不知火に落ち度はない　34（第十七駆逐海賊団編　その２）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

しょーがねー。 「不知火、タクシー呼び止め頼む。俺ちょっと煙草吸ってくる」 「有害な司令が居たからでしたか」 「申し訳ありません……」 泣くぞ。 世知辛すぎるにも程がある。 不知火だけと一緒のときは、フツーに捕まったのにな。 複数連れはだめなのか。 #不知火に落ち度はない

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と思ったら、である。 「へいすとっぷぷりーず！！ へいすとーっぷ！！」 だばだば手を振って、タクシー追いかけてる奴がいる。 すっげえ駄目な英語叫びながら。 あとすっげえたぷたぷ揺らしながら。 す っ げ え 他 人 の 振 り し た い。 #不知火に落ち度はない

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必死になってたのか、汗まで出して張り付いてるし。 しかし、大変タクシーの運ちゃんに効果あったらしい。 すごいねたぷたぷと駄目な英語。 「タクシー取れましたよ！！」 振り返ってガッツポーズ浜風である。 うん。そうな。 神通も不知火もこれには苦笑い。 #不知火に落ち度はない

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ちなみに止めちゃったのはもちろん、タクシーに料金メーターがついてないやつ。 まあ、背は腹に変えられんよね。 「ほれ、乗った乗った。出発進行な」 早速3名を乗っけて、当然荷物は後部座席にだっこモード。 浜風は半分荷物に埋もれてたが。 #不知火に落ち度はない

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さて、あとはこの運ちゃんが、真面目に働いてくれますように。 「ここのホテルまで頼むわ。この100ペソ2枚やっからよろしく頼む。外国来てまで運動したくねえ」 「ＯＫ、ＢＯＳＳ」 英語通じるっていいよね。 あ、煙草吸っていいって？ 気ぃ効くね。 #不知火に落ち度はない

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そうして出発開始。いったん目指すはセブシティのホテル。 そこで荷物下ろしたらとっとと作戦開始である。 「この煙草、うまいね兄ちゃん」 「でしょう？ このへんでもとびっきりの奴ですよ、お客さん」 良いドライバーに当たって幸せだわ、今日は。 #不知火に落ち度はない

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さて、ホテルに到着して現在、部屋で一服なう。 日本人オーナーのホテルだったらしく、日本語は通じるようで一安心。 部屋割りは、メスゴリラがどういう意図でやったのか２：２だったので、遠慮なく俺がベッド二つ使うことにしました。 遊ばれてたまるか畜生が。 #不知火に落ち度はない

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日本人オーナーのホテルを選んだ意図はわかるけどな。 つまり『派手に暴れるな』っつー、メスゴリラからのありがたーい足かせである。 わーってますって。町中で銃撃戦を展開するようなことはしませんて。 よそさんの国で暴れていいのはロシアだけだって知ってるから。 #不知火に落ち度はない

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ロシアはいいぞ。すごくいいぞ。 ロケラン1発ぐらいならセーフになるってモグリが言ってたし。 さてさて。俺もさくっと持ち込んだスマホで調べ物しますかね。 無線ＬＡＮ使える恩恵は受けられるから、使えなくても持ち込んでおくのは常識です。 #不知火に落ち度はない

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ふむ。ストリップのあるバーはこの付近に３つもある。 レンタカー出せるところもあるし、良いことずくめだな。 んじゃあとは、も一個特殊な調べ物しよっか。 これは不知火がとっくにやってるかと思うが。 いわゆる付近で銃器を取り扱う店である。 #不知火に落ち度はない

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早速長門にメールぽん。 早速返信が来る。 『こんやはおたのしみですか』 『お前は母ちゃんか。周囲で銃売り買いできる店のリスト頼む』 『ドンパチやるなってわかってないのか？』 『わかっとるわ。連中が買うって考えないのか？』 『ああ、なるほどな』 #不知火に落ち度はない

