再考:武雄の蘭学資料について

何度も同じ話題を蒸し返して申し訳ないのですが、武雄市が所蔵する蘭学資料の評価について、雑感をまとめました。
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はじめに

中西豪@史道不覚悟 @take_nakanishi

「日本の近代化は武雄に始まる」といっても過言ではないほど、江戸時代後期の武雄での蘭学・西洋科学技術研究は盛んでした。画像はそれに関連する貴重な史料・遺物を常設展示していた「蘭学館」の内部の在りし日の姿なのです。 twitter.com/yuyu3930/statu…

2016-05-23 18:47:22
しぇあぽん @yuyu3930

てことは、歴史的建造物でも何でもなくて、デザインは良かったかも知れないが、もしかして入館者が少なくて赤字垂れ流してたとか?だとしたら、人が集まる施設に変えた方が正解やと思うんですが? twitter.com/take_nakanishi…

2016-05-23 16:34:21
中西豪@史道不覚悟 @take_nakanishi

そういった縁もあり、当時の駐日オランダ大使はオランダ製煉瓦を寄贈してくださり、それが図書館・歴史資料館の外壁、まさに蘭学館の外壁部分に用いられました。しかし、先代市長が議会に諮ることもなく独断で「TSUTAYA図書館」に移行、蘭学館は廃止されソフトレンタルコーナーにされたのです。

2016-05-23 18:50:45
中西豪@史道不覚悟 @take_nakanishi

その辺りの理不尽な経緯、ネットで検索すれば山ほど出てきますがWikipediaの武雄市図書館の項目ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6… でも概要は知れます。ご参照ください。最初は物珍しさで来館者も増加しましたが、やがて減少傾向を辿り改装前より少なくなっているようです。

2016-05-23 18:53:54

武雄蘭学資料について

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

武雄の蘭学資料は地域と共にあった文化財だけにその来歴をぜひ若い武雄市の人たちも知っておいて欲しい。 ・戦時中は幕末期の大砲を供出しないように土に埋めて秘匿。戦後に掘り返された ・洋書やその他の道具類は所有者が地元武雄市に戦後、寄贈した武雄市はそれに応えるために保存施設を計画

2016-05-23 19:02:15
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

・その保存施設も、当初は県の施設を住民は要望として出していたが、結局、市の施設として開設。保存倉庫も完備し、展示施設としての「蘭学館」がスタート。 ・この間、戦後間もなくから、全国の歴史・軍事研究者から武雄の蘭学資料は注目を浴び、研究と評価が進む

2016-05-23 19:06:14
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

武雄蘭学資料が国の重要文化財になったのはつい最近のこと。そもそも重要文化財として評価されるには、それ相当の歴史研究や文化財研究の蓄積があったうえでのことで、決して申請書1本で通るような安直なものではない。 ・「蘭学館」は武雄蘭学資料の更なる研究を進めるための拠点となるはずだった

2016-05-23 19:12:11
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

・蘭学館(展示コーナー)は、前市長の独断で民間企業のレンタルスペースに改装されてしまった。この前市長はことあるごとに「武雄には誇るべきものなど何も無い」というのが口癖であったから、この措置はさもありなんとしか思えない。 ・数十年に渡る文化的蓄積も、首長の独断で簡単に破壊される現実

2016-05-23 19:19:10
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

武雄蘭学資料の過去の研究蓄積というと、代表的なプロジェクトはこれだろう。昭和60年に報告書との出た「西南諸藩の洋学」(トヨタ財団研究助成/代表者・杉本勳)20名の研究者が参加  p.twipple.jp/X01VC   p.twipple.jp/xq52j

2016-05-23 19:50:12
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

武雄市の教育委員会では蘭学資料を含む一括資料の寄贈を受けた後、目録類の作成に着手し、「西南諸藩の洋学」プロジェクトはそれに基づいて重要資料の紹介にあたった。その後もプロジェクトとしては、2001年~05年の文科省特定領域研究「江戸のモノづくり」が武雄蘭学資料を採り上げた。

2016-05-23 19:58:46
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

前も言ったが、武雄蘭学資料の中には世界でも数体しかないオランダのファルク工房製の地球儀(1745年)・天球儀(1750年)が揃って残っている。類似の天球儀は、あのフェルメールの「天文学者」に描き込まれていて、その現物が武雄にある。 google.co.jp/imgres?imgurl=…

2016-05-23 20:20:40
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

先日、フェルメールの「天文学者」が初めて国内で展示されたと話題になったが、そこに描かれた天球儀が、もはやヨーロッパでも稀覯品となっている。フェルメールの絵画もすごいが、その中のアイテムである天球儀の実物がある武雄。申し訳ないが「文化もある田舎」では語れないレベル

2016-05-23 20:28:45
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

そんなことなど知ろうともしなかった前市長は、蘭学資料をあわよくば売り払おうとすら広言しており、間一髪で、これらは国の重要文化財となって事なきを得た。度し難いとは、まさにこのことである。

2016-05-23 20:32:03
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

これは歴史の皮肉だろう。 幕末の武雄領主・鍋島茂義は、ほとんど九州から出たことも無いのに世界に目を開き、その文物をできる限り集めて今に残した。 一方、平成の前市長は、東大まで出ていながら、足許の武雄のことは何も知らずに終わった、と。

2016-05-23 20:46:19

補足資料

この話題の流れをより詳しく見てもらうには、以下のようなやりとりがありましたのでよろしければご参照ください。

佐藤賢一先生の蘭学館に関する議論に樋渡啓祐武雄市長が反論

武雄市立図書館と宮城県図書館に起きたこと

蘭学館紹介