ストレイトロード:ルート140(15周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。 今回は701~750+関連ツイート+おまけ。 これからも1日1組つぶやきますのでお楽しみに。 コピー本関連の話は最後の方にまとめました。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「もう決定したことだ」市庁舎の屋根に住み着いた怪物を退治する。市長が固めたのは建物ごと爆破する作戦だった。景観の喪失と怪物の報復を恐れる反対派は対案がないので相手にされないという。「追い出せばいいのね?」藍は屋根に開いた大穴を楽しそうに見上げた。「止めないで。もう作戦決めたから」

2015-08-30 21:41:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、709。決定。 声を上げるだけでは何も変わらない。 どうせなら手柄を奪いに行こう。

2015-08-30 21:42:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

暗い部屋に立つ私達の前に巨大な全身骨格が現れた。折れた翼は藍が以前倒した怪物の特徴に合致する。映像と判っていても思わず息を呑んだ。「いろんなこと知りたかったのに」軍が生け捕りにした個体は数日で力尽き、情報の塊として機械に取り込まれた。「拒否したのね」藍は骨格の口元に手を伸ばした。

2015-08-31 19:28:22
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、710。骨格。 魔女と言いつつ体系化された魔法は今のところない世界。 しかしVRはある。

2015-08-31 19:28:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

生け垣とそれを囲う柵の隙間を伝い、女性達の歌声が聞こえてくる。藍は歩きながら柵の中の尖塔を見上げた。「悲しい歌ね」その曲を彼女は知らないらしい。揺れる心を鎮める為の祈りで、歌い手は祈りに全てを捧げた人々だと教えると、より悲しい顔をされた。「他にもできることあるはずなのに、全部?」

2015-09-01 20:08:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、711。捧げる。 彼女らはずっとそこにいて何かを祈るのかもしれない。 あらゆる行動を祈りと捉えて、より確かに出来ることのために出歩いているかもしれない。

2015-09-01 20:08:55
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「わたしも将来のことぐらい考えてるわ」藍は携帯端末に向けて語気を強めた。通話の相手は担任で、内容は恐らく説教だろう。「今してることは今しかできないし、一生かけるつもりもないし」会話の片側だけを聞いてはっとする。彼女が普通の少女に戻る可能性は確かにあるのだ。「だから今は止めないで」

2015-09-02 19:55:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、712。将来。 それはただの夢じゃない。 道筋までは確認済みの、目標だ。

2015-09-02 19:55:34
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

昼食の後片付けの途中、助手席に放置された携帯端末が騒ぎ出した。慌てて探した藍は目が届く距離にはいたが、川に両足を浸して座っていた。自然の中で涼む姿は心地良さそうに見える。私は呼び戻すことを躊躇った。《着信:邪魔者》画面上に並ぶ文字列を答えとして良いのか。冷たい風が私の肩を叩いた。

2015-09-03 21:34:33
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、713。涼む。 わざわざ熱源を近づけたくはない。

2015-09-03 21:34:38
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

旅には思わぬ困難が付き物だが、同乗者がそれなりの有名人ともなれば、知らず舌禍に巻き込まれる時もある。遠い地域の竜巻騒ぎで加害者として名指しされた、というメールの要旨だけで藍は面倒そうな顔をした。「みんな悪いことは誰かのせいにしたいのね」そして通過予定だった街を迂回するよう命じた。

2015-09-04 20:17:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、714。舌禍。 自分の発言から起きた問題だけでなく、他人からの中傷が元で起きる災難のことも指す語、だという。

2015-09-04 20:17:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍が騒ぎを起こす時、事前の相談はほぼない。だが大掛かりな作戦を自力で組み立てたとするには疑問が多すぎる。私は彼女の言動から仮説を立てて順に検証し、携帯端末を疑うに至った。誰の助言が魔女を動かすのか。「何を暴くつもり?」調べる前に察知されて睨まれた。「研究目線禁止って言ったでしょ」

2015-09-05 20:26:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、715。相談。 まだ信頼が十分でない頃の話。 とは言え、本当の意味でパートナーになったとしても、彼を参謀にするようには見えない。

2015-09-05 20:26:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「勝負しないか」行く手を塞ぐ男は刀を抜かなかった。藍を捉えているだろう眼鏡の奥をこちらは読み取れない。「今夜は喧嘩する気分じゃない。あれで対戦といこう」ブリッジのテーブルを示された。藍が一歩下がり、振り向いた。「自信ある?」自身に問題はないが私の存在に不安がある。そんな目だった。

2015-09-06 23:13:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、716。対戦。 ブリッジは2対2で行うトランプゲーム。

2015-09-06 23:14:01
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

少女に連れられて歩く私を人々の多くは父親と判断するらしい。たまに警察を呼ぶ者もいるが、毎回藍が反論して事を収める。雇い主は自分だから当然という顔で。「わざわざ親のふりなんかしないでね」それは本物の父親を思う気持ちか。「下手にごまかそうとしたら捕まるから」愛情も何もない警告だった。

2015-09-07 19:55:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、717。父親。 彼女にとってはパパより年上の男との二人旅。心配する人は過剰に心配していろいろ疑うが、本物のパパは…?

2015-09-07 19:56:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

長距離移動の間に雨の日が一度もなかった。無事の到着に安堵しつつ車を降りると、車体が大量の砂に覆われ元の色が判らなくなっていた。「絶対元通りにして」藍は洗車を命じてどこかへ消えた。私は場所を変え、どうにか日没前に作業を終えた。戻ってきた藍は車体の艶を見て唸った。「なんか物足りない」

2015-09-08 20:00:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、718。艶(ツヤ)。 ちなみに彼らの車は白い。そして年式が古い。

2015-09-08 20:00:40
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

男が凶器をちらつかせる。「風の魔女を渡せ」私を突き飛ばした男が布を剥ぐと、そこには水を入れたボトルの山があった。「魔女をどこへやった?」私が聞きたい。本音を呑み込むと同時に胸ぐらを掴まれた。「抵抗するとどうなるか…」引き続き返答を控えた。私を脅すことは魔女への抵抗になるだろうか。

2015-09-09 19:02:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、719。抵抗。 時に味方も惑わせることもためらわない。彼女は確実にその一人。

2015-09-09 19:02:52
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

人々の心ない対応に腹を立てる藍を車に乗せ、現場となった街を急ぎ離れた。平原を進んでいると、丘の上で停車させられた。「この辺なら大丈夫そうね」外へ出た藍が先程の街を臨んで一言。「よく見てなさい」空気が吼えた。突如強まった風が冷気を伴い街へと駆けて行く。天候が急変する。魔法のように。

2015-09-10 19:25:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、720。伴う。 とんでもない奴が隣にいると思うと。

2015-09-10 19:25:57
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

走行中の車内に鳴き声が響くので調べると、小型の怪物が屋根に乗っていた。未熟な翼の幼体は少し前の給油中に木から落ちてきたらしい。「その場所まで戻って」常に前進する藍が珍しい指示を出した。元の場所へ返すのか。「まさか。親が来るはずだから親ごと捕まえるのよ」今度の停車は長くなりそうだ。

2015-09-11 19:26:07
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