デイドリーム・ネイション #4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ストーンコールドは空中で回転しながらスリケンを連続投擲!ニンジャスレイヤーはヘリのスキッドを支点にグルグルと旋回した。「イイイヤアーッ!」その腕が赤黒の炎の軌跡を描き、コクピット装甲に吸い込まれた。KRAASH!「アバーッ!」ナムアミダブツ!運転トルーパー死亡!40

2016-02-19 23:15:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コクピットに侵入したニンジャスレイヤーは無慈悲に操縦桿を倒した。輸送ヘリが傾き、屋上へ落下を始めた。「ヌウッ!」ストーンコールドは連続側転で屋上の対角線上の端へ退避した。KABOOOOM!「「アバーッ!」」Y200陣が爆発に呑まれ死亡!ナムアミダブツ! 41

2016-02-19 23:17:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ストーンコールドは向き直り、カラテを構え直した。輸送ヘリ残骸の黒い爆炎の中から邪悪な獣めいた影が飛び出した。赤黒い眼光と、牙めいて歪んだ「忍」「殺」のメンポ、獰猛なカラテが、コンマ2秒後、ストーンコールドに到達した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」42

2016-02-19 23:20:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

再びカラテの打ち合いが再開した。ストーンコールドはニンジャスレイヤーの戦闘アルゴリズム変化に苦慮した。腕の一振り、チョップの一打一打の軌道が大きく、一見力任せのものになっていた。しかし隙をついて短打を刺しに行く事ができない。大振りになったが、速度もそれだけ増しているのだ。 43

2016-02-19 23:25:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ストーンコールドのカラテは押され、徐々に防戦に追いやられていった。後ろはフェンスだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」一撃もらった。「イヤーッ!」反撃は防がれた。「コワッパ!」ニンジャスレイヤーは吼えた。「ここまでだ!」 44

2016-02-19 23:31:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メンポの裂け目が瘴気を吐いた。ジゴクめいた赤黒の目の奥に、ストーンコールドは焦りの影を見て取った。さもありなん。システム・アルゴスはニンジャスレイヤーの居場所を既に捕捉している。じきに放送が流れ、突発停電が開始される。カスミガセキ周辺地域の電力がジグラットに集められる合図が。45

2016-02-19 23:35:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アガメムノンは一帯の電力を吸い上げ、天の怒りにも等しい雷の力をニンジャスレイヤーに注ぐであろう。それこそが、この約2ヶ月、ニンジャスレイヤーが潜伏を強いられていた理由だ。アルゴスの絶対的なネットワーク監視と、アガメムノンの天の雷が、ニンジャスレイヤーの抵抗の手段を奪い去った。46

2016-02-19 23:40:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「一つ聞いておく……なぜ今おめおめと現れた。負け犬よ」ストーンコールドは大胆かつ獰猛かつ的確なカラテ打撃を防御しながら問うた。「地上へ這い出たところで結果は見えておったはずだ」「……今はまだその時ではない」ニンジャスレイヤーは低く言った。「……だが!イヤーッ!」「グワーッ!」47

2016-02-19 23:46:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」ガードを破り、ニンジャスレイヤーの拳がストーンコールドの肋骨を、鎖骨を砕いた。ストーンコールドの噛み締めた奥歯から体内ZBRが分泌された。彼は筋肉を締めて骨折ダメージを最小限にとどめ、戦闘を継続する。もう一機の輸送ヘリが向きを変えた。彼らのもとへ。48

2016-02-19 23:51:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やれ」骨伝導インカムを通してストーンコールドは指示した。輸送ヘリは落下を始めた。ストーンコールドはニヤリと口の端を歪めた。「さっきの一撃は笑えた……今度は二人で楽しもうじゃないか」「……!」ニンジャスレイヤーは打撃を引いた。ストーンコールドは打って出た。「イヤーッ!」49

2016-02-19 23:55:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

精神的動揺をこらえることで生じるコンマゼロ数秒のニューロン速度時間の隙をついて、ストーンコールドは必殺の短打を繰り出した。顔面間近で曲げた指を伸ばし、チョップ突きで眼球を貫き、脳を破壊する……それができずとも……「……」ストーンコールドはわずかに目を見開いた。 50

