元新潮社編集者・宮本和英さんが、出版業界の裏話を語る語る。

元新潮社編集の宮本和英さんの体験談 ①雑誌「nicola」大ヒット秘話 ②アントニオ猪木自伝出版裏話
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宮本和英 @kazmiyamoto

実体験19 僕がU君にもう一つ頼んだのは、調査店販売データに、調査店のうち実売率100%の書店が〇%あり、実売率99~80%の書店が〇%とい79~50%の書店が〇%という表を付けてもらったのです。

2011-01-07 03:57:07
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験20 そうやって号を重ねていくと、はっきり数字が良くなってきました。完売店が増えていくのです。勿論、編集サイドの努力も色々あったのですが、それはここでは置いておきます。とにかく完売店の占める割合が確実に増えていき、全体の実売率も着実に上がって行きました。

2011-01-07 04:03:59
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験21 つまり雑誌に力がある(「いい芽」がある)ということを、配本ルールを厳格に適用することで目に見える形(数字)にして見せた訳です。雑誌に力があっても、その「いい芽」を見ようともしない連中は、簡単に「雑誌に力がなかったんだ」と決めつけてしまうのです。

2011-01-07 04:10:32
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験21 販売データの数字が良くなってくると、周囲から「nicolaに勢いが出てきた」という声が上がるようになりました。取次の対応も変わってきます。実は実売数はまだそれほど上がっていたわけではないのですが、関係者がnicolaの「いい芽」を見てくれるようになったのです。

2011-01-07 04:14:38
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験22 最初は僕だけが気付いた「いい芽」を、多くの人達が認め始め、売れていきそうな雑誌に、書店も取次も営業も広告部も乗ってくれるようになりました。良い方向へ雑誌が回転し始めたのです。この一連の成功は、U君が煩雑な作業を厭わずにやってくれたことに尽きます。彼に感謝でした。…続く

2011-01-07 04:20:04
宮本和英 @kazmiyamoto

私もよく経験しました。RT @hdymon 新しい出版企画の前に立ちはだかるのは、実は出版社の営業というポジションの人。判断基準は類書の部数という人がすごく多い。よって類書のない本は通してもらえない。この悪循環に私も苦しめられた。

2011-01-08 01:22:33
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B アントニオ猪木さんが引退した時、僕は「猪木寛至自伝」(文庫版「アントニオ猪木自伝」に改題)を出しました。その初版部数を決める際に、営業は〇千部と言います。僕は〇万部と考えていたので、その開きの大きさに吃驚し、〇千部の理由を聞くと、過去の猪木関連本の実売数を調査してみて…

2011-01-08 01:32:51
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B 過去の関連本の実売数を調査してみて一番売れていなかった本の数が〇千部だからだという。「営業的に分析してみた結果だ」と言われた。その言葉にカチンときた。それは分析ではない。猪木さんが遂に引退し初めての自伝という要素は考慮されず、誰が書いたか知らない売れなかった本が基準?

2011-01-08 02:20:37
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B 勿論、今まで経験のない本の部数をどうするか、類書を基準にするのは当然ですが、それで済ませてしまうのではなく、そこからその本の企画のプラス要因、マイナス要因を挙げて検討すべきことだと思います。 類書の実売数の最低数を基準にするのがルールならもう自動的に決めればいい…

2011-01-08 02:25:09
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B 営業としての判断はないのと同じことになります。ただ自動的に「類書の最低部数を、わが社の初版部数とします」と宣言して終わりでしょう。その時は最終的に私の要望に近い部数で決まりましたが、必死でとってきた企画を凄く貶められた気持ちンになったものです。そういうっことを重ねて…

2011-01-08 02:28:36
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B そいうことを重ねていくと、だんだんやる気がなくなっていくのが人の常ですね。しかし本の初版部数を決めること一つとっても、仕組みとしていい形になっていない、一か八かになってしまった出版事業の仕組みがダメになっているのだと思います。

2011-01-08 02:31:22
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B 「猪木寛至自伝」(文庫版「アントニオ猪木自伝」に改題)は結局〇万部の初版で刊行されました。そして8カ月後のことです、僕と初版部数をめぐってやりあった営業幹部が、販売データをもって僕のもとにやってきました。売れていたのは勿論しっていましたが、綺麗に完売していました…

2011-01-10 02:21:26
宮本和英 @kazmiyamoto

実体験B そしてその営業幹部は、僕に謝りました。「いいんですよ、売れたんだから」と答えましたが、営業が実はもう一つ失態を犯していたこと、つまり重版チャンスを逃していたことは、もう言いませんでした。最終的には早めに文庫化して、これが良く売れて取り戻すことが出来ましたが…。

2011-01-10 02:26:06