「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」 #10
カスタムクローンヤクザY-13Rが無言で銃口をニンジャに向けた。オイランたちはラオモトのもとへ小走りに近づき、刀を濡らすクローンヤクザのバイオ鮮血を必死に舐めとり始めた。
2011-01-14 21:28:24「ドーモ、ラオモト=サン、私はトラッフルホッグです」小太りのニンジャは片膝をついてアイサツした。手錠につながるロープをグイと引くと、女は呻き、よろめいた。その左頬には殴られた跡がある。
2011-01-14 21:31:11「ドーモ、トラッフルホッグ=サン」轟くような低音でラオモトが返す。足元ではオイランたちが必死でカタナに舌を這わせている。「その見苦しい女をどうするのだ?」「この女が、あれでございます」グイグイとロープを引っ張りながらトラッフルホッグが説明する。女は猿轡を噛まされ、話す事ができぬ。
2011-01-14 21:34:42「この女こそ、今回ラオモト=サンをゴアイサツサマ生命ビルにおびき出して御命を狙ったネズミにございます!」トラッフルホッグがまくし立てた。「この女、ソウカイ・シンジケートの反乱分子と謀って、ラオモト=サンを襲撃させたと推察されます!」
2011-01-14 21:46:48「なるほどそうか」ラオモトは無感動に言った。カスタムクローンヤクザY-13Rはラオモトに目配せした。ラオモトは頷き、アサルトライフルの銃口を下ろさせた。「続けろ、トラッフルホッグ=サン」
2011-01-14 21:50:24「この女こそ、今回ラオモト=サンをゴアイサツサマ生命ビルにおびき出して御命を狙ったネズミにございます!」トラッフルホッグがまくし立てた。「この女、ソウカイ・シンジケートの反乱分子と謀って、ラオモト=サンを襲撃させたと推察されます!」
2011-01-16 17:36:27「なるほどそうか」ラオモトは無感動に言った。カスタムクローンヤクザY-13Rはラオモトに目配せした。ラオモトは頷き、アサルトライフルの銃口を下ろさせた。「続けろ、トラッフルホッグ=サン」
2011-01-16 17:36:56「ヨロコンデーッ!」トラッフルホッグは ヒキガエルめいて大袈裟にドゲザした。「ゴアイサツサマ生命ビルへ向かう途中でクローンヤクザの護衛車両二台を向かわせる事となった襲撃者情報……あの情報自体、この女が流したオトリだったのです!」
2011-01-16 17:44:44「ウウッ!」女が呻いた。トラッフルホッグは続ける。「実に恐るべき計画でした。生体キーを調べればわかりますが、この女はゴアイサツサマ生命執行役員の肩書きを持っています。大胆にもハッキングでシャチョーになったのです!」
2011-01-16 17:51:26「ボスとダークニンジャ=サンをゴアイサツサマ生命カンファレンス会場へ呼び出し、爆破して葬り去るのがこの女の計画でした。さらにこの女、ソウカイ・ニンジャの裏切り者たちを動員し、暗殺部隊としていたのです……ご、ご無事で何よりでした、ラオモト=サン!」トラッフルホッグは再ドゲザした。
2011-01-16 17:54:37トラッフルホッグは顔を地面にぴったりとつけ、ラオモトの返答を待った。ラオモトはじっとトラッフルホッグを見据える。オイランが刀についた血を舐め終え、しめやかに三歩後退して正座した。
2011-01-16 17:56:28「マッ!マーッ!」突然、カスタムクローンヤクザY-13Rが奇声を上げ、痙攣した!そしてアサルトライフルをドゲザしたトラッフルホッグに向けると、全弾撃ち込んだ!声もなくハチの巣と化すトラッフルホッグ!ナムサン!
2011-01-16 17:59:29「信じてはなりません、ボス!」カスタムクローンヤクザY-13Rはアサルトライフルをリロードし、さらに全弾、トラッフルホッグに叩き込む。ドゲザニンジャは抵抗の間もなくズダ袋と化す!一瞬の交錯ののち、Y-13Rはラオモトへ向き直りオジギした。「ドーモ、偉大なるボス。ウォーロックです」
2011-01-16 18:02:47Y-13Rはオジギ姿勢のまま続けた。「このクローンヤクザの体を乗っ取らせていただきました。突然のお目汚しでございますが、緊急時ゆえ偉大なるボスの安全を優先いたしました。申し訳ございません」
2011-01-16 18:06:34「フン、よい」ラオモトは二本のカタナを鞘に収めた。「オヌシが今回のふざけた陰謀劇の真相とやらを掴んだか?ウォーロック=サン。俺様の満足に足る情報を?」「ハハーッ!」クローンヤクザの体を奪ったウォーロックは鋭角15度でオジギした!
2011-01-16 18:21:37「トラッフルホッグは恥知らずな裏切り者のひとり!今回の暗殺計画は罪罰影組合をヌケニンした危険なニンジャ、バジリスクが仕組んだものです。この愚かな女が偉大なるボスを狙っていたのは確かですが、バジリスクはその計画を乗っ取り、裏切り者たちを用いて偉大なるボスの暗殺を企んだのです!」
2011-01-16 18:31:59罪罰影組合の名を耳にした瞬間、ラオモトの目は細まった。ウォーロックは続ける。「ワタクシめが陰謀の全体像を知り得たのはつい先頃です。そして、驚くべきニュースです。この女はニンジャスレイヤーの協力者なのです!」
2011-01-16 18:47:34「ほほう!」ラオモトの声音が初めて好奇心の色を帯びた。「ニンジャスレイヤーの協力者とな!」「ハーッ!もともとはニセのカンファレンスに偉大なるボスを呼び出し、ニンジャスレイヤーに襲わせる計画だったようです。それに目をつけたのがバジリスク!」
2011-01-16 18:51:48ウォーロックはほとんど絶叫しながら説明していた。「今回のふざけた陰謀、確かにシンジケートにとって不快な出来事ではありました……しかし、なんとなれば、サイオー・ホースでもございます!裏切り者をあぶり出し、こうして最も目障りな敵の手がかりをも掴んだわけですから!ホホホホホ!」
2011-01-16 19:03:57引き続きウォーロックは流れるような弁舌で、今回の顛末のカクカク・シカジカを語って聞かせた……真実を語って聞かせたのである。ただひとつ、自身の関与についての情報だけを欠落させて……!
2011-01-16 19:11:17ウォーロックの正体を知っていたのはバジリスクただ一人!計画が頓挫したと見るや、ウォーロックは全ニューロンを嵐のように働かせ、自らの関与の事実自体を綺麗さっぱりロンダリングしてしまったのだ。これで彼は何のお咎めもなく、何事もなかったようにシックスゲイツの座に収まり続けられるのだ!
2011-01-16 19:18:39「ウナギにドジョウを一匹混ぜる者あり。ならばウナギにはかえって手を抜くべからず」……平安時代の哲人剣士、ミヤモト・マサシの残した格言である。ウォーロックのゴマカシは、この価値観に完全に添ったものであった。トラッフルホッグから瞬時に憑依先を乗り換えた手腕も完璧であった!
2011-01-16 20:29:13