「一作だけのまぼろしのミステリ作家」シリーズ

mysteryEQ様の、「人に勧めるには注意を要するミステリ」シリーズ番外編 「(ほぼ)一作だけ発表して姿を消したまぼろしの作家」シリーズです ゲストもいらっしゃいます♪ 参考: 続きを読む
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麻里邑圭人 @mysteryEQ

「人に勧めるには注意が必要な作品」シリーズ番外編として「一発屋作家編」をお届けする。記念すべき第1回で取り上げるのは神津慶次朗、真木武志、倉野憲比古の三人。厳密には第二作が予告されている真木武志は一発屋とは言えないかもしれないが古泉迦十の例もある為ここではあえて一発屋扱いとする。

2010-12-26 18:26:46
麻里邑圭人 @mysteryEQ

神津慶次朗鬼に捧げる夜想曲」/戦後間もない時代設定。曰く付きの島。奇妙な風習。そして新婚初夜に密室で惨殺される若夫婦……と、どこを切っても横溝風という本作は一方で真相よりダミーの方が優れているという本末転倒な欠点を抱えている。故にこの際、真相には目を瞑って頂ければ幸いである。

2010-12-26 18:28:53
麻里邑圭人 @mysteryEQ

真木武志ヴィーナスの命題」/第20回横溝正史賞最終候補作である本作は長門有希の100册選定図書という売り方をされているがハルヒと似た物と思って手に取ったら大間違い。その厨二病的痛さの前に挫折すること必至である。ミステリと言うよりも痛い青春小説として読んだ方がいいかもしれない。

2010-12-26 18:29:51
麻里邑圭人 @mysteryEQ

倉野憲比古スノウブラインド」/「ミステリ愛読者の諸君よ、『葉桜の季節に君を想うということ』『イニシエーション.ラブ』の次はこれを読め!」それが本作の売り文句である。しかしこの二作を期待して読むと確実地雷なので(爆)どちらかと言えば「黒い仏」が好きな人にこっそりお勧めしたい。

2010-12-26 18:31:16
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。この中で個人的に好きな作品を選ぶとするなら神津慶次朗「鬼に捧げる夜想曲」だろうか。とりあえずダミーの解決だけでも(!)一読の価値がある作品だと思う。

2010-12-26 18:32:33
麻里邑圭人 @mysteryEQ

「人に勧めるには注意が必要な作品」シリーズ番外編「一発屋作家編」第2回をお届けする。今回取り上げるのは相原大輔射逆裕二相村英輔の三人。正確には三人とも二作以上出しているので「一発屋」とは言えないかもしれないが、その辺は大目に見て頂ければ幸いである。

2010-12-29 23:26:02
麻里邑圭人 @mysteryEQ

相原大輔首切り坂」/若竹七海推薦が付いた本作は明治時代末期の東京を舞台に首のない「首切り地蔵」の上に突如出現した生首という実に魅力的な謎を扱っているが、読み終わってみると「若竹七海よりむしろ霞流一の方が良かったんじゃあ」と思ってしまう。つまるところ本作はそういう作品なのである。

2010-12-29 23:27:07
麻里邑圭人 @mysteryEQ

射逆裕二殺してしまえば判らない」/元検事の女装探偵狐久保朝志が活躍する本作は一見探偵役が少々変わってるだけの普通のミステリのように思えるだろう。しかしながらこれが出た年、本ミスで唯一霞流一だけが本作を推していたという事実が全てを物語っている。本作はバカミス好き必読の怪作である。

2010-12-29 23:28:33
麻里邑圭人 @mysteryEQ

相村英輔不確定性原理殺人事件」/ペダンチックな作品というのはそれ相応の舞台と事件があるからこそ面白いのである。そんな当たり前のことを本作を読むとつくづく思い知らされる。しかも真相がアレときてはもう溜め息しか出てこない。本作は色々な意味で間違ってるトホホ感こそを楽しむ作品である。

2010-12-29 23:29:54
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。この中で個人的に好きな作品を選ぶとするなら射逆裕二「殺してしまえば判らない」になるだろう。ダメミスでは断トツで相村英輔「不確定性原理殺人事件」だが(爆)バカミスという点においては、やはりこの「殺してしまえば判らない」が群を抜いているように思う。

2010-12-29 23:31:45
麻里邑圭人 @mysteryEQ

「人に勧めるには注意が必要な作品」シリーズ番外編「一発屋作家編」第3回をお届けする。今回取り上げるのは城平京、中西智明、飛鳥井士朗の三人。ただ城平京に関しては漫画のノベライズを含めたら一発屋とは言えないかもしれないが、その辺も前回同様、大目に見て頂きたいと思う(汗)。

2010-12-30 21:10:12
麻里邑圭人 @mysteryEQ

城平京名探偵に薔薇を」/今やすっかり漫画原作者の城平京が、唯一書いた長編ミステリが本作である。二部構成の本作は一部だけ読むなら端正な本格として評価することもできるだろう。だが二部の存在が本作を賛否両論たらしめている。具体的にどう賛否両論なのかは実際に読んで確かめてみてほしい。