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そうして２０分ほど待つと、早速リストがやってくる。 『まあ、そこのご近所は治安が良いので取り扱ってないな。車が要るぞ』 『だろな。明日浜風でも連れて店行ってみる』 『そこは神通の方が良くないか？』 『不知火にお守りさせるのどうよ』 『過保護だな』 #不知火に落ち度はない

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過保護言うな。 初海外の浜風を、不知火に任せておくわけにゃいかんだろ。 『では情報収集に不知火と神通を？』 『神通は隊長。不知火が情報収集担当だ』 『運転免許は神通も持ってるのか？』 『おう。２台編成で行く。タクシーは足がつきやすい』 #不知火に落ち度はない

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『ふむ。ところで、誰と一緒の部屋になった？』 『俺が一人でベッド２つ占領したわい』 『なんだ、せっかくのサプライズを』 『開放的なバカンス気分でヘイヘイホーとかしません』 『ホノルルでやったくせに』 『今そう言う話の流れじゃねえだろ。で？』 #不知火に落ち度はない

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『もちろん。浜風の暴走抑止だ。否が応でもどちらかとベッドを一緒に使うことになるからな』 『デケぇサイズのベッドだと思ったわ。やっぱそこ不安か？』 『仮にも仲間の窮地だからな。万一暴れても平気なメンツだろう？』 『俺と二人きりならどうしてたろうな』 #不知火に落ち度はない

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『ふむ。司令の所に居る場合は、一人では行かないと思うぞ』 『なんでかね？』 『真面目に言うと、先に司令が一人で行くから』 やべ、言い返せねえ。 くっそ、ぐうの音もでませんね。ぶっちゃけその通りですよ。 ガムテでぐるぐる巻きにして寝かせとくわ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

『さて、長門や。メールの逆探とかできる？』 『無理に決まってるだろ。何重にハッキングかければいいのか見当もつかない』 ですよねー。二昔前にあったメール脅迫文ですら捜査に相当時間かかったし。 『イマココとか入れてねーかな』 『そんな間抜けは司令だけだ』 #不知火に落ち度はない

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つわけで、龍田はそれを1晩でやったっつー、離れ業を見せてくれたってことか。 一人のマンパワーだけでやったとしたら相当だな。 スパコンとかあるって噂はほんとかね。 そんな考えに耽っていると、ドアがノックされる。 『わり、作戦会議』 『ああ』 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「どうぞ」 「失礼します、提督」 ドアを開けてやってきたのは神通である。 ホテルではジャケットを脱いだらしく、上着はシャツ一枚。 うむ。シャツ越しに見える適度な重量感が素晴らしい。 姉とは真逆の育ち方をしているようでなにより。 「あの……」 #不知火に落ち度はない

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お、やべ、視線に気づかれた？ 「ケブラーですが、問題ありましたか？」 「いんえ。素晴らしいと思います」 防刃ですよこの人。実戦想定済みか。 「じゃああのジャケットも？」 「はい。9ミリ程度までですが」 鬼の実戦部隊ここにあり、である。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

神通教室では、陸地で一番狙われやすいのが艦娘である、というのを教える模様。 作戦行動中は最低限防護をすること、とか。 一方、那珂ちゃん教室では「アイドルは24時間アイドルだから油断しちゃだめ！」とのこと。 カメラにはかならず目線を向け、スマイルを忘れないこと。 #落ちぬい

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「提督は、防護服は？」 「ん。アロハで十分」 ラブ＆ピースです世界は。 武器より握手の方がずっと楽だし、酒でどうにかなるはずだし。 「流石ですね」 「それほどでも」 さて、作戦を話すとしよう。 早速ベッドの上に地図を広げて会議を始めることにした。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「方向としちゃ多分、クルーザーは近くの島に置いてると思う。ニュースを調べた限りセブ島で海賊が出たって話もでてねえ」 「そうですね。否が応でも目立つでしょうから……」 情報の照合をしつつ、いろいろと話をしていく。 連中の行動パターンを想定していく。 #不知火に落ち度はない