【ミイラレ!第八話:三本足の人形のこと】(実況つき)

怪異に好かれる少年と退魔師の少女がなんやかんやするお話。一難去ってまた一難。 こちらは実況つきになります。
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「本当に怖いんだから!……今日はなんだか機嫌が特に悪いみたいで、ああもう……」その言葉に怜が眉をひそめた。「まさかと思うけど。その悪魔、トリル・クロスロードって名前?」「しーっ!」その名前が出された途端、メリーが明らかに狼狽する。「名前を出さないで!」34 #4215tk

2015-07-25 13:09:22
栗なご @kurinago77

名前を言ってはいけないあの人状態 #4215tk

2015-07-25 13:10:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ど、どこで聞かれてるかわかったものじゃないんだから!……だいたい、人間がなんであれの名前を!?」「いろいろあって。そうだ、四季。聞いておかなきゃいけないことがあるの」四季は小首を傾げ、怜へと振り返る。「なに?」「さっき言った名前に、覚えはない?」35 #4215tk

2015-07-25 13:12:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「さっき?……ああ、悪魔の?」「そう。そいつ、学校前まで来てた。どうも四季に会いに来たらしいんだけど」「俺に?」彼はより深く首を傾げた。「いや。というか、怪異に悪魔がいるっていうのも初耳だよ」「え?そうなの?おかしいな……」怜もまた眉根を寄せる。36 #4215tk

2015-07-25 13:15:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『その悪魔って、どんな怪異なんです?』小夜子が退魔師に問いかける。怜は少しだけ考えてから言った。「……とりあえず炎を使う。他の怪異と比べても霊気が段違いで」『いえ、そういう情報はいらないです。見た目ですよ、見た目』幽霊がぱたぱたと手を振って修正した。37 #4215tk

2015-07-25 13:18:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あ、ああ、そっち?えっと、そうだね……男か女かぱっと見ではわからなかったけど、三田目は子供。髪が赤い。コウモリみたいな羽を出し入れできる……くらい、かな」怜が列挙する特徴に、四季は頭を悩ませる。が、赤い髪のところでようやく思い当たる相手を見つけた。38 #4215tk

2015-07-25 13:21:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……名前は初めて聞いたけど。会ってた、かも、しれない」「本当?いつ頃のことか覚えてる?」身を乗り出して聞いてくる怜に、四季は過去の記憶をなんとか捻り出す。「……怜がいなくなってすぐの頃だから、十年くらい前じゃないかなあ。うん、あの子くらいしかいないはず」39 #4215tk

2015-07-25 13:24:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「けど……悪魔?本当に?」四季は自分がいくらか情けない表情になっているのを自覚していた。「そっか、マジか……なんだかなぁ……」「ど、どうしたの?」「いや、あの子が怪異とは思ってもなかったんだ。昔は見た目も俺と同じくらいでさ。外国から遊びに来たって言ってて」40 #4215tk

2015-07-25 13:27:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あのときはみんな離れていったとこだったし、人間の友達ができて嬉しかったんだけど……そっか、悪魔か……」物思いに沈んでいた彼は、不意に気づく。部屋の中にいたたまれない空気が広がっていることに。「その…………ごめん」怜がひどく申し訳なさそうな声で誤った。41 #4215tk

2015-07-25 13:30:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「うん、まあ、そうだよな。昔はいろいろ寂しい想いとかしたもんな」花子が視線を逸らしつつ言う。「なんというか……あれがいなかったら、お母様に会わせたいくらいにかわいそうな事情があったのね、貴方」メリーもまた憐れみの視線を向けている。ほぼ初対面だというのに。42 #4215tk

2015-07-25 13:33:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ああ、いや!そういうつもりで言ったわけじゃ……!」四季は慌てて場を取りなす。「とにかく!えーと、なんだっけ?そのトリルって悪魔とはたぶん面識あるよ。すぐにいなくなっちゃったから、どんな相手だったかまでは覚えてないけど」「なるほど、わかったよ」怜が頷く。43 #4215tk

