【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第10部
誇張された感情から生じたモノの行く末を読者に想像させるため、トリックを駆使する犯罪劇を利用しているフシすら感じられた。そして完全に投げっぱの後味が悪いだけのお話に陥らないよう、荊木歓喜には事件を解決させる名探偵的役割だけでなく、心優しきヒューマニストとしての役割も背負わせている
2016-04-26 01:58:51心優しきヒューマニストの側面があるので、事態に対して何も解決策を打つことのできない傍観者だったりもする名探偵。 名探偵としての荊木歓喜は世の中に対し斜に構え、軽薄さすら感じさせる飄々とした態度を見せる強い人だったりするんだけど、総合で考えると道化的な印象が強いんだよね
2016-04-26 01:59:29トリックだけを抽出して評価するとか細い内容のアイディアでも、誇張された欲望やら凝り固まった妄念やら男女の性差やら狂おしいまでの正義感やら倒錯した肉欲やら、そういったものがごった煮状態で投入されると(しかもストーリー進行は手綱がしっかりとられ制御が効いてるの)、野太いミステリとなる
2016-04-26 01:59:59もうどれもこれも好きなんだけど荊木短編であえて一番のオススメはと言うと「抱擁殺人」かな? ラストで見せるあの人の行動にグッと来る。「西条家の通り魔」での荊木歓喜の感情の爆発も良いし、「落日殺人事件」での倒錯した執念も良いんだよなぁ〜
2016-04-26 02:00:18そんな前置きという名の実は本編。 長編『十三角関係』においても、事件に対して積極的なのか傍観者ぎみなのか分かりにくい事件との距離感が曖昧なままの荊木歓喜が存在しています。 麻薬や精神病院や当時の時代では異質とも感じられる女性観や愛憎や変なクラブや狂気などが振りまかれています。
2016-04-26 02:00:55荊木歓喜が相対する幾つかのフーダニットは長編ミステリの部分での支柱になるところなので、短編作品のそれより骨太な仕様となっております。マダムに逢いに来ていた人が誰なのか? といった謎がカタチを変えていく様は、なかなかの見ものでございます。これはミスリード? 本筋なの?
2016-04-26 02:01:45売春宿を舞台にした殺人劇。過剰なまでにエッジの効いた感情が絡み合い、シニカルに立ち振る舞う荊木歓喜も時に熱くなる。 殺人が行われた日に売春宿に訪れた人々に聞き込みをし、普通なミステリの顔も見せるが、どこか異界じみている印象を拭い去ることができずページを進めることとなる
2016-04-26 02:02:05それら全てはトンデモナイ着地点へ誘う撒き餌(伏線とは敢えて言わない!)だったりするわけで、読み終わったら「山田風太郎、スゲゲぇ Σ(゚д゚lll)」と悶絶することは必至なのが『十三角関係』だ。ほんまスゲゲぇ。 こんなのアリか? という言葉も異界と化した世界には無意味なツッコミだわ
2016-04-26 02:02:17山田風太郎が書いたものはおそらくジャンル山田風太郎で括るべきモノであり、『十三角関係』もミステリではなく、山田風太郎ミステリでカテゴライズしたほうがいいんじゃないでしょうかね? とそんな小並感。
2016-04-26 02:02:26そんなこんなで『十三角関係』でした。やっぱ感想難しかったなぁ。この手の作品をキレイに言語化できる忍術を身につけたいものだ。 では、また別の名探偵で! ではでは〜 pic.twitter.com/mtURUUAfyg
2016-04-26 02:02:44あっ、あと異常動機が本来のキモであるはずの「女狩」という短編が「他人のセックスを覗き見してたら変な下ネタ替え歌を歌い出すくらいアタマがおかしくなっちゃって、精神病院に運ばてしまうことになったお嬢さん」というブッとんだ導入部が濃度濃すぎて、本編の内容が濃いのにアッサリ風味だったなあ
2016-04-26 02:05:22さて、名探偵図鑑完読作戦なのであります。コナンくんの68巻で紹介されているのは「多羅尾伴内」 変装と拳銃を得意とする銀幕の中の名探偵。その正体は片岡千恵蔵、いや林家木久扇かもしれない……。 「ある時は占い師、またある時は運転手」 pic.twitter.com/fqxkRsGWrh
2016-04-27 01:57:45名探偵完読作戦では映像作品は扱わないのでスルーでゴメンナサイで。一応、こういうのもありますけど……。石ノ森 & 小池なので第1話だけはムチャクチャ面白いよ…… pic.twitter.com/v98XY7REXQ
2016-04-27 01:58:49主人公は二代目・多羅尾伴内(>人<;) 石ノ森の飽き性が早々に発動!(新幹線の話でちょっと回復するけど、その後が……) 少年誌掲載なのに生々しい話をブチ込んでくる小池一夫。あれれ、小池さんなのに「ん」が「ン」じゃない! 刑事の名前が金田一だけど金田一要素はカケラも無いわ
2016-04-27 02:00:27さて、名探偵図鑑完読作戦でございます。コナンくんの69巻で紹介されているのは「リチャード・カッフ」でございます。 薔薇が大好きな敏腕刑事。 「捜査によって、次のごとき諸事実が判明いたしました」 pic.twitter.com/KFdZF1Dg1p
2016-04-27 02:01:28というわけで、遂に私はあの『月長石』を読んだわけなのですよ(自慢) 喜国さんの古本探偵エッセイでの『月長石』を読む回がとてもとても大好きで、俺もいつか読んでやるぜと決意して幾数年。遂に俺は『月長石』を読んだのだぁ(自慢)
2016-04-27 02:02:07『月長石』は1868年(大政奉還の年だよね♫)に刊行されたとてもとてと長ぁ〜〜いサスペンスミステリー。 以下ネタバレ(?) ⚪︎ロビンソン・クルーソーが大好きすぎる面白おじさんが超絶目立つ!⚪︎リチャード・カッフ刑事はあまりに役立たない。 ⚪︎怪しいインド人が本当に怪しい!
2016-04-27 02:02:29事件を追いかけていく過程に省略はなく(それは現代エンタメミステリ界で生き抜くためには必須の技量なのである)、緻密で過密で淡々とした展開が続く。活字を一つずつ潰し、一行一行を丹念に追っていく読書の姿勢。気を抜けば何が行われてるのかが全然分からなくなる、そんな優しくないミステリ。
2016-04-27 02:02:44とある犯罪を媒介として窺い知ることが出来る19世紀イギリスの階層社会、そのお話なんじゃないのかな? というのが僕の感想。 幾つかの視点で作品は切り分けられてるけど、他の登場人物の視点部分と較べて、リチャード・カッフ刑事が出る真面目に事件を突っつくパートは少し退屈な印象なのね
2016-04-27 02:04:12今回は軽くサラッただけなので、ホンマはディケンズあたりをキチンと読み込み当時のイギリスにおける文学の傾向を掴んだ上で、更に時間をキッチリ確保し、プライベートからのストレスのない精神的余裕マンマンの時に挑むべき作品なんじゃないのかな、この『月長石』は、と
2016-04-27 02:05:05