【第四部-八】僕達のひとつの着地点 #見つめる時雨

時雨 龍鳳 山城
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

…山城、どうしてそんな顔をするの? 僕はもう大丈夫だから。笑って。僕はキミに、笑顔でいて欲しいんだから。

2015-04-26 21:05:58
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龍鳳「…こんばんは、時雨」 時雨「龍鳳。こんばんは」 龍鳳「…時雨、少しだけお話したいことがあるの」 時雨「…どうかしたの?」

2015-04-28 00:51:44
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龍鳳「…ねぇ、時雨。最近山城さんと何かあったの?」 時雨「え…いや、特に何もないけど…」 龍鳳「…本当?」 時雨「どうしてそう思うの?」 龍鳳「…なんだか最近、山城さんの様子が少し違うから…」 時雨「…そうかな」

2015-04-28 00:53:14
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龍鳳「それに時雨も。どこか山城さんに遠慮してるように見えるの」 時雨「…そんなことないよ。気のせいじゃないかな」 龍鳳「ううん、気のせいじゃないよ。ねぇ、何があったの?」 時雨「だから、何もないよ」 龍鳳「…そう」

2015-04-28 00:55:05
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龍鳳「本当に私の勘違いなら…ごめんなさい。変なこと聞いちゃって…」 時雨「……」 龍鳳「…ごめんね。また、明日…」 時雨「…待って」 龍鳳「え…?」 時雨「…その…区切りを、つけたんだ」

2015-04-28 00:57:02
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龍鳳「区切り…?」 時雨「この前ね、龍鳳を、山城を、夕立を泣かせてしまった僕の気持ちに、区切りをつけたんだ。だから、むしろ今までよりも心はスッキリしてるよ」 龍鳳「…山城さんへの気持ちを、諦めたの?」 時雨「…悔いは、ないよ」

2015-04-28 00:59:18
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龍鳳「嘘」 時雨「嘘なんかじゃ…」 龍鳳「嘘。嘘…!」 時雨「龍鳳…どうしてそんな…」 龍鳳「だって、だったらどうして時々悲しそうな顔をするの。山城さんもしてるよ? 気づかないの?」 時雨「そんなこと…」

2015-04-28 01:00:46
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時雨「これで、ようやくキミの気持ちにも本当に向き合える。だから…」 龍鳳「…駄目だよ、時雨」 時雨「…え?」 龍鳳「時雨、泣いてるよ…」 時雨「…泣いてなんか…ない…」

2015-04-28 01:05:23
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時雨「じゃあ龍鳳…僕はどうすればいいのかな…。どうすれば皆を泣かせずに済むのかな…」 龍鳳「時雨…」 時雨「どんな選択肢を選んでも、必ず誰かを泣かせてしまう。…どうすればいいのか、わからないよ…」

2015-04-28 01:06:58
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龍鳳「…ねぇ、時雨? 私はいいんだよ? 時雨が、山城さんのことを想っていたとしても…」 時雨「…それじゃ、ダメなんだ…。キミだけじゃない、山城も悲しませてしまうんだ…」 龍鳳「山城さんを…?」 時雨「僕がキミにしてることが、耐えられないって…」 龍鳳「…いいのに、そんなこと」

2015-04-28 01:10:47
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龍鳳「…時雨はどう思ってるの?」 時雨「……」 龍鳳「…うん。その気持ちだけで十分だよ、私は」 時雨「でも、それじゃ…」 龍鳳「いいの。私は、時雨の傍にいられるだけで、幸せだよ。…時雨に遠ざけられちゃったら、流石に本当に泣いちゃうけどね。えへ」

2015-04-28 01:13:31
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山城「…龍鳳、貴女…」 龍鳳「あ…山城さん」 時雨「山城…」 山城「…ごめんなさい、少し聞かせてもらったわ…」 龍鳳「いえ、いいですよ。むしろ…貴女には聞いて欲しかったことですから」

