- shiroboshi2
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「ゲヒッ!」少女はそれをひったくるようにして手に収め、懐にねじ込んだ。「うん……ヨロシク、テンタクルス=サン。僕はミコノだ。ミコノ・イケダ」「ああ、ヨロシク、オッサン!」テンタクルスは鋭利な歯を覗かせ、満面の笑みを浮かべた。ミコノは、やはり、溜息を吐いた。42 #S57Ninja
2016-02-12 00:37:16「まずは移動だ。幸いなことに、僕の行きつけのバーが近くにある。信頼に足るところさ」歩き出すミコノ。テンタクルスは彼の横につき、歩みを進める。「フム、まぁどこなりと行くがよい。守ってやる。もし死んでしまいそうになったら口座番号だけ私に教えてから死んでくれ」43 #S57Ninja
2016-02-12 00:42:51「……そうならないように気をつけるよ」ミコノが言い終えた直後、テンタクルスが急に立ち止まった。訝しむミコノ。「ああ?どうしたんだい今度は」「そういえば、だ。私の名を言っていなかった。私はハナバタ・ナナ。改めてヨロシク、だ、オッサン」「ハイ。歩こうね」44 #S57Ninja
2016-02-12 00:47:57ミコノは万札をヒラヒラとさせながらテンタクルスに言った。テンタクルスは食らいつくような勢いでそれを手に取り、懐に収めると、早歩きで歩を進め出した。「まあ、ニンジャたる私がいれば安心よ。対ニンジャ勝率100%であるからな。だから胸を張って歩け、オッサン」45 #S57Ninja
2016-02-12 00:51:26「……ところで、その対ニンジャ勝率100%というのは何戦何勝で?」「ゲヒヒッ、さっきのグレーフール=サンで、2戦2勝だ!」「……ハァーッ」ミコノはこの日何度目かわからぬ溜息を吐いた。「うん、君という人間がよくわかった。よくわかったよ……」46 #S57Ninja
2016-02-12 00:56:09「うむ?そうか。だがオッサンよ、無駄口を叩く暇があるのならばキビキビと歩け。追っ手は今すぐにでも来るかも知れんのだぞ」テンタクルスはミコノを叱責した。ミコノは憤りそうになる自分を抑えた。「ハイ、ハイ……それと、エーット、ハナバタ=サン?」「なんだオッサン」47 #S57Ninja
2016-02-12 00:59:30テンタクルスが言い終えた直後、ミコノは彼女を指差しながら言った。「それだ、それ!そのオッサンと言うのをやめろ!僕はまだ26だ!せめてお兄さんにしろ!ほらカネやるから!」彼が手渡す万札をテンタクルスは即座に回収する。「そうか、ではお兄さんと呼ぶことにしよう」48 #S57Ninja
2016-02-12 01:04:17少女は頷き、また歩き出す。「お兄さん、早く」「……アー……」ミコノは後を歩きながら、首の後ろに手を当てた。未成年の少女にカネを手渡し、お兄さんと呼ぶことを強要している、という事実が重たくのしかかってきた。「いや、お兄さん、はいい……ミコノでいい」「そうか」49 #S57Ninja
2016-02-12 01:08:17歩きながら、ミコノはテンタクルスの小さな背を見つめる。こんな少女がニンジャであり、自分のヨージンボー。(((ルーナーランス=サンよ、君はどれだけ頼もしかったことか……改めてそう感じるよ。アノヨがあるなら、どうか僕達を見守っていてくれ))) 彼は暗く笑った。50 #S57Ninja
2016-02-12 01:13:40