ねこまたやさんによる「テレシネ」についてのお話【よもやま話5】

フィルムは24fps、テレビは30fps。あれ?どうやってテレビで映画を放送するの? 今回はフレームレートの視点から「テレシネ」についてのお話でございます。 ・ねこまたやさんによる映画が24fpsになったお話【よもやま話】 http://togetter.com/li/72852 続きを読む
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ねこまたや @info_nekomataya

ほーいほいほい よもやま話の続きをしましょうか。 テレビ<>フィルム変換の昔話だ。

2010-12-28 20:32:02
ねこまたや @info_nekomataya

今日は主にフィルムからテレビだよ。「テレシネ」ってやつ

2010-12-28 20:32:19
ねこまたや @info_nekomataya

テレビの始まりの頃、(黒白の頃ね)まだVTRという便利な道具は存在せず、テレビ番組には「スタジオ(やロケ現場から)生放送」と「フィルムで作成して放送」の2種類しかありませんでした。

2010-12-28 20:33:34
ねこまたや @info_nekomataya

え?フィルムは24fpsでテレビは30fps? そう、そのままじゃ放送できません

2010-12-28 20:35:08
ねこまたや @info_nekomataya

もちろんフィルムでテレビ番組を作る最も単純な解決方法は「フィルムを30fpsで回す」ことです。30fpsのムービーカメラは存在します。けっこう最近でもTVCMなどはfilm/30fpsで制作されていたものです。

2010-12-28 20:36:47
ねこまたや @info_nekomataya

では、24fpsのフィルムで番組を作らないかといえば…これまたごく普通に作成されていました。(実はVTRが出来たあとも機材やテープが高価だったので、かなりの間フィルムの方が制作費が安かった)

2010-12-28 20:37:10
ねこまたや @info_nekomataya

ま、そもそも24fpsのフィルムが放送できないと、すでにたくさんある「劇場映画」を放送できないし30fpsでフィルムをまわすと「フィルム代がかさむ」しね。けっこう高いんだよフィルム代…昔はずいぶん気にしたもんだよ。

2010-12-28 20:37:41
ねこまたや @info_nekomataya

実はね、50Hz(25fps ヨーロッパ)のTVでは、フィルム代が24fpsとあまり変わらないのでテレビ用の制作はもっぱら25fpsのフィルムカメラで撮るか、またはちょびっと動きが早くなるのを「覚悟」して24fpsのフィルムを25fpsで再生して使います。

2010-12-28 20:39:14
ねこまたや @info_nekomataya

…つまり「気合」と「心がけ」で解決!ってわけだ。さすがに24と30の差を「気合」で解決するわけには行かなかったので、NTSC圏内では各種の相互変換の方法が考案されました。

2010-12-28 20:39:49
ねこまたや @info_nekomataya

フィルムをテレビで放送するには…えー「スクリーンをTVカメラで写す」…「そんな乱暴な」と思ったあなた…実はこれけっこう正解だったりする。

2010-12-28 20:42:34
ねこまたや @info_nekomataya

スクリーンの代わりにレンズを置いて空中像を撮影する変換機などもありましたが、大まかには映写機とテレビカメラをくっつけたような「テレシネ変換装置」を作ってフィルムをオンエアしていたのです。

2010-12-28 20:43:57
ねこまたや @info_nekomataya

30fpsのフィルムは、二枚羽根シャッターの映写機と組み合わせるとばっちりテレビで放映可能。24fps…コレがけっこうやっかいでね… うまく変換してあげないとちらちらしたりガクガクしたりで大変格好が悪い。

2010-12-28 20:45:10
ねこまたや @info_nekomataya

1秒あたり24枚の絵(コマ)を30コマに変換するのは実はけっこうつらいのです。フレームレートのお話の続きなのでここでは主にフレームレート変換の観点で見てみます。

2010-12-28 20:46:28
ねこまたや @info_nekomataya

この変換を分解して見ると「フィルム4コマ(=24/6)からテレビ5コマ(=30/6)を作る」という作業なのですが、単純に考えると 「1 2 3 4」 > 「1 2 3 4 4 」… こんな風になります。動きがとっても「ガコガコ」します。

2010-12-28 20:48:35
ねこまたや @info_nekomataya

ソコで頭を切り替えてテレビは「30コマ」じゃなくて「60コマ」ってことにしちゃうのが まず第一のポイント

2010-12-28 20:49:16
ねこまたや @info_nekomataya

これで上の作業が 「4コマから5コマ作る」という「かなり無理」のある操作から「4コマから10コマ作る」という「なんか行けそう」な操作に変わります。

2010-12-28 20:49:33
ねこまたや @info_nekomataya

便宜上テレビは30fps(29.97)ってことになってますけど、時間的に見るときは、60fps(59.94)の方がより実体に近いのです。

2010-12-28 20:50:11
ねこまたや @info_nekomataya

これなら「 1 1 2 2 2 3 3 4 4 4 」って感じに並べることができるのでかなり「ガコガコ」感を緩和することができるです。

2010-12-28 20:50:38
ねこまたや @info_nekomataya

30コマ単位で見たときは「 11 22 23 34 44 」って感じで5コマのうち2コマはとなりのコマの絵同士が混ざってます。

2010-12-28 20:51:12
ねこまたや @info_nekomataya

コレが今でもバリバリ現役の変換方式です。有名なランク・シンテル(現シンテル社 http://www.cintel.co.uk/ )のテレシネ装置をはじめ、多くのシステムがこの方法でフィルム>テレビ変換をしてます。

2010-12-28 20:51:36
ねこまたや @info_nekomataya

このシステムではテレビの同期信号を見ながら 映写機部分のフィルム送り機構が 2フィールド・3フィールド交互に1コマずつフィルムをかき落とし(プルダウン)していたので「3-2プルダウン」と呼ばれます。

2010-12-28 20:52:42
ねこまたや @info_nekomataya

3-2プルダウンはとっても有名だけど、実は他にもフィルムをテレビに変換する方法があります。

2010-12-28 20:53:29
ねこまたや @info_nekomataya

小型映画(8mmや16mm)ではわりとあった方法で、「5枚羽根のシャッター」の映写機を作ると24×5=120Hzでフリッカーの無いテレビ信号をえることができます。テレビの垂直同期が60Hzなので、映写機の明滅をこの整数倍の周波数にしてあげる方式です。

2010-12-28 20:54:00
ねこまたや @info_nekomataya

この方式は、むかし学生の頃自分の映写機を改造して実際に作って試してみましたよ。(まだローンを払い終わってない8mm映写機…)自分の課題とか、自主制作の8mmフィルムとかビデオに変換しました。

2010-12-28 20:55:06
ねこまたや @info_nekomataya

この特徴は、2-3よりもさらに動きが滑らか。でも、静止画で見るとフィールド内で隣のコマと絵が混じって同時に2枚の絵が表示されているところがあります(=つまりビデオ信号から元のコマを単独で取り出すことができない)

2010-12-28 20:55:43