2010-12-30 21:11:14
麻里邑圭人 @mysteryEQ

中西智明消失!」/「一発屋作家」と言われて大低の本格ファンが思い出すのがこの中西智明である。本作は優れたミステリである一方で真相が明らかになった瞬間、人によってはスケールが一気に狭くなったような悪い意味で落差を覚えることだろう。そういう意味では本作もまた「人を選ぶ」作品である。

2010-12-30 21:12:30
麻里邑圭人 @mysteryEQ

飛鳥井士朗カルロッツァの翼」/中西智明が長編の一発屋なら、こちらは差し詰め短編の一発屋だろう。「奇想の復活」に収録されている本作は「屍の命題」を彷彿させるような強烈なバカミス作品である。特に気球からの人間消失トリックは怒るか笑うかの二つに一つ。因みに自分は笑った側の人間ですw

2010-12-30 21:13:39
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。この中で個人的に好きな作品を選ぶとするなら飛鳥井士朗「カルロッツァの翼」になるだろうか。また中西智明に関しては「法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー」に収録されている「ひとりじゃ死ねない」も「消失!」同様、企みに満ちた傑作であることを最後に付け加えておきたい。

2010-12-30 21:14:20
MAQ @junk_land

「一作だけのまぼろしのミステリ作家」シリーズ、補足させてもらってよろしいでしょうか。一発屋といえば、Kappa-oneの一期生で石持さんや東川さんの同期である林泰広さんの『見えない精霊』という作品が当方は好きで。たしか泡坂さんが推してらっしゃった、実に不思議な雰囲気の本格でした。

2011-01-02 00:48:26
MAQ @junk_land

さらに。3作も出してらっしゃるので“一発屋”なんていったら失礼なんですが、個人的に偏愛しまくりの作家さんなので、尾崎諒馬さんをぜひ。特に全編が異様なまでに暗号に淫しまくった『思案せり我が暗号』は、まさに奇書というか怪作の名に相応しい面妖怪奇な作品。どうにも忘れがたいのですよ。

2011-01-02 01:02:49
麻里邑圭人 @mysteryEQ

「人に勧めるには注意が必要な作品」シリーズ番外編「一発屋作家編」第4回をお届けする。今回取り上げるのは、古泉迦十、津島誠司、早見江堂の三人。このうち早見江堂だけ明らかに浮いているが、細かいことは気にしないように(爆)。

2011-01-06 11:43:51
麻里邑圭人 @mysteryEQ

古泉迦十火蛾」/メフィスト賞作家で(ミステリの)一発屋といえばこの人をおいて他にいないだろう。イスラム世界を舞台にした幻想ミステリである本作は一読その特異な世界観に魅了される反面ミステリとして期待すると些か肩透かしな部分も否めない。世界に酔いしれることこそが本作の見所だと思う。

2011-01-06 11:44:34
麻里邑圭人 @mysteryEQ

津島誠司A先生の名推理」/書き下ろしミステリアンソロジー「奇想の復活」掲載の「叫ぶ夜光怪人」等が収録された本作は島田荘司系の奇想ミステリである。ただ島田荘司作品に比べると派手さに欠ける印象だがそれでも本格の楽しさを味わうには申し分ない良質な連作ミステリであることに変わりはない。

2011-01-06 11:45:45
麻里邑圭人 @mysteryEQ

早見江堂本格ミステリ館焼失」/「本格ミステリへの愛と蘊蓄に充ちた傑作が誕生―これぞ、21世紀の『ザ・火沼(?)マーダー』だ」(以上Amazonより抜粋)確かに本作は忘れ難い衝撃を読者に齎すだろう……ただし悪い意味で。本作は中井英夫に間違った影響を受けた脱力必至の迷作である。

2011-01-06 11:47:37
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。この中で個人的に好きな作品を選ぶとするなら津島誠司「A先生の名推理」になるだろう。尚、早見江堂「本格ミステリ館焼失」は三部作の一作目なので、もしこの作品のアレっぷりに魅せられた人がいたならば続く「青薔薇荘殺人事件」「人外境の殺人」も読んでみてもいいかもしれない(爆)。

2011-01-06 11:49:22
麻里邑圭人 @mysteryEQ

前回からだいぶ間があいてしまったが(汗)「人に勧めるには注意が必要な作品」シリーズ番外編「一発屋作家編」第5回をお届けする。今回取り上げるのは白峰良介剣持鷹士時無ゆたかの三人。これまでは二発屋や三発屋が混じっていることもあったが今回紹介する三人は正真正銘(?)の一発屋である。

2011-04-05 20:03:42
麻里邑圭人 @mysteryEQ

白峰良介飛ぶ男、堕ちる女」/男がマンションの屋上から飛び降りたはずなのに駆け付けると何故か女の死体が転がっていた――という魅力的な冒頭で始まる本作は新本格第一世代の作品であるにも関わらず派手さが一切ない。ただその新本格っぽくなさが逆に新本格が苦手な人にはいいのかもしれない。

2011-04-05 20:05:05
麻里邑圭人 @mysteryEQ

剣持鷹士あきらめのよい相談者」/業界ミステリと日常の謎が融合した短編集。表題作は第一回創元推理短編賞受賞作だけあってよくできていると思う反面レッドヘリングがない為手掛かりを結び付けるだけで簡単に真相が見えてしまうのが難点。むしろミステリ的には「あきらめの悪い相談者」を推したい。

2011-04-05 20:06:02