不知火に落ち度はない　42（節分編）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「休戦協定した方がよくね、おやっさん」 「飛距離を出そうとしたんだが。ちょいとやり過ぎたな」 楕円形のをここまで飛ばす技術は素直にすごいけどね、おやっさん。 早速白旗をさっと出してみたが。 ぱすん。 うむ。白旗のど真ん中をぶち抜いてる豆鉄砲。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「日頃の行いだな」 「陽炎－！？ お前威力わかってて銃ぶっぱしてんな！？」 ぱすぱすぱす、と穴だらけになる白旗っつーか、この豆鉄砲威力ありすぎじゃね？ 普通豆砕けるだろ、この威力だとさ。 「えー、よくきこえなーい」 聞こえてて言ってるだろお前。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「仕様上の飛距離どんぐらいよ、おやっさん」 「BB弾程度のつもりだったがな」 なるほど。つーことは有効射程はだいたい３０mってトコか。 でも旗に穴が開く威力つーことはフツーのBB弾を余裕で超えてんなあ。 改造ガス銃みたいなもんかこれ。 #不知火に落ち度はない

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「おやっさん。あとで一応おしかりついでにレポ頂戴ね」 「おうよ。で、お前は？」 「鬼の仕事してくる。何丁出したの？」 すちゃっと砕けたお面を顔へ。 今んところ居たのは陽炎だけだが、他に居ないとも限らない。 「３丁分」 なるほど、yaggyズか。 #不知火に落ち度はない

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「んじゃ──おーい、聞こえてるか陽炎ー」 「よくきこえなーい！」 まだ言うか。 「鬼が今からそっち行く。仕留めきれなきゃお前に厄が来るからな。覚悟しとけー」 「げー！！ 鬼が襲ってくるわけー！？」 うん。鬼だしな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そいじゃ、節分鬼ごっこ──開始ィ！」 「ぎゃー！？」 俺は上着を脱ぎ、アロハをマントのようにして飛び出す。 ばすばす撃ってくる陽炎もこれには大いに驚いてる。 はっはっは。こうすりゃ威力はダダ下がりだもんな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

距離３０m── ガス豆鉄砲はあまり連射が効かないのか１秒に１発程度が限度らしい。 距離２０m── 俺の足は５０mで６秒ジャスト程度。５発しのげば逃げ場はない。 身体をかすめる豆。 距離１０m── 陽炎が尻を向けて逃げる体制を取った。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お、かけっこか？ 負ける気はねえぞ」 「うっさいうっさい！ というか上着着てよ！！」 逃げ出す陽炎の背を追う。 綺麗なフォームで重さをまるで感じない足取りはさすがの陽炎型一番艦。 だけど残念。 俺のほうが脚は長いんだよ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

逃げる陽炎と俺の距離はおおよそ５m程度だが、このままいきゃ２，３秒で捕まえられる。 「ちなみに陽炎。尻と頭どっちがいい？」 「え──おしりに触る気！？」 失敬な。思いっきりひっぱたくに決まってますやろ。 その尻を隠すポーズおやめんさい。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「触って欲しいならもうちょっと胸とか育てろよ」 「っ！？ ──この変態！！！」 ぱすぱすぱすぱす！ おお。すげえすげえ。 後ろ見ないで撃ってよく狙えんね陽炎。 意外とお前銃撃の才能あると思うわ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、首謀者陽炎はとっとと捕まえて、しばらく椅子に座れない身体にしてやりますか。 と、併走しながら手を伸ばした瞬間。 ──ふ、と。 陽炎が笑って身をかがめた。 あ、厭な予感これ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

次の瞬間、俺は同じように身体を陽炎の頭の高さまで一気に下げる。 舞い上がった上着がぶわ、と広がり。 ざくん。 ──っておい。 今、俺の一張羅の虎柄アロハが切れたんですけど－！？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そして思わず足を止めた瞬間── 「目標の停止を確認。撃ちます」 「おっけーやー❤」 ばすばすばすばすばす、と横と上方から飛んでくる豆銃弾。 さすがにこれは対処不可能。 そのままばちばちと皮膚にぶち当たってくださるわけで。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

