《友達の恋》つづき

しんごのやつのつづきです
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hikari♡∞妄想♡ @love_kamome

《友達の恋》side-A 207 普通に見えたのはただの強がりやって...。 なんであんとき、俺わからんかったんやろ...。 もう、なりふり構ってる場合ちゃうやん。 思い当たるとこ電話かけまくって、最後...。 お父さんに電話した。

2015-11-15 22:22:40
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《友達の恋》side-A 208 まさか浮気がバレて出て行かれて探してます...とは言われへんかったけど。 お父さんはどうやら飲んでるようで。 「あいよおー、どしたどした」 陽気な声の後ろでは 、兄弟船が聴こえる。

2015-11-15 22:22:54
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《友達の恋》side-A 209 「うん?3日くらい前から居候してんぞ」 なんてことない調子で言われて、ホッとする。 お父さんはそこそこ酔ってるようで、俺の話を聞いてるような聞いてないような感じで。 「とにかく、迎え行きますんで」 「おうよ、頼むぞ」

2015-11-15 22:23:07
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《友達の恋》side-A 210 兄弟船が終わって、長い夜のイントロが流れる。 お父さんは、いよぉ〜ってこれまた適当に声援を送って。 「昔っからあいつ、母親のマネばっかしててな」 唐突にそんなこと言い出した。 「3歳くらいからおもちゃの包丁持って厨房入ってさ」

2015-11-15 22:23:41
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《友達の恋》side-A 211 必要以上に上手い長い夜と、お父さんの声と、たまにボリボリ音がして、柿の種的なもん食ってる感じがして。 「いっぱしの口きくんだよ。うちのポテトサラダはパンチがないとか、ニンジンのグラッセは照りが足りないとか」

2015-11-15 22:23:59
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《友達の恋》side-A 212 あいつ昔っからそんなんやったんや。 「んで、二言目には、お父さん、そんなんじゃお店つぶれちゃう!ってな」 目に浮かぶような気がする。

2015-11-15 22:24:09
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《友達の恋》side-A 213 あいつは俺の仕事についてあれこれ言うことはほとんどない...けど、たまに...例えば日焼けしすぎたときとか、飲みすぎて顔むくんだまま仕事行こうとしたとき、言うことあんねん。 信ちゃん、そんなんじゃ仕事なくなっちゃうよ!

2015-11-15 22:24:18
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《友達の恋》side-A 214 「小憎たらしいんだけど、舌ったらずでかわいくってなぁ」 ひゅぅーって歓声が聞こえて、長い夜が終わる。 お父さんは、よっ!若だんな!って適当に合いの手を入れた。

2015-11-15 22:24:30
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《友達の恋》side-A 215 「だからよ、まあ...あれだな、うん...。あんながらっぱちになっちまったけどよ、俺にとっちゃぁ昔のまんま、ナマイキでかわいい娘だってことよ」 サックスの音がする。 お!おい、俺だ俺だ俺だ! お父さんが誰かに言ってる。

2015-11-15 22:24:50
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《友達の恋》side-A 216 「おぅ、じゃあまあ、そうゆうことだで、な、頼んだぞ」 あなたひとりに かけた恋 愛の言葉を 信じたの お父さんの歌はそこまでで、電話が切れた。

2015-11-15 22:25:05
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《友達の恋》side-B 174 結局、寝るのを諦めて、暗くなった厨房でコーヒーを淹れる。 昔、子供の頃はよくお店手伝ってたなぁ...。 コーヒーも自然に上手に淹れられるようになったし。 親の仇みたいに思いっきり濃いのを啜る。

2015-11-17 22:27:45
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《友達の恋》side-B 175 あー。 だんだん腹たってきた。 だいたい何がいやって、元カレに仲いい後輩と浮気されてすごく傷ついたこと知ってるくせに、全く同じことをしたってこと。 そこそこ近しい結構年下の女の子となんて、全く一緒じゃん。

2015-11-17 22:27:55
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《友達の恋》side-B 176 コーヒーはやっぱり苦くて、冷凍庫のジェラートを勝手に掬ってきた。 そうなんだよ。 私がちょっとトラウマレベルでショックだったってわかってるのに同じことをなぜするんだって、そこが納得いかないんだよね...。