2015-07-25 13:36:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「とにかく、四季と会いたがってた悪魔と『学校の魔女』に繋がりがあるとするなら……やっぱり向こうからなにか仕掛けてきそうな気はするね。巡さんはどう……あれ?」意見を求めようとした怜が声を上げる。あの鬼女の姿がない。いつの間にいなくなったのだろう?44 #4215tk

2015-07-25 13:39:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季もこのときになって巡の不在に気づき、首を傾げた。「……おかしいな。巡さん、どこ行っちゃったんだろ」『お買い物に行くって言ってましたよ』のんびりとした声を上げたのは小夜子。『今日のお夕飯の食材を買いに行くそうです。よくできた方ですよねぇ』45 #4215tk

2015-07-26 16:00:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「そ、そっか……一声かけてくれればいいのに」思わず四季は苦い顔をする。というより、あの風体で買い物に行っても大丈夫なものなのだろうか。そもそも買い物ができるのか?『鬼の姐さんの話はいいだろ、今は』ナナが口を出す。『そこの人形をどうするか考えようぜ』46 #4215tk

2015-07-26 16:03:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

びくりと震えたメリーが、わたわたともがき始める。「な、なにかするっていうのなら徹底抗戦するわ!私とて魔女の子、そう簡単に屈したりするものですか!」「捕まってるこの状況でどうにかできんのかァ、おい?」花子が嘲笑する。そして彼女は四季に視線を送った。47 #4215tk

2015-07-26 16:06:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「まあ、こういうときは親分の判断に委ねるとするか。どうするよ、四季」「えっ?うーん」四季は困ったようにメリーを見、横目でナナを見、再びメリーを見た。「……とりあえず捕まえておけばいいんじゃない。壊すとか、そういうのはなしにしようよ」『えぇー!』48 #4215tk

2015-07-26 16:09:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

不満の声を漏らしたのはナナだ。彼女の境遇を考えれば当然か。が、花子は存外あっさりと彼の意見に賛同した。「ま、それがいいんじゃねえの?こいつくらいならあたしが抑えられるしな」『別にそいつに情けかける必要、ないんじゃねえの』「黙れ新入り」花子が小さな怪異を睨む。49 #4215tk

2015-07-26 16:12:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「四季のことだ、どうせ魔女とやらと会って話つけようとするに決まってる。今から相手の身内を潰してたら、話がこじれるだろうがよ」『ウー……そりゃそうかもだけどよぉ』「……まあ、うん。気持ちはわかるんだけど、ちょっと我慢してほしいかな」四季は苦笑しつつ言った。50 #4215tk

2015-07-26 16:15:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「それで大丈夫そうかな、怜?」振り向き、幼馴染に確認する。彼女は眉根を寄せていたものの、ややあってから頷いた。「……いいと思う。ただ、その怪異のことは加茂先輩に報告させてもらうから」「もちろん。ありがとう」四季はそう言って頭を下げた。彼女は小さく溜息をつく。51 #4215tk

2015-07-26 17:01:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「じゃあ、次はそのメリーさんをどう確保しておくか考えないとね」その言葉に、一同の視線が一斉にメリーさんへと集中した。人形の怪異はたじろぎつつも、いくらかやけっぱちにこう言った。「し、然るべき待遇を要求するわ!」「……あー、うん。努力はする……」52 #4215tk

2015-07-26 16:18:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あーあ、メリーだけじゃさすがに無理だったかー」四季たちのいるアパートから少しばかり離れた道路。その電柱の上で。赤い三角帽に赤いローブをまとった少女が、どこか楽しげに呟いた。その瞳は金色に妖しく輝き、自分の『娘』がいる部屋を見透かすように凝視している。54 #4215tk

2015-07-26 16:21:07
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