すみゆ忍テキスト【悪のニンジャ王国を討て!】#1

SUMIYUによる、ニンジャスレイヤー二次創作遊戯・ニンジャネーム企画のテキストです。オリジナルニンジャがかつやく。 #2(http://togetter.com/li/991906)
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SUMIYU @SUMIYU1987

キビシイ・アイランドの高額納税富豪の一人である菓子製造会社の社長が、サント・デル・フジサワ教会という謎の組織の頭目と懇意だったのだが、その組織では傭兵ニンジャの派遣も請け負うという。多少うさんくさい部分はあったが、長老たちはそのツテを通じて兵を集めることとした。#smytxt

2016-06-19 12:30:18
SUMIYU @SUMIYU1987

教会(という名前だが宗教組織ではない)の頭目であるニンジャ、ゴッドファーザーは快く応じ、紹介料をたっぷりとって嬉しそうだったという。 そして決死の傭兵たちが集められたのだ!  そんなわけで、彼らは今海岸で船を待っており、紹介料で購入されたコーヒーを飲んでいる。#smytxt

2016-06-19 12:33:50
SUMIYU @SUMIYU1987

ポゥーッ! 鋭い汽笛の音が響く。 バックギャモンが顔を上げた。 ウロコ装束のニンジャ、ムシュスーも立ち上がり、沖をにらむ。 チカテツは胡坐をかいたまま。 「ねえ、起きなよ」パッショネイトが頭をはたくと、サイバネニンジャ、スパイクホイールはのろのろと体を起こした。#smytxt

2016-06-19 12:41:25
SUMIYU @SUMIYU1987

己の装備と、糧食などの荷物を点検し、5人は沖から徐々に近づく小型の船を迎えた。 「なんだよこのポンコツ…」パッショネイトが怪訝な顔をする。 ゴッドファーザーが手配したランチはずっこけるほど旧式のものであった。リズミカルな蒸気の音が夜の海岸に響く。#smytxt

2016-06-19 12:44:59
SUMIYU @SUMIYU1987

傷だらけの灰色のランチは小躍りするように元気に海岸に迫ってくる。船体側面にこれまた古そうな英字フォントでショドーされた「ヴィア バウエン フュア デン ズィーク」の文字と、なんか絶対放送できない感じの十字のマークが目に入る。据え付けライトのまぶしい光が5人を射る。#smytxt

2016-06-19 12:49:25
SUMIYU @SUMIYU1987

「おまたせしました~~」 ふいに、この緊張状況下に不釣り合いな能天気な声がおこり、人影が操縦席から飛び出た。そこには、メイド服に身を包み、ぼろぼろの海軍帽をかぶった少女。 にっこりわらって。 「5名様ご案内しま~す」 5人は同時に渋い顔をした。 #smytxt

2016-06-19 12:53:51
SUMIYU @SUMIYU1987

【悪のニンジャ王国を討て!】 つづく... #smytxt #すみゆ忍

2016-06-19 12:55:05
SUMIYU @SUMIYU1987

パンパンパンパンパンパンパン…… 灰色の快速ランチが波をかき分け、漆黒の海を滑ってゆく。汚染されてはいるもののネオサイタマに比べれば水はきれいな方だ。パッショネイトはレッドブラウンの瞳で世話しなく方々の海面を見つめている。チカテツは船首の方に陣取り、無言で座り込む。#smytxt

2016-06-19 21:02:41
SUMIYU @SUMIYU1987

「あの無人島の左を横ぎったら南西に進路をとります」透き通るような白い手で前方を指さしながら話すのはエーデルヴァイス。このメイドと面識があるのはゴッドファーザーから直接依頼を受けたバックギャモンだけだ。だが、他の4人もうすうす感づいてはいる。彼女はニンジャだ。#smytxt

2016-06-19 21:04:39
SUMIYU @SUMIYU1987

エーデルヴァイスは危険海域とかが書き込んである大きな海図と、コンパスとかそれっぽい道具を手際よく操り、今後の段取りをリーダーたるバックギャモンに説明する。機械の身体をもつスパイクホイールも傍らで頷く。 「今回は陽動作戦を取ります。キビシイ海軍と共同作戦です」#smytxt

2016-06-19 21:08:31
SUMIYU @SUMIYU1987

「貴方たちが死の島に潜入するタイミングで、キビシイ艦隊が正面から進軍を始めます。ニンジャもいますのである程度持ちこたえられるはずです。敵が海上に気をつられている隙に、貴方たちが悪虐ニンジャ王の首をとる」 「ウム。なるほどな!して、島にはどこから潜入する」#smytxt

2016-06-19 21:12:20
SUMIYU @SUMIYU1987

「ここです」 メイドが指さしたのは、イーノ・アイランドの北東部。 「ここは…まさか?」バックギャモンが形の良い眉を大仰にしかめる。 「断崖絶壁です」 「ウゥーム!一筋縄ではいかんな!」 「クナイはご用意いただいていますか?」 「たっぷりと。そういうことか…」 #smytxt

2016-06-19 21:14:59
SUMIYU @SUMIYU1987

「島の裏側は波が*強い*のでご注意ください。天候も今後荒れるかも。でも、潜入にはその方が好都合ですね」エーデルワイズはにっこりと笑いかけた。 「ウム!なせばなる!なさねばならぬ何事も!」バックギャモンは手を叩いた。#smytxt

