- shiroboshi2
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タクシーの走り去った方向をキッと睨みつけると、「イヤーッ!」少女は走り出した。そして「イヤーッ!」跳躍!建物の屋根に飛び乗る!なんたる跳躍力!一体彼女は何者なのだろうか?「ゲヒヒッ……あの男、きっとカチグミかなにかに違いない……うまくつけこめば!」9 #S57Ninja
2016-02-11 21:57:09「アイエエエ!お客様、もう無理です!死んでしまう!」タクシー運転手は涙を流しながら男に訴えかけた。既にタクシーはスクラップ寸前といっていい状態にある。男は舌打ちすると、懐から財布を取り出し、万札数十枚をタクシー運転手に渡し、降車した。12 #S57Ninja
2016-02-11 22:06:48タクシーは煙を上げながら走り去っていく。男は周囲を見渡した。人の気配のないうらぶれたストリート。追っ手の気配はない。クローンヤクザは撒くことができたようだ。だが油断はできない。「……いや、むしろここからが本番か」彼はフードを目深に被り、足を踏み出す。13 #S57Ninja
2016-02-11 22:12:03刹那、「イヤーッ!」響き渡るカラテシャウト!「やっぱり!」男は踏み出していた足を即座に戻した。彼が先ほどまで足をつけていた地面にスリケンが深々と突き刺さった。「イヤーッ!」直後、最も危険な追っ手が回転跳躍しながら男の目の前に姿を現した。14 #S57Ninja
2016-02-11 22:19:02その者は暗い瞳を男に向け、オジギをした。「ドーモ、1時間13分47秒ぶりだな、ミコノ・イケダ=サン」「ああ、うん、そうだね……出来れば2度とその顔を拝みたくなかったけれど」ミコノは後ずさりながら、自嘲的な笑みを浮かべた。「モハヤコレマデ……!」15 #S57Ninja
2016-02-11 22:25:23ミコノは胸の内ポケットに手を伸ばし、銃に触れた。取り出したところで、銃弾が発射されることはないだろう。その前に、この男……暗殺ニンジャ・グレーフールに殺されるのだろうから。それでも彼は、銃を取り出した。グレーフールはミコノを嘲笑うかのようにカラテを構えた。16 #S57Ninja
2016-02-11 22:34:14この場に似つかわしくない、女の声……それも少女の声が響き渡った。「……ハ?」ミコノは声の方を見やる。建物の屋根の上を。「……」グレーフールもまた、そちらを見る。そこには、ボーダーシャツにキュロットスカートといういでたちの少女がいた。「マッタ、と言っている」18 #S57Ninja
2016-02-11 22:41:50「ドーモ、はじめまして。グレーフールです」グレーフールは少女を暗い目で見つめながらアイサツをした。「フフ、そこのオッサン……この私が来たからにはもう安心だ。カネの準備をしておくんだな」「ハァ!?いったい何だね、君は!それに僕はまだオッサンという歳でも」19 #S57Ninja
2016-02-11 22:44:59「アイサツせよ」ミコノの声を遮るようにして、グレーフールが少女に言った。鋭く刺すような声だった。「アイエッ……フ、フフ……ドーモ、グレーフール=サン。テンタクルスです」少女はアイサツを返す。「テンタクルス……」グレーフールはボソリと呟き、端末を取り出した。20 #S57Ninja
2016-02-11 22:50:44