ニンジャスレイヤー二次創作【プロミスド・サクセス】
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陽は落ち、人々は一日の疲れを引きづりながら帰路につく。機械じみて真っすぐ歩くサララリマン達に混じり、客引きのオイランバニーやスモトリ崩れが顔を出す。街は昼とは違ったにぎわいを見せ始める。 1
2016-02-09 00:30:39ここはネオサイタマ。極彩色のネオンが夜の闇を照らし、空には機械のマグロが泳ぐ。空に星が輝くことは無く、人々がその事を気に留めることも無い。故に、その頭上にいる影に気付くことも無かった。 2
2016-02-09 00:33:30寂れた小さなビルの屋上。無機質なコンクリートと鉄柵しか無いその場所に、異質なシルエットが伸びている。それはまるでボーリング調査で掘り出された柱のような円筒形。良くみればその表面は薄く光り、何らかのサイバネティクスであることが伺える。 3
2016-02-09 00:37:11「バカナ……」影が小さく呟く。それは柱ではなく生物であり、そして正しくはニンジャであった。円筒形の頭部を持つそのニンジャ、エンシャーは、今まさに最大の危機を迎えていた。 4
2016-02-09 00:39:12(先に行った4人…反応がない。恐らくは既に死んだ…いや) 彼はここで、ある作戦行動の途中であった。彼の所属するアマクダリ・セクトはこのネオサイタマを裏から支配する秘密結社である。その力は強大であり、彼を含め多くのニンジャを抱える。歯向かう命知らずなどいない…常識で考えれば。 5
2016-02-09 00:42:34しかしこのネオサイタマには常識の通じぬ狂人…否、死神がいた。全てのニンジャを殺す者。 (殺されたのだ。奴に。ニンジャスレイヤーに!) 6
2016-02-09 00:45:49完璧な作戦のはずであった。セクトの収集したデータとエンシャーの索敵能力を持って彼の死神を追いつめ、4人のニンジャによる包囲攻撃で一気にトドメを刺す。実際、ニンジャスレイヤーを目標地点まで追いつめることには成功していた。あとは殺すだけだった。 7
2016-02-09 00:47:49(だが…) 今、その4人のニンジャ達と連絡が取れない。いや、正確にはエンシャーの高度な索敵能力を持ってしても反応を探知出来ない。つまり、ニンジャソウルの消失。爆発四散…。 8
2016-02-09 00:49:59(バカナ…そんなバカナ!) 4人のニンジャは決してカラテ弱者などではない。戦闘向きではないエンシャーから見ても、その実力は信頼に足りうるものだった。ならば何故?計画がバレていた?それともニンジャスレイヤーの実力がこちらの予想を上回っていたとでも? 9
2016-02-09 00:53:04(バカナ…) エンシャーは胸の内で同じ言葉を繰り返す。どちらにせよこれで計画は失敗。直ちに帰還し報告をせねばならない。ケジメで済むだろうか。ハラキリになるかもしれない。貴重なニンジャ戦力を失ったのだ。当然だろう… 10
2016-02-09 00:55:16「いや…駄目だ」鉄柵を掴む手に力がこもる。こんな所で死にたくはない。もちろんその思いもあったが、エンシャーには更に秘めたる想いがあった。ここで引くわけにはいかない。この作戦は彼にとって非常に重要な意味を持っていた。 11
2016-02-09 00:57:31ニンジャスレイヤー。それは彼にとって敬愛するニンジャを殺した、憎むべき仇であった。随分と昔のことに思える。死神はそんなことなど忘れているかもしれない。しかしエンシャーはその事を忘れたことなど一時も無かった。今日この日のために今まで生き延びてきたのだと言える。 12
2016-02-09 01:01:39目標地点からニンジャスレイヤーは動いていない。そしてそう遠くにもいかないだろう。こちらの存在がバレている可能性も高いからだ。必ず近くにいるニンジャ、すなわちエンシャーを殺す為にやってくる。ならば。「イヤーッ!」エンシャーは決断的意志を持ってビルの屋上を飛び渡る。 13
2016-02-09 01:04:23目標地点まで2キロメートルと少し。ニンジャ脚力をもってすれば大したことの無い距離だ。索敵を続行しながらエンシャーは闇を駆ける。 14
2016-02-09 01:07:55勝てる見込みは薄い。エンシャーのカラテは先の4人に遠く及ばない。襲撃は既に気付かれ、4人と言う数的有利すら覆された。エンシャーの行動はまさにモスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイアだ。 15
2016-02-09 01:11:20「だが…それでもだ」エンシャーはニンジャヘルムの奥で呟く。言葉にすることで己の意志を確たるものにする。拳を握り、屋上を蹴り、全身にカラテを漲らせる。「それでもやらなければならない!」エンシャーは叫ぶ。目標地点まで500m。 16
2016-02-09 01:14:54「!」目標地点の反応が動く。ニンジャスレイヤーがこちらに気付いたようだ。「くっ…」ここにきて、全身を恐怖が襲う。だがもはや立ち止まれない。彼の後戻りする道は彼自身が崩した。ただ前に進むのみ! 17
2016-02-09 01:17:40ニンジャスレイヤーの反応は恐るべき速度でこちらに接近してくる。今更迂回したところで避けることはできないだろう。正面からぶつかることになる。4人を葬った無慈悲なカラテに対するには…「索敵だ。索敵あるのみ」 18
2016-02-09 01:21:26そして「!」ついに黙視で確認出来る位置、ビル2つを挟んだ一回り大きな建物の屋上にその赤黒の影は現れた。接近していたのは分かっている。まだアドバンテージを奪われてはいない。エンシャーは心を、身体を奮い立たせる。「ドーモ!エンシャーです!」 19
2016-02-09 01:24:13「ドーモ、エンシャー=サン」死神は殺意で彩られた瞳を細め、アイサツを返す。「ニンジャスレイヤーです」アイサツから0コンマ2秒!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを2枚投擲! 20
2016-02-09 01:27:00「イヤーッ!」エンシャーが連続側転し紙一重でこれを躱す!やはりだ。驚異的な速度だが、躱せる。「イヤーッ!」続けてエンシャーは腰に吊るサイバークナイを投擲!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは側転で回避!だが! 21
2016-02-09 01:30:45「ッ!? グワーッ!」サイバークナイが展開し中から黄土色の煙が吹き出す!煙をかぶったニンジャスレイヤーの視界が霞み、歪んでいく!「ヌゥーッ!」ニンジャスレイヤーは敵がいるであろう方向にスリケンを投擲するが、エンシャーは容易く回避する。 22
2016-02-09 01:35:40展開を終え元の形に戻ったサイバークナイをワイヤーで手元に引き戻し、エンシャーはニンジャスレイヤーから逃走する!そう、逃走である。これからニンジャスレイヤーを始末する為の最後のピースを揃えにいくのだ。向かう先はこの作戦の目標地点!4人の死体がある場所だ! 23
2016-02-09 01:38:27視覚に重大なダメージを負ったニンジャスレイヤーはその場で身動きが取れない!エンシャーはみるみるうちに遠ざかっていく。 (なんたるウカツか…弱敵と侮ったなど) 彼のニューロンの同居人が起きていれば、口汚く罵ったことであろう。だが、エンシャーは実際カラテ弱者である。ではなぜ? 24
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