つーか、いってえぇええええ！！ 距離３０m以内だとこれ、ゴム弾より痛いぞ。皮膚普通に裂けんぞこれぇ！？ 「目標にダメージ。追撃しますか陽炎」 「やっちゃいなさい！！ うちーかた、はじめー！！」 「うてー！！」 やめて。むっちゃいたい。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

ばすばすばすばすばす。 皮膚に当たる豆が砕けてかけらがばらばらと飛び散る。 「よっし。こっちは弾切れ！逃げるわよみんな！」 「了解、陽炎。司令、あとで湿布を差し入れますので不知火はこれで」 「ほなねー❤」 ああうん。ありがと不知火。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

なんて──言うと思ったか！！！ 「でえい！！ 待てやこんちくしょう！！ 俺の虎柄アロハを真っ二つにした罪は重いぞ特に陽炎！！」 「ぎゃー！！ 仕掛けたのは不知火なんだってあれ！」 首謀者は確実にお前だろが！ 不知火は俺のアロハに何の感情もない。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「おだまりやがりませ！ アレは大事なアロハなんだぞお前！」 「そんなに大事ならしまっとけばいいじゃん！」 逃げる陽炎。追う俺。 黒潮は上に逃げてたし、不知火はさっさと別方向に逃げたので、ターゲットはこいつしかいない。 あとな、陽炎。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あれ着て雪風に豆を投げて貰う予定だったんだよ！」 「あ……ごめん。それはごめん」 おお、謝った。 まあ、雪風の教育上の問題だとそうだよなー。 「でもぶっちゃけ虎柄アロハって子供泣くから」 「え、マジで」 盲点だ。泣くかな雪風。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「と、ゆーわけで私無罪だから！ それじゃね！！」 「ははは。どこへ行こうというのかね陽炎」 だいぶ身体暖まってきたからな俺。 お前と並走するの余裕になってんですよ。 「うっわキモっ！ 半裸おっさんが並んでるのキモッ！」 さすがにそれ言い過ぎでは。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「まあ──いいか。陽炎、お前には選択肢が２つある」 「あによ！？」 「一つは素直に降伏して俺に尻を叩かれる」 「絶対やだー！？」 「もう一つは拒否って俺に死ぬほど尻を叩かれる」 「ぎゃー！？」 今ので選んだのは後者だしな陽炎。 話を素直に聞こうな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「つーわけでほいキャッチ」 「いやー！？」 襟首つかんでそのまま確保。 さて、小脇に抱えてスカートをぱらっと。 うん、スパッツ越しに健康的な尻がこんにちはである。 「ちょちょちょちょちょー！！？ 本気なの！？ 本気で尻叩くの！？」 「頭でもいいぞ」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「えっと。頭ってパー？」 「尻はパー。頭はグー」 「やめて頭がばかになっちゃう！！！」 大丈夫だそれ以上悪くなんねえから。 つか、拳骨でたんこぶできるのとどっちがよろしいかこの場で決めるといいぞ。 不知火と黒潮ももちろんどっちか選ばせるつもりだ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「鬼ｰ！！」 「まあ今日は俺鬼役ですし」 「たすけてー！！ 鬼にお尻を壊されるｰ！」 「はっはっはー。なんだそのエロ漫画見たいな台詞」 「乙女の尻は叩いたら壊れるのよ！！」 「まあ、明日からしばらくはトイレがやばいだろうな」 座れないし。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で、尻でいいんだな」 「あー……えっと、胸とかは……？」 ほう。その育ってない乳を叩けば、そりゃ育つだろうな。 錯乱してますか君。 「ありません。じゃ尻で行くので良い声を上げるように」 「やだー！！！！ 誰か助けてー！！」 残念。助けない。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「待てい！！」 「何ぃ！？」 俺はその上がった声に思わず振り返り。 あ、やべ、これフラグじゃん。 じゃ、古き良きルールに従うか。 「誰だ！ 名を名乗れ！」 「悪党に名乗る名などない」 それは。 建物の屋上に見事なガイナ立ちをしていた。 #不知火に落ち度はない