん殴るか。 #Chrys #書き出し #あやかし草紙

2012-06-30 01:30:02
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

「アナタはだぁれ?」少女が怯えた声で尋ねる。あやかしには見えないな。「アナタもわたしを、いじめるの?」「いじめない。…外へ出たいか?」少女は頷く。「そうか」あやかし―座敷童に手を差し延べる。「一緒に行くか?」「行く…連れてって、外へ」 #Chrys #書き出し #あやかし草紙

2012-06-29 23:47:55
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

「ほれ腕を出せ」「あやかしの手当てなど…」「いいから腕を出せ。出血が止まらなくなるぞ?」"烏天狗の手ぬぐい"の葉を縦に裂き、包帯のように巻く。「これでしばらくは大丈夫だろ」烏天狗は親しみを込めた笑みを浮かべる。 #twnovel #あやかし草紙 烏天狗の手ぬぐい・その2

2012-06-28 21:29:31
@sakutukixxx

あなたはこの私に敗北したんだ。髪の間からのぞく耳に囁きを流し込むと、しなやかな体が恥辱に強張るのが薄い単の上からでもはっきりとわかった。敗北と悦楽に震える体の線を指でなぞって噛み締める唇に口づけを落とす。蕾が綻ぶように解けるのに時はかからなかった。 #書き出し #twnovel

2012-06-28 21:23:10
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

なぜか俺は人間の侍に戦いを挑まれている。かなり思い込みが激しい侍だ。俺の手には「烏天狗の手ぬぐい」が握られている。一時的に妖力を高める草。「こんなもんなくても、気絶させるだけで十分だ」それを瞬時に燃やし灰にした。 #twnovel #あやかし草紙 烏天狗の手ぬぐい・その1

2012-06-28 21:04:55
@sakutukixxx

野良おもちゃは、自分で動くようになる。人間に頼らず、行きたいところへ行くようになる。だけど、どんなに自由に動けても捨てた人間に復讐したりはしない。楽しかった時も確かに覚えているからだ。だから、おもちゃ箱のすみに押し込めるくらいなら、最後に自由を頂戴。 #twnovel

2012-06-28 14:35:58
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

「…ふぅ、こんな暑い日はこれに限るな」烏天狗は泉の中で水浴びをしていた。その様子を女童が草むらの中でじっと見詰めている。「…なんかいたか?」「!?」いつの間にか彼女の背後に烏天狗が立っていた。「…覗きは勘弁してくれ、せっかくの水浴びが台なしだ…」 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-26 12:49:23
@sakutukixxx

「主殿。煌月の周にて、今宵は忘年の宴を設けております」霊峰煌凰山の主殿はふわりと笑って頷いた。「早いな。もう年も暮れ行くか」すでに薄暗い空に大きく明るい月がかかっている。「来年もよろしく頼む」「承知」月の似合う主殿の笑みに、私は深く頭を垂れた。 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-26 06:52:58
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

七夕の日に会えるのは、織姫と彦星だけじゃないんだよ。死者にも会えるんだって。つまり逝ってしまった愛する者と再会することができるんだ。けど期間は一日だけ。それを過ぎたら死者はあの世へと帰ってしまう。期間を守れるのなら、その場所に案内するよ。 #Chrys #書き出し #あやかし草紙

2012-06-25 23:08:07
@sakutukixxx

耳を澄ませると、いつも聞こえてくる旋律がある。誰にも聞こえないその音楽は僕を深い森へ誘い、そして僕は歌う彼女に出会う。「私のために死んでくれる?」微笑む彼女の為に僕は湖に身を投げる。たった一度のくちづけに、満ち足りた気持ちのまま。 #twnovel #Chrys #あやかし草紙

2012-06-25 12:42:36
@sakutukixxx

「さあ、これを御覧なさい」小間物売りは背負った荷から出した行灯の中の蝋燭に火を灯した。そっと覆いをすればそこに柔らかく光が映る。やがてそれは見慣れたあの人の面影に変わってゆく。「幻の中でしか、もはやあなたは生きられないのですね」声が遠く響いた。 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-25 07:06:15
@sakutukixxx

燕は今日も花街を気ままに飛んでいる。昼ののんびりとしたこの町は騒がしくなくて飛びやすい。「寄ってお行きよ」顔馴染みの姐さんに声をかけられても、ひらりと宙返りして飛び去ってしまう。寄る軒先はあいつの場所と決めているのだ。 #twnovel #twnvcon 【鳥】 #あやかし草紙

2012-06-23 15:32:52
@sakutukixxx

「時間切れね」哀しげに微笑んで彼女は俺を見た。朝日をいくら防いでも、朝が来ると無情な術は作動する。彼女の体がほのかに光り、縮んでいく。小さく、小さく。そして。「おはようー」幼くなった彼女が目を開けて、無邪気に僕に笑いかけた。 #あやかし草紙 #twnovel #twnvcon

