ニンジャスレイヤー物理書籍購入レポート"ヒア・カムズ・ブックス"

じょう @jou110

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「ハァーッ！ハァーッ！」冷たい金属の感覚、金庫の中だ。余りに短期間にシオリ・ワープを繰り返した反動か、ショテンインの目や鼻から血が流れる。「ハァーッ……ハハハ、ここまで追ってこれまい……幸いここには書籍特典の栞が山ほどある、ここを起点にシオリ・ジツのネットワークを……」 10

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ゴオン！何者かが金庫の扉を叩いた。何者が？決まっているではないか。ショテンインは心臓を掴まれた心地になった。緊張から額の傷が再び開く。永遠とも思われる静寂。再びのノック。ゴオン！ゴオン！そして再びの静寂。ショテンインはゴクリと唾を飲み込んだ。 11

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2メートル以上の厚さを誇る大金庫の向こう側、本来ならば一切の音を通さぬはずのその扉の向こうから、ジゴクめいた声が響く。「……ニンジャ、殺すべし……」それは確かに、ショテンインの耳元で響いた。「アイエエエ！！」ショテンインはもはや恐慌状態で後ずさる。 12

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ゴオン！ゴオオン！扉の衝撃がより強くなる。「あり得ない……！カラテで金庫が破れる訳がない！」金庫内の書籍にぶち当たり本の山が崩れる。物理書籍の表紙、描かれたニンジャスレイヤーのジゴクめいた眼がショテンインを睨みつける。ここにも、そこにも！周囲にはニンジャスレイヤーだらけだ！ 13

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「アイエエエ！アイエエエ！！」ゴガゴオオン！！ジゴクめいたシャウトが響く！「イイイヤアーッ！！」ゴウランガ！厚さ2メートルを誇る大金庫の扉が、今カラテによって破られたのだ！扉の外のニンジャスレイヤーは赤黒い炎を揺らめかせ、ジゴクめいた蒸気を吐いた。 14

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「ハイクを詠むがいい、カラテのイロハも知らぬ若造よ」ニンジャスレイヤーがチョップを構える。最早ショテンインの心は折れ、ブザマに失禁していた。「アイエエ……手触りの、厚みが嬉しい、物理書籍な」「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーのチョップがショテンインの首を切断！ 15

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「サヨナラ！」ショテンインの切断された首が叫び、残された体が爆発四散！ニンジャスレイヤーは吹き飛んだショテンインの首を掴むと素早く窓から飛び出す。遅れて金庫室の前へ現れたのは変装したナンシー・リー。後ろに引き連れているのは小売書店の店主達だ。 16

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「皆様、この度は商品の供給が遅れてしまって大変申し訳ありませんでした。お詫びに今回は注文数を自由に持って行って結構ですわ」ハッキングによりショテンインの暗黒流通システムを破壊していたナンシーは小売業者にIRC連絡し正常な流通を回復させようとしていたのだ。 17

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笑顔の書店員達が次々とニンジャスレイヤー物理書籍最新刊"開戦前夜ネオサイタマ"を持ち帰って行く。ナンシーはその光景を満足げに一瞥するとしめやかにビルを後にしたのだった。 18

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「おかえりなさい、ボブ」「ただいま、ママ！」中国地方に住むごく普通の少年、ボブ。彼の1日はごく普通に終わろうとしていた。「今日は貴方にプレゼントがあるのよ？」「エッ？」ボブは訝しんだ。彼の母がこんなに笑顔なのはいつ以来だろう？「プレゼントってなに？」ボブは尋ねた。 20

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「何かしらね？包みを開けてみなさい？」ボブは言われるがまま、差し出された包みを開いた。「ワーッ！これは！ニンジャスレイヤー物理書籍最新刊！"開戦前夜ネオサイタマ"じゃないか！」ボブは飛び跳ねて喜ぶ！母親もボブの様子をみて微笑んだ。 21

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物理書籍、それは人々の心に新鮮なニンジャアトモスフィアを届ける理想の箱舟。人々は知らぬ、それがどのようにして守られたかを。だがそれでいいのだ。ニンジャの闇は不用意に人々の前に現れては成らぬのだ。ニンジャスレイヤーはひとり、闇の中へ消えて行こうとしていた。 22

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「ヤッター！今回もニンジャが出て殺すんだ！ワーイ！」「もう、ボブったら」幸せそうな家族の笑顔。少年は喜びを抑えきれず外へ飛び出し物理書籍を空に掲げた。物理書籍は夕日を受け、まばゆく輝いていた。少年の笑い声だけが、響いていた。 23 pic.twitter.com/UpLHu3HP8H

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ヒア・カムズ・ブックス おわり