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のおの
@noz_on_tw
奇妙なことが起こっている。ここはエレベーターの中、不思議なことに、この狭い空間で行列ができている。先頭は押しボタンの前。どうやら順番にしかボタンが押せないらしく、先程から何度も上下している。同じ階なら一緒に降りればいいのに、誰もそうしない。俺はまだ最後尾だ。 #twnovel
2011-01-28 00:19:40
のおの
@noz_on_tw
最終面接。緊張気味にエレベーターに乗り込むと、俺の後からたくさん乗ってきた。最後の一人が滑りこんでドアが閉まる。途端に合唱が始まった。「上へ、上へ、上へ！」単純な旋律を繰り返す。15階に着くと、皆一斉に俺を見た。「う、上へ」かすれ声で歌うとドアが開いた。 #twnovel
2011-01-28 00:14:56
のおの
@noz_on_tw
こんばんは、私はあなたの妖精です。まぶたの裏側に住んでいます。普段はあなたの見たくないものを見せないお仕事をしています。目から鱗、は私の有給時に起こるんです。見たくないものはあらかじめ教えてください、この世は目を背けたいもので溢れていますから。 #twnovel
2011-01-27 23:46:25
のおの
@noz_on_tw
こんばんは、私はあなたの妖精です。耳の裏側に住んでいます。普段はあなたの聞きたくないことをシャットアウトするお仕事をしています。都合の悪いことに限って「聞いていない」「知らなかった」と愕然とした経験はありませんか？それは私がきちんと働いているしるしなんです。 #twnovel
2011-01-27 23:35:23
のおの
@noz_on_tw
「かぐやや、帰らなくていいのかい。」「いいのよ。」かぐや姫はもう500年も地上にいる。なんでも月の国は飽きたそうで、そんな彼女の面倒を、不死になった竹取夫妻がみている。時は移ろい、かつての求婚者も皆死んだ。彼女はこの変化に富んだ世界がお気に入りで、未だ帰らない。 #twnovel
2011-01-21 01:16:18
のおの
@noz_on_tw
気づくとアンパンを握っている。酒が判断力を低下させるとは本当だ。私はあんが苦手だ。さもしい学生時代を思い出す。近所のスーパーで、こしあん300gが安く売っていた。金がなく、それを毎日なめて甘味を補った。ある日蟻ごとなめてしまい、嫌になった。あんも、自分のことも。 #twnvday
2011-01-14 21:11:14
のおの
@noz_on_tw
Kさんには妙な趣味がある。手持ちの一円玉に言葉を刻みこむのだ。その言葉の選択が変わっていて、「ゴメン」だとか「アリガト」だとか、誰に向けたのかわからないようなものばかり。なぜ、と問うと、そういう小道具が必要な場面にこいつが出くわすかも知れないだろ、と答えた。 #twnovel
2011-01-13 00:35:11
のおの
@noz_on_tw
彼女は左手にバジルを持っていた。出会ったのは瑞々しいオリーブの木の下。その時僕は右手にニンニクを持っていた。互いに目で微笑みを交わす。パスタでもどうですか、思わず僕は尋ねた。遠くでお昼の鐘が鳴る。彼女のお腹が返事をした。今度は声を出して笑い合った。 #twnovel
2011-01-12 00:55:22