2012-06-21 21:05:55
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

「みんな濡れてしまえ〜」「…何やってんだ!お前は!」俺はすかさず雨降小僧を殴った。「痛ってぇ〜殴ることはねーだろ!」「…黙れ。お前がやたら雨を降らしたせいで、びしょ濡れになっちまっただろが!」このままだと風邪を引きかねない…。 #あやかし草紙 #書き出し

2012-06-21 21:04:11
魚住すくも@大阪 @u_sukumo

薄暗い納屋の中で息をひそめている。何も考えない、何も見ない、何も聞かない。何時間ぐらいそうしてただろう。いつしか僕の身体は空気と同じになっていた。隠れ身の術って案外簡単にできるものだな、とその時はまだ、気楽に考えていた。 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-21 20:38:47
@sakutukixxx

雨はやまないけど、僕は迷った末、番傘をさして外へ出た。夏至の祭りは年一回だものね。人混みは苦手だけど、珍しいものが手に入るかもしれないし。意外とあやかしたちは新しいものにも敏感だから、出店は気になるんだ。「好奇心は猫をも殺すってな」「うるさいよ」 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-21 20:35:41
@sakutukixxx

「夏至なんて嘘でしょ?何この寒さ」猫又の翡翠が文句を言っている。すでに布団に潜り込んでいるせいであまり迫力がない。「夏至の祭りは取り止めか?」「いや、鎮守の森で結界を張るのだと」「そこにいくまでに濡れちゃうじゃない!」・・・猫は置いていこう。 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-21 18:12:07
@sakutukixxx

僕は雨の中、あの子のおかっぱ頭を探した。今日は紫陽花の柄の浴衣に藤色の帯という姿で、神社の鳥居の上で足をぶらぶらさせていた。「紗綾。大福食わないか?」声をかけると嬉しそうに笑んで飛び降りる。ぱくりと頬張る姿はとてもあやかしには見えなかった。 #twnovel #あやかし草紙

2012-06-20 12:47:02
@sakutukixxx

紗綾はいつも思わぬところに座っている。屋根の上、バス停、学校や神社。おかっぱの髪を揺らして空を見ている。雨に降られていても濡れることはなく、彼女が現れると次の日は梅雨の晴れ間が訪れる。だから梅雨晴らしの紗綾は皆に好かれているあやかしなのだ。 #twnovel #あやかし草紙

2012-06-20 07:04:33
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

@sousakuTL また二人でこの星空を見に行こう…、と私たちは約束した。お前が藤色の着物を着こなしていたことを、今でも覚えている。鬼の血を引くこんなわたしでも、お前は愛してくれた…。 #twnovel #あやかし草紙

2012-06-19 23:50:38
神威 鴉魔@テラー民🫠 @crow0404

起きろ!目を覚ませ…!お前はわたしの妻になるのではなかったのか?!わたしを遺して逝くな…!!そんなのは、許さんぞ…!お前がいないこの世界で、わたしは…どうやって…生きたら、いいのだ…?悲しみが血の涙を流し、鬼と化す…。 #締め #Chrys #あやかし草紙

2012-06-19 00:36:37
あやかしbot @宵月楼 @ayakashi_bot

「なぜだ?」「色々あるんだよ」意味深に笑って、翡翠は「あとは任せなよ」と瑠璃丸の肩を叩いて凛音のそばにしゃがみこんだ。瑠璃丸は、訳がわからないながらもその方がよいということはわかったので、そっとその場を立ち去った。夜が更けたら翡翠を問いただそう。そう心に決めて。 #あやかし草紙

2012-06-17 17:48:01
あやかしbot @宵月楼 @ayakashi_bot

「やだ」ふくれた凛音は瑠璃丸に背を向けた。「何言ったの」こそっと聞く翡翠に瑠璃丸は眉をひそめた。「母の日に俺に贈り物をしてくれたのだから、父の日には琥珀になにかやらぬのか、と聞いたのだ」翡翠はそれを聞いて深々とため息をついた。「そりゃ、へそを曲げるよ」 #あやかし草紙

2012-06-17 17:43:35
@sakutukixxx

今年の桜は、去年よりも紅が濃い。その理由は俺だけが知っている。まだ冬の寒い夜、俺はあいつをここへ埋めた。人間に殺されたその無残な亡骸を俺の涙と共に埋め、そして恨みを桜に吸わせた。今年の桜はきっと見るものの心を惑わし、絡めとって押しつぶすだろう。 #あやかし草紙 #twnovel

2012-06-17 07:39:48