2015-11-17 22:28:05
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《友達の恋》side-B 177 そりゃぁ地方行ったらお姉ちゃんのいるお店とか行ってるのも、仕事がらみの飲みの席には大抵大手事務所のモデルや女優がいることも、そんなの友達だった時代に散々聞いたし、それは別にいいんだけど...。

2015-11-17 22:28:21
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《友達の恋》side-B 178 あ、でもおっぱいパブの名刺見つけたときはさすがにびっくりはしたけど...。 まあ、セーフ...かなぁ...。 でもあれがピンサロとかヘルスだったらどうだろう...。 嫌だな、多分...。

2015-11-17 22:28:29
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《友達の恋》side-B 179 キャバクラとおっぱいパブはオッケーだけど、浮気とピンサロはダメっていったい私、どういう基準なんだろ...。 浮気とフーゾクの関係についてあれこれ考えてたとき。 「おい、盗人」 「なんだ、お父さんか」 お父さんは棚から赤ワインを取り出す。

2015-11-17 22:29:03
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《友達の恋》side-B 180 「まだ飲むの?」 すでにお父さんからはお酒の匂いがしてた。 「寄合だぞ、仕事だ仕事」 寄合っていっつもスナックでくっちゃべるだけじゃん。 コップに少し赤ワインを入れて、渡してくれた。 「お前なぁ、電話ぐれぇ出てやれよ、かわいそーに」

2015-11-17 22:29:13
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《友達の恋》side-B 181 「え...」 「連絡あったぞ、さっき」 何があったか知らねぇけどよ。 そう言って、カラになったビールサーバーの樽を引っ張り出して、座った。 「お父さんはさぁ...」 お父さんは足をボリボリ掻きながら、ワインをコップ酒みたいにすする。

2015-11-17 22:29:23
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《友達の恋》side-B 182 「浮気したことある?」 「んだよ、そんなことか」 そう言って、苦笑した。 そんなこと...なのかな。 そんなこと。 私も信ちゃんにそう言った。 そう思いたかったから...。

2015-11-17 22:29:33
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《友達の恋》side-B 183 「...覚えてねえな。あったような気もするし、なかったような気もするし」 また、苦笑した。 「心配してたぞ。全然連絡取れないって」 心配...してくれたんだ。 「ちゃんとメシ食ってるかってよ。ウチ何屋だと思ってんだバカヤローつってな」

2015-11-17 22:29:46
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《友達の恋》side-B 184 ねえ...心配するとこ違くない? でも、なんかそんなんも信ちゃんだよなぁ...。 なんだか急に...ばかばかしくなってきた。 私結局、あのどーしょーもない人が好きなんじゃん。 こんな悩んでるのも傷ついたのも、好きだから...なんだ。

2015-11-17 22:30:01
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《友達の恋》side-B 185 お父さんはいつの間にか減ってたワインを飲み干した。 「まあ、後悔しねえようにな」 「.........」 なんだか無性に、会いたい、なぁ...。 「んなもん食ってっと太るぞ」 笑って、お父さんは家の階段を上っていった。

2015-11-17 22:30:21
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《友達の恋》side-B 186 「え...何してんの?」 仕事から帰ってきて部屋のドア開けたら、土下座した信ちゃんがいた。 「帰ってきてください、お願いします」 「え...ねえ、ちょっと...やめてよもう...」 信ちゃんはちらっと顔をあげて、また額を床につけた。

2015-11-18 23:17:37
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《友達の恋》side-B 187 「いや、もう、ほんまに何言われてもしゃーないし、愛想尽かされて当然やと思うけど」 「...けど?」 信ちゃんは、ようやく顔を上げた。 「俺が大事なんは、お前だけや」 まっすぐ目を見て、ちゃんと言ってくれた。 欲しかった言葉。

2015-11-18 23:17:45
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《友達の恋》side-B 188 「やから...許してください。お願いします」 「やだ」 信ちゃんがびっくりした顔をする。 だって、そんなの甘すぎる。 土下座ひとつで許すなんて。 「ほんなら...言うて?言いたいこと、全部」 全部言ったら、何時間かかるか分かってる?

2015-11-18 23:17:55
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