やたらと真っ赤な<守護戦士>~激震のマウンピア~ 【第三話/アキバの街の冒険者】
マウンピアの空を覆う大量の《鋼尾翼竜》。 そのどれもが体中から水晶を生やし、獰猛な金切り声を上げてこちらへと向かってくる。 「そんな…やだよう、こんなのやだよう……!」 「こりゃあ…参ったスね…」 「まだだ…!あたしはまだやれる……!」 皆の心が大きく揺さぶられる。 <61>
2015-05-18 22:31:30「……"翼よ"」 虎の子の《幻翼の宝珠》を発動する。 俺の体は重力から解き放たれ、そのまま上空へと浮遊する。 「伊達さんっ!?何をする気なんだっ!!」 「血迷ったか!早く前線に戻れ!!」 エミールとキリー姐さんが叫ぶ。 だが、もう決めたのだ。 <62>
2015-05-18 22:36:52「《オーラセイバー》!《スカーレットスラスト》っ!!」 《変異鋼尾翼竜》の群れに向かって飛行しながら、俺は残ったMPのありったけで特技を乱発し、ヘイトを一気に高める。 「ザイン!エミール!皆を連れて撤退しろ!!ゲート使う時間は俺が稼ぐ!!」 「無茶だよ!!」 <63>
2015-05-18 22:40:55《変異鋼尾翼竜》の群れは狙い通り、俺に向かって進路を変える。 「おら、てめぇらの相手はこっちだ!」 猛り狂った翼竜の群れはこちらの挑発に呼応するように、口から稲妻を纏った青白い熱線を吐き出す。 《鋼尾翼竜》がブレスを吐くなんて初耳だが、これも[変異]の影響なのだろう。 <64>
2015-05-18 22:50:56戦闘機のドッグファイトよろしく、空中でターンを繰り返しながらギリギリで熱線を避け続ける。 それでもやはり何発かはもらってしまい、苦痛と痺れが俺を襲う。 これで1,2分くらいは稼げただろうか? それだけあればこの戦場からフリップゲートで離脱するには十分なはず…! <65>
2015-05-18 22:59:31だが、地上に視線をやると仲間たちは依然として抗戦を続けていた。 「おい、全員離脱しろって……!!」 「やあ伊達くん。君は本当に無茶が好きだね」 「ザインっ!?なんでお前まで!?」 なんと、ザインまで《フライ》で上昇し、こちらに平行して滑空してくるではないか。 <66>
2015-05-18 23:03:46@Dateryu 「やれやれ随分と高い場所を飛んでいいるね ここまで来るのに無駄に時間がかかってしまったよ それにしてもいい天気だね あれはヒロセの神殿街かね? おやおや霊峰フジも綺麗に見えるじゃないか」
2015-05-18 23:15:40「良いニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」 「おま!?この状況下で何を……!」 「早く答えたまえ」 「ああもう!じゃあ悪いニュースから!」 「悪いニュースだね。どうやら皆は君の指示に従う気がないようだ」 「そんな事かよ!?くっそあいつら…!」 <67>
2015-05-18 23:07:22@Dateryu 「そもそも私を差し置いて全体指示を出しあまつさえ特攻かね 何かね一人残った俺かっけーかね みんな助かってハッピーかね 舐めるなよ伊達龍之介 英雄とは決して諦めないものの事をいうのだよ 分かったらさっさとこの戦いに蹴りをつけて皆に叱られてくるのだね」
2015-05-18 23:26:31@kisa1446 @Dateryu 「まったくザインの言う通りだな。コイツを使うハメになるとは思わなかったよ」 普段の儀礼服姿とはうって変わって、ヴァルキリーメイルによく似た鎧姿で飛翔していた。
2015-05-18 23:35:19「そして良いニュースの方だ。心して聞くといい」 「うわっバカお前!後ろ――!」 大口を開けてザインに迫る一体の《変異鋼尾翼竜》。 ザインを庇おうとするが間に合わ――… 「土壇場での無茶っぷりは相変わらずのようだな、兄貴」 「そう、援軍が間に合ったのさ」 <68>
