風洞機械の刻む五線譜【短編】

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二人は服を乾かした後、近くの交易路まで共に歩いた。そして、バルツエリオは交易路を北へ……帝国の領域へと歩こうとした。カラセは反対に、南へ……竜芽山脈の方へと向かっていく。 「そっちには竜の国がありますよ。人間が住むには……」  バルツエリオは声をかける。 24

2015-10-03 14:38:11
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カラセは首を横に振る。 「すまんな。どこへ行くかは決まってない。ただ、一人で歩きたいんだ」  バルツエリオには彼の気持ちが分かった。そのまま振り返らずに歩いていく。それ以降、カラセと出会うことは無かった。バルツエリオは今も研究の旅を続けている。 25

2015-10-03 14:41:14
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ただ、今でも竜芽山脈のふもとに行くと、思い出してしまう。あの嵐の夜と……不思議な風洞機械のことを。 26

2015-10-03 14:43:23
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――風洞機械の刻む五線譜 (了)

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