【ミイラレ!第二十三話:ホクサンのビャッコのこと】(実況付き)

怪異に好かれる少年と退魔師の少女がなんやかんやするお話。今度攫われたのは主人公。
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

◇ミイラレ図鑑P.111:阿刀波 涼(あとは りょう) 山雛(やまびな)中学校の元生徒。美術部所属。ある日突然行方をくらました。彼女の生死は不明だが、彼女の作品は今も増え続ける。 #4215tk

2015-11-16 18:35:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

◇ミイラレ図鑑P.112:西園寺 鈴音(さいおんじ すずね) 人間。怪異の研究を専門に行う機関の一員。退魔師とも連携しており、マイペースに怪異情報の収集・解析を行っている。 #4215tk

2015-11-16 18:45:26

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「お母さん!お母さーん!」一足先に白髪の怪異が闇の中へと小走りに消えていく。「連れてきた!お母さんが探してた人間、連れてきたよ!」「……おお、そうかい」笑いを含んだ声がそれに答えた。四季は唾を飲む。闇の中から感じる圧力は、彼を緊張させるには充分すぎた。15 #4215tk

2015-11-17 20:09:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「よくやってくれたねえ、御笠。……美咲たちは?」「追っかけてくる奴らをなんとかしてくれてる」「そうか、そうか。ふぅむ、夜桜さんに迎えに行ってもらうかね」会話の方向へ、四季は歩かされる。ただ曳子に手を引かれているだけなのだが、どういうわけか振り払える気がしない。16 #4215tk

2015-11-17 20:12:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「まあ、あの子たちがそう簡単に囚われるはずもない。なんせあたしと夜桜さんの子なんだから……差し当たっては」闇の中に入る。一瞬だけ目眩のような感覚。気づいたときには、一面に畳の広がる部屋の中へと情景が移っている。「あんたと顔を合わせておくとするかね」17 #4215tk

2015-11-17 20:15:10
栗なご @kurinago77

夫婦仲が大変よろしいようだ。 #4215tk

2015-11-17 20:17:23
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

部屋の中央で、その怪異は待っていた。御笠と呼ばれた白髪の怪異を伴って。「初めまして、日条 四季殿。手荒い歓迎をお許しいただきたい」それは一見すれば妙齢の女性である。漂白されたように白い髪と肌。白い着物に、唯一緋色の袴。巫女装束だ。彼女は悠々とお辞儀をした。18 #4215tk

2015-11-17 20:18:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「手前は龍造寺……いえ、旧姓で名乗ったほうがようございますな。北山 伊奈(きたやま いな)と申します。どうぞお見知りおきを」「ど、どうもご丁寧に」四季もまた慌てて一礼を返す。この怪異が山ン本組の残党なのだろうか?浮かんだ疑問に答えるように、中空に小槌が現れる。19 #4215tk

2015-11-17 20:21:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

四季の眼前に現れたそれは回転しながら畳へ落ちる。落ちる頃には、それは小柄な女の姿へと変じていた。あ、と四季は声を上げる。「春、さん」「はい、その通りで。申し訳ありません、若。この場に至るまで姿を隠しておりました」沈痛な面持ちで小槌の付喪神が頭を下げる。20 #4215tk

2015-11-17 20:24:08
栗なご @kurinago77

今まで春さんが出なかったのは霊力チャージ中だったからだろうか、それとも四季君をいざという時に守る最後の砦の役割だろうからだろうか…。 #4215tk

2015-11-17 20:26:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

付喪神……古木 春はすぐに白髪の巫女へと向き直り、腕組みをして相手を見据える。「で、久しぶりじゃねえか伊奈。今までどこをほっつき歩いてやがった」「そう怖い顔をせんでくださいよ春殿。退魔師どもの目を眩ませて、ようやっとここへたどり着いたんですから」21 #4215tk

2015-11-17 20:27:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

伊奈が目を細めて笑う。対する春はなおも不審の眼差しを隠さない。「目的はなんだ?ことによっちゃただじゃすまさねえぞ。いくら昔世話してやった間柄とはいえ」「相変わらず血の気の多い!やめてくださいな、あたしゃ単に」と、伊奈は四季に向け手招きをする。22 #4215tk

2015-11-17 20:30:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

それと同時、四季はまた目眩を覚えた。世界が歪み、元に戻る。そうすると、目と鼻の先に伊奈がいた。「え」思わず声が上がる。覆うようにして見下ろす彼女の目がにんまりと笑った。「今の頭領殿がどのような御仁か、確かめたいだけ。……ふふ、初々しいことで」23 #4215tk

2015-11-17 20:33:01
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

彼女は四季の顎に手をかけ、上向けさせる。「ふむ。まだ子供……まあこんなものかね。しかし霊気は確かに規格外。そう思うだろう、御笠?」呼びかけられたもう一人の白髪の怪異は、黙って頷くのみだ。「ふふ、春殿が入れ込むのもわかる。相変わらず若い燕が好きなのだから」24 #4215tk

2015-11-17 20:36:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

からかうように呟いた瞬間、四季の頭上に重い風が吹いた。間近にいた四季には、それに対し伊奈が何をしたかわからない。ひとまずはっきりしたのは、春の苛立ち紛れの攻撃を彼女が受け流したらしいということだけだ。天井に鈍い音が響き、ぱらぱらと破片が落ちてくる。25 #4215tk

2015-11-17 20:39:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「危ないですねえ。ほんの冗談ではないですか」「あたいがその手の冗談が嫌いなの、忘れてんじゃねえだろうな!?」「まさか。……さて」不意に微笑を消した伊奈は、四季の目をまっすぐに覗き込む。金色の瞳、その瞳孔が細まった。「少し世間話でもいたしましょうか、頭領殿」26 #4215tk

2015-11-17 20:42:05

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