2015-05-18 23:14:14ザインを狙った《変異鋼尾翼竜》をレーザーバリスタの光条が撃ち貫く。 更に改良の進んだ背中のロケットブースターで空中を自在に飛び回る全身機械鎧の大男。 それは、言うまでもなく夢見る弩砲騎士の姿であった。 ……考えてみればこいつも山羊スラ戦車といい勝負だよね。 <69>
2015-05-18 23:20:27「なんだ兄貴?こんな面白そうな戦、俺が参加しないわけがないだろう?」 「彼らとは予備戦力として後から合流する予定だったが何しろこの状況だ。少し予定を早めてもらったのさ」 「そういうことは予め言っとけよっ!?」 「いやあ、私もあの山羊スライムに少々度肝を抜かれてね」 <70>
2015-05-18 23:29:35…ったく、手回しがいいんだか悪いんだか。 苦笑しつつもすれ違いざまにオンスロートでまず一体。 弩砲の奴が来たとはいえ、この戦況をひっくり返すにはまだ足りない。 ここからが踏ん張りどころであることは確かなのだが――― 「ふ、援軍が俺だけだと思ったか?兄貴」 <71>
2015-05-19 00:07:52弩砲のブースターユニットの両翼に1個ずつ装備された長方形の見慣れぬコンテナが爆破ボルトで展開する。 「……二人とも何してんのよ」 「こういう登場も面白いかなって」 「ふ、これもまた一興」 狐狼刀刃…秋水さんと狗狛の二人が弩砲のブースターに固定されていた。直立不動で。 <72>
2015-05-19 00:14:56「よし、切り離すぞ!」 「征くぞ、命の理外れし者共よ。我ら狐狼刀刃がお相手しよう」 「ああ、征こうか……ってちょっと高くね!?」 高度130mからの自由落下なぞ意に介さず、そのまま重力を載せて地盤ごと変異エネミーを叩き斬る狗狛と秋水さん。 これぞまさしく出落ちである。 <73>
2015-05-19 00:27:30@Dateryu 「大丈夫なのか……?」 飛行アイテムや装備を持たず飛び出した狐狼刀刃を見て唖然とするが、後からの援軍に後れを取るわけには行かないので、 「彼らにおいしいところもって行かれたままで良いのか?行くぞ!」
2015-05-19 00:44:08しかし、弩砲も狐狼刀刃も確かに戦力としては心強いことこの上ないが、この状況だと3人とも継戦能力が…… 「ふむ、そういうと思っていたよ伊達くん」 いや言ってねえよ。モノローグ読むなよザイン。 「もちろん援軍は彼らだけではない。私もとっておきを見せるとしよう」 <74>
2015-05-19 00:32:40そう言うとザインはおもむろに念話を始めた。 「準備はいいかね?真朱くん」 ん?なんでそこで真朱っこが? 「門よ、我"ら"が前に道を示せ…《口伝:レシーブゲートト》」 瞬間、空間に紫電が走り、大きな楕円形の光の扉が口を開けた。 <75>
2015-05-19 00:41:51「ははは、どうだ驚いたかね。君にばかり美味しい所を持って行かれてはたまらないからね。何?どうやったか気になる?全く仕方ないね伊達くんは。では特別にご教授しよう。いいかね?まずアキバからここマウンピアまでの超長距離をフリップゲートで移動するには」 長え。三行でまとめろ。 <76>
2015-05-19 00:49:02@Dateryu 「伊達さんとお兄ちゃんなに話してるのかなあ。……それにしてもお兄ちゃん伊達さんのこと好きすぎなの。えへへ。さあて、わたしももっとがんばるぞう!」遥か上空を見上げながら明るい笑みを浮かべる
2015-05-19 01:03:30「……つまり、今回は真朱くんをレシーバーとして双方から同時にフリップゲートを展開する事でいくらかの制限付きではあるが向こう側からの人員輸送を可能にした訳だ」 「大体わかった。って言うかすげぇなそれ」 「ちなみに、制限の一つとして、MPの消耗が尋常ではない」 ひゅぅぅぅ <77>
2015-05-19 00:56:33