2015-04-28 01:15:54
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山城「貴女は、私に怒りを覚えたりしないの…?」 龍鳳「…どうしてですか?」 山城「どうしてって…」 龍鳳「だって、時雨は貴女が好きなんです。どうしようもなく。これは誰のせいでもないですから」 山城「でも、私は時雨の気持ちには…」

2015-04-28 01:18:30
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龍鳳「…山城さんは扶桑さんのことが好きなんですよね」 山城「…ええ」 龍鳳「だったら、しょうがないです。時雨もそれを承知なんですよね。…でも、時雨は貴女を想い続けることを選んだ。そして貴女はそれを受け入れた」 山城「……」

2015-04-28 01:21:04
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龍鳳「時雨はそれでいいんだよね? 良かったんだよね?」 時雨「…うん」 龍鳳「…私もです。私が受け入れて欲しいのは、時雨の傍にいることだけです。気持ちまではもう望んでいません。…時雨に泣いて欲しくないから」

2015-04-28 01:23:50
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山城「…龍鳳がそれでいいって言うのなら、私はもう…何も言えないわ」 龍鳳「ふふ…ありがとうございます」 時雨「…龍鳳」 龍鳳「そんな顔しないで、時雨。…もっと早く、こうして話し合っていればよかったんですね」

2015-04-28 01:27:21
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龍鳳「…あ、山城さん…その、一つ許して欲しいことがあります…」 山城「え…何かしら…?」 龍鳳「えっと…私が時雨と…いいことをするのは…」 山城「待って、それ以上言わなくていいわ。…大丈夫よ、何となく察してたから…」 時雨「…え? …え!?」 山城「…気づいてないとでも思った?」

2015-04-28 01:30:13
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山城「そもそも、私に断りを入れる必要なんて…」 龍鳳「入れなきゃいけないなと思いまして、ね?」 山城「……」 時雨「や、山城?」 山城「…このっ」 時雨「いたっ!?」

2015-04-28 01:32:58
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山城「…何だか少しすっきりしたわ」 龍鳳「ええ、私もです。…ね、時雨?」 時雨「龍鳳…」 龍鳳「…そんな顔しないでってば。きっとね、ここが一番いい着地点だと思うの。…私達にとって」

2015-04-28 01:35:50
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龍鳳「あと…山城さん、ありがとうございます。私を、不憫に思ってくれたんですよね」 山城「…え」 龍鳳「時雨から聞きました」 山城「…お礼を言われることじゃ…」 龍鳳「ふふ、私、もっと山城さんとお話してみたいです」 山城「やめて、何だか怖いわ」 龍鳳「そんなことないですよ、ね?」

2015-04-28 01:39:18
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山城「…二人とも、そろそろ寝ましょう。明日の夜に備えて」 龍鳳「あ…そうですね」 山城「…時雨。頼りにしてるわよ。…龍鳳も」 龍鳳「はい、任せてください」 時雨「…うん」

2015-04-28 01:45:05
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山城「こら、何辛気臭い顔してんのよ! しっかりしなさい!」 時雨「山城…」 山城「…あんたのせいじゃないわ。皆が皆、色々考え過ぎて、ぐちゃぐちゃになってただけ。あんたは、あんたの想いたいように想えばいいわ。私もそうするし、龍鳳もそうする。それが私達にとって、一番いいことなのよ」

2015-04-28 01:53:39
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時雨「…山城。うん…ありがとう。龍鳳も…」 龍鳳「時雨」 時雨「うん?」 龍鳳「…好き」 時雨「…え!?」 龍鳳「…ふふ、顔赤いよ? ふふ」 山城「…貴女もだいぶ逞しいわね…」

2015-04-28 01:58:43
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山城「…さぁ、今度こそ寝るわよ」 龍鳳「はい、山城さん。おやすみなさい。…時雨も、おやすみ」 時雨「…うん、おやすみ、山城、龍鳳。…ありがとう」――

2015-04-28 02:07:47