2016-02-20 00:01:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

打撃がニンジャスレイヤーを捉えることはなかった。ニンジャスレイヤーは半身になり、前に出した左腕の肘先を上向け、そして肘先を捩じって手の平を左に向けていた。ストーンコールドは己が肘先のねじれに巻き込まれるような錯覚を味わった。「そうか。これが、」「イヤーッ!」「グワーッ!」51

2016-02-20 00:03:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ストーンコールドはたたらを踏んだ。ニンジャスレイヤーの右拳が消えたと思うと、既にストーンコールドの顔面は破壊されていた。ニンジャスレイヤーは拳を戻しながら身体をねじり、飛び回し蹴りでストーンコールドの胸を蹴った。「イヤーッ!」彼は迫り来る輸送ヘリめがけ跳んだ。52

2016-02-20 00:05:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」KRAAAAASH!トライアングル・リープからの跳び蹴りが、輸送ヘリを顎下から跳ね上げていた。軌道がそれ、フェンスを巻き込みながら、ヘリは横へ落下していった。ニンジャスレイヤーはゴロゴロと転がって着地し、ストーンコールドを振り返ってザンシンした。 53

2016-02-20 00:07:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どのみち俺は長くなかった」ストーンコールドは血を滴らせた。彼の身体を蝕むヴァレイ・オブ・センジンの呪いが消える事はなかった。「貴様の出現はブッダのはなむけだ。フートンで死ぬより余程よい……ザマを見ろ。そしてハーヴェスター=サンに、栄光あれ」彼は爆発四散した。「サヨナラ!」54

2016-02-20 00:14:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

すぐにニンジャスレイヤーは走りだした。彼がサンズ・リバーを渡る時間ではない。ヘヴィレインを殺し、収容者の虐殺を止める。この行動の是非は、ナンシー・リーにも、ニンジャスレイヤーにもわからぬ。今はまだその時ではない。その時ではないが……。 55

2016-02-20 00:20:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方ヘヴィレインはY200の分隊を率い、丁寧にクリアリングを行いながら階下へ突き進んでいた。BRATATATATA!「アバーッ!」BRATATATATATA!「アイエエエ!」病人服を着た収容者が折り重なって倒れ、撃ち返してくるローニン達がY200の何人かを道連れにする。 56

2016-02-20 00:22:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヘヴィレインは苛立ちを覚える。この日死ぬために生きてきたクソどもだ。なんとつまらぬ連中だろう。一丁前に、反逆者のツラをして。「イヤーッ!」「アバーッ!」額にスリケンが突き立ち、立ちはだかったローニンが倒れる。警告音が鳴り続けている。セキュリティがハックされたきりなのだ。 57

2016-02-20 00:26:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

事前情報によれば、アケガ・ターミナルは二人のニンジャによって守られている。デプレッサーとアエシュマだ。そう楽観できる状況ではない。先程までここにはニンジャスレイヤーがいたのだ。生き残っているのがどちらか一方、あるいは二人共殺された可能性も十分考えられる。 58

2016-02-20 00:34:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ストーンコールドがニンジャスレイヤーとやりあっている間に手早く殺戮を済ませてしまうのがよかろう。ヘヴィレインは淡々と思考する。「イヤーッ!」KRAAASH!ガラス戸が内側から破砕し、臙脂色の装束のニンジャが転がり出てきた。ヘヴィレインは舌打ちした。だが疑問点もある。なぜ、今?59

2016-02-20 00:38:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは屋上。ニンジャを倒せる者などおるまい……通常であれば。通常。ヘヴィレインはカラテを構え、Y200分隊に照準を命じる。床で身悶えするアエシュマを追って、中から悠々と進み出てきた者を、ヘヴィレインは睨んだ。「ヨージンボーか」彼は呟いた。「無い話ではなかったな」60

2016-02-20 00:41:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「取り込み中だよ」黒髪の女はアエシュマにタバコを吐いて捨てた。「こいつ助けに来たのか?アマクダリ・セクト=サン。悪いけどもう……」「サ……サヨナラ!」アエシュマは爆発四散し、女は手にしたカタナを朱塗り鞘に戻して、ヘヴィレインにアイサツした。「ドーモ。レッドハッグです」 61

2016-02-20 00:43:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【デイドリーム・ネイション】#4 終わり。#5 に続く。

2016-02-20 00:44:18