白無垢を来た花嫁は、その夜、鬼と婚姻する。否、婚姻という名の生け贄であると花嫁は知っていた。「よう来た」岩屋に一人残され名残の月を見ていた花嫁が驚いて声の方を見ると、そこには闇夜色の着物を来た鬼が立っていた。美しさに声を失った。 #Chrys #twnovel #あやかし草紙
2012-06-09 20:45:56四つ辻を通りすぎると、着流しに身を包んだ男前に出くわした。…尻尾が出ていたが。尻尾の形・色合いから、おそらく妖狐だろう。妖狐はそのまま去っていた。「…尻尾が出てたこと、教えるべきだったか…?」 #あやかし草紙 #Chrys #twnovel
2012-06-08 22:15:23「男とか女とか、若いとか年取ってるとか、人間とか猫とかあやかしとか、そんなんどうだっていいよ。もっと大事なことは他にあるでしょ?」黒猫はそう言って、人間の姿になると蛍の瞬きを指にとまらせた。「あの人はいつもそれを教えてくれるんだ」 #Chrys #twnovel #あやかし草紙
2012-06-08 21:21:28憐れむような瞳に腹が立った。こちらは命を狙っているというのに。鎖鎌を構えると、彼は指の先に狐火を生む。自分が望んでも得られなかった力。「あやかしの癖に人の武器を使うか」「言うな!俺は化け物じゃねえ!」稲荷の境内に殺気が満ちた。 #Chrys #twnovel #あやかし草紙
2012-06-08 20:59:41「ねえ」「ん」「ペットショップで私、フェレットが欲しいって言ったよね」「ああ」「フェレットって、イタチっぽいよね」「ああ」「でも両手鎌じゃないよね」「ないな」「あと、こんな風に人と会話しないよね」「しないな」「あ、その書類裁断しといて」「あいよ」 #あやかし草紙 #twnovel
2012-06-07 23:02:49豆腐小僧が居候して早、数日後。星が綺麗なある夜のことだった。「…なんだ、そいつは?」「猫又ですよ」「…見ればわかる」どこで拾ってきたのかわからないが、豆腐小僧は猫又を抱えて帰ってきた。 #Chrys #あやかし草紙 #twnovel
2012-06-07 12:59:03