2016-06-19 21:17:13
SUMIYU @SUMIYU1987

スパイクホイールがにやつきながらメイドに問う。「姉ちゃんは登らんのか?」 「私はみなさんを送り届けるところまでです。キビシイに戻って待機し、終わったらお迎えに上がりますよ」 「フン。まぁ足手まといを連れてもしょうがないな」 メイドは取り合わずにこにこしていた。#smytxt

2016-06-19 21:20:16
SUMIYU @SUMIYU1987

「ウーム!とにかく気を引き締めていかなければならんぞ!皆の協力と一致団結がカギだ!気合!」バックギャモンがスパイクホールの肩を強か叩いた。 ランチは針路を調整してから島影を3つ4つ見送ると、キビシイ、イーノ両島の中間に位置する岩がちの小島に向かって加速を始めた。#smytxt

2016-06-19 21:23:41
SUMIYU @SUMIYU1987

取るに足らぬ小島。だが、宵闇に浮かび上がるそのシルエットは… 曇天に向かって屹立する… 塔! そう、海面上100メートルを優に超える石造りの巨塔が、島に根を張りそびえ立っているのだ! スゴイオオキイ! #smytxt

2016-06-19 21:27:09
SUMIYU @SUMIYU1987

これこそが、キビシイ島民が建てた歴史ある灯台にして見張り塔だ! 現在は奪取され、灯台の火は消え、敵の前哨基地と化した。塔が奪われたことでキビシイ軍は窮地に立たされた。なぜなら… 「ククク… どこの阿呆か知らぬが随分と勇敢なことだな」 青い巨体が立ち上がった! #smytxt

2016-06-19 21:31:34
SUMIYU @SUMIYU1987

「みなさんスリケンの用意を!突っ込みます!ニンジャ来ますよ!」エーデルヴァイスは5人に向かって叫ぶと、ブリッジに据え付けられたグレーター・ラジカセのスイッチを入れた。リヒャルト・ヴァーグナーの『ワルキューレの騎行』が耳をつんざくような爆音で流れる! #smytxt

2016-06-19 21:35:01
SUMIYU @SUMIYU1987

この曲には味方の恐怖を払拭し敵を威圧する効果があることが研究でも明らかだ。傭兵達が立ち上がりる! 突然、おもむろにメイドがスパイクホイールをぐいと引き寄せた。「操縦かわって!」 彼女は船首に向かって猛ダッシュ! 縄をほどき、何かを覆うブルーシートをひきはがした。#smytxt

2016-06-19 21:38:54
SUMIYU @SUMIYU1987

塔の最上階では騒がしいランチを見下ろしつつ、青い爬虫類めいた肌の恐るべきニンジャが装束のもろ肌を脱いだ。熊めいた巨体の筋肉が殺戮の興奮で引きつる。細めた彼の眼は黄色く光り、ギザギザの歯を持つ口から垂れた強酸のよだれが顎をつたう! このニンジャの名はドラゴンズブレス。#smytxt

2016-06-19 21:40:49
SUMIYU @SUMIYU1987

このニンジャは、その恐るべき名の示す通り、火炎のブレス(威力100d3)、冷気のブレス(威力100d3)、電撃のブレス(威力100d3)、そして酸のブレス(威力150d2)を吐くことができる(1/2の確率で2回行動)。ワザマエ! #smytxt

2016-06-19 21:42:52
SUMIYU @SUMIYU1987

しかもそれぞれのブレスにつき1/3の確率で器用さ/耐久力/腕力/魅力の最大値減少の追加効果がつく。しかも彼のカラテパンチは一発につき8d8の威力の混乱打撃だ。 おおブッダよ!傭兵たちの冒険はここで終わってしまうのか! #smytxt

2016-06-19 21:44:29
SUMIYU @SUMIYU1987

「ククク…揃いも揃って愚か者ばかり。何度儂の息を食らえば気が済むのやら… せいぜい苦しまぬよう一瞬でジゴクに送ってくれよう」ドラゴンズブレスは射程を図りつつしっかと床を踏みしめる。 彼が大きく息を吸うと、周囲の空気が熱で歪んだ。 #smytxt

2016-06-19 21:48:00
SUMIYU @SUMIYU1987

そのころランチでは、今まで武具の手入れをしていたムシュスーをはじめ、傭兵一行がスリケン投擲の準備を終え、塔の最上階に刺すような視線を浴びせていた。ピンと張り詰めた空気の中にヴァーグナーが響く。 「フォアヴェァツ!フォアヴェァツ!」メイドが掲げた右手を振り下ろす!#smytxt

2016-06-19 21:51:24
SUMIYU @SUMIYU1987

「フォヤーッ!」 「「「「「イヤーッ!!!」」」」」 エーデルヴァイスの怒号に続いて5つのスリケンが空を斬った!カカカカカッ! 「グワーッ!」そしてドラゴンズブレスの岩のような胸板に同時に突き刺さる! つづいてバウ!バウ!バウ!バウ!バウ!バウ!バウ!バウ! #smytxt

2016-06-19 21:55:39
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