空想の街・氷涼祭'16 最終日 #赤風車

#空想の街 氷涼祭の三日目(16/07/03) #赤風車 纏め。 二日目夜更けの物語→http://privatter.net/p/1718405 過去本編など→http://nowhere7.sakura.ne.jp ※文章や画像の無断転載及び複製・自作発言等の行為はご遠慮ください。著作権はそれぞれの作者に帰属します。 公式様参加者様、お疲れ様でした。コラボしてくださったかたがた、有難うございました。 続きを読む
0

孕む青空の下

不可村 @nowhere_7

早めに起きていたのだが、どうにもだるさが取れないのは、三日間の疲れが体に出てしまったせいか。一文字は今日はまだ誰とも出くわしていないため、閑古鳥と風船を弁慶に纏わせて中央区のあたりに立っていた。 三日目ということもあって賑わいに迫力がある。 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 18:03:27
不可村 @nowhere_7

三つ編みをあそばせ、今の季節には似合わないだろうな、と己でも思う格好で風車を吹き鳴らした。 ――さて、誰か客には会えるだろうか。 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 18:04:26

そして次の季節

萌葱[moegi] @hmoegi

@nowhere_7 良い天気だ。みどりの風船を手に中央区を歩いていると、乾いた音が聞こえてきた。風の方角へ帽子の鍔を傾ける。大きな荷物を担いだ、若い男が佇んでいた。——風車? くるくると回る色に惹かれて、声を掛けた。「こんにちは」#空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:10:17
不可村 @nowhere_7

気持ちがどうも空気にまざって漂っていたのだが、声をかけられ浮上する。声の主は、帽子を被って大きな籠を抱えた商人のようだった。男とも女ともつかぬ雰囲気の件を一文字は問い詰めない。 …何を売っているのだろう。「いい陽気だな。旅の者か」 @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:13:54
萌葱[moegi] @hmoegi

@nowhere_7 頷きで応じて微笑む。「旅の #色売り と申します。小瓶に色を詰めてお譲りしています」籠に並んだ小瓶も鮮やかな、本当に良い日和だと思う。そして男の荷物を見上げる。見慣れない道具だったが、からからと回るそれは知っていた。「風車売りの方ですか」#空想の街 #赤風車

2016-07-03 18:21:59
不可村 @nowhere_7

よく見れば、籠には表現のできぬ色合いの小瓶がある。また不思議な者に出会う日だ、と一文字は思った。「お察しの通り、俺は風車売りを生業にしているのだよ。お主は旅の商人、というわけか」 おすすめのものを買わせて頂いても宜しいか、と続ける。 @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:27:10
萌葱[moegi] @hmoegi

@nowhere_7 「お互い旅人というわけですね」風車が風に鳴く。「お勧めは——これでしょうか」淡く光る色小瓶から、一際鮮やかな赤色ひとつ。真っ赤な真っ赤な、空も景色も燃えているような。「 #紅葉茜 (こうようあかね)」秋が佇んでいるような貴方に。#空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:38:24
不可村 @nowhere_7

歩き売りなのだから、確かに旅人だ。己の根無し草気質を思い浮かべ笑い、一文字の目は相手の差し出すものを映す。「随分と小粋な名前だね。有難く頂くよ」秋が佇むとはよく言ったものだ。 そして次は、弁慶を傾けて相手に示してやる。→ @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:43:40
不可村 @nowhere_7

「お主もよければひとついかがか」好みの色があればいいが、と思ったところで、相手が色を扱う者だと思い出す。今貰った #紅葉茜 を、白地の風車に染みこませることはできるだろうか。 「暫しまたれよ、瓶をこう傾けて、」――色が、移った。→ @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:47:05
不可村 @nowhere_7

「お主の売るものはまた不可思議だな。――どうだ、お主から頂いた色だが、 #紅葉茜 色の風車だ。元は白地だったがね――もらってはくれまいか」 そして、卵黄のようにも見えるほどの濃い紅の風車を手渡す。宣伝用のものが風でしゃり、と鳴った。 @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:49:23
萌葱[moegi] @hmoegi

@nowhere_7 小瓶の色が移るさまは、見慣れていてもやはり美しい、と思った。惹きこまれるように風車を受け取る。#紅葉茜 が回る。凛としたかたちを得て、そこには確かに秋が咲いていた。「ありがとうございます」綺麗な風車だった。#空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 18:57:47
不可村 @nowhere_7

こちらこそ、と礼を返す。「俺の風車は音が鳴る。持ち手が筒で、銜えて吹いてもいい」と己のものを出して吹いてみせる。しゃり、しゃらら、という珊瑚を打ったような音が広がった。 「色がいいのはお主のお蔭だよ。時々は吹いて遊んでやってくれ」 @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 19:00:58
萌葱[moegi] @hmoegi

@nowhere_7 言われて持ち手を銜えてみた。息を吹きこむと、目の前で濃い赤が回り、耳に珊瑚の音。夢のような光景だった。「ありがとうございます。私にも良い思い出です」#空想の街 #赤風車 #色売り 普段はかたちのないものを扱っている。それがかたちを得るのを見るのは新鮮だった。

2016-07-03 19:06:43
不可村 @nowhere_7

「息災でいてくれ。今日は祭三日目だ、互いに繁盛するように祈ろう」渡した風車を満足そうに吹いてくれる相手へ手を上げることで別れを告げ、一文字はその場をゆっくりと離れていった。これからは色に困ったら、あの相手を頼るのもいいかもしれない。 @hmoegi #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 19:09:53
萌葱[moegi] @hmoegi

@nowhere_7 「ええ、良い一日を」良いひとと、良い色に出会えますように。秋のような風車を、小瓶の籠に差す。時折吹く風が、しゃらりしゃらりと音を奏でた。色と風とをかたちにする良い品だ、と思う。またどこかで出会うこともできるだろうか。 #空想の街 #赤風車 #色売り

2016-07-03 19:17:26

誰が為の

不可村 @nowhere_7

今日も今日とて飽きずに空は晴天だそうだ。梅雨時に溜まっていた洗濯物がこの三日で一気に乾いたろうな、と一文字は欠伸をしいしい街を進んでいく。 ――足が止まった。見上げる先には、東区の掲示板だ。街ならではの歳時記を住民や旅人から集めると聞いてはいたが。 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 11:59:37
不可村 @nowhere_7

色々と書かれている中を一文字の半開きの目が追っていく。よくもまあうまく思いつくものだ、と見ていった先に――随分と見覚えのある筆のものがあった。 「……言葉坂、ね」 内容自体は一日目に起きていたらしいこの街の現象を表したもののようだ。例句をひとつ読んでいくが、 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 12:02:29
不可村 @nowhere_7

もうひとつ、曲がったようになって付け加えられている例句のほうは、一文字には、読めない。片仮名のみでしたためられているせいだ。 いくら片仮名を勉強しても認識することができない頭で生まれついてしまったこちらを試すように、その文字列は鎮座している。 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 12:04:16
不可村 @nowhere_7

@tos ――コトノハデタレヲツヽムカノルンザカ。 一文字の頭が片仮名を認識できるつくりならば、それに続く署名のようなものも読めただろう。 トウカ、と示してあることなど露ほど知らぬまま、見覚えのありすぎるその字をなぞろうかとしていた一文字は、結局指を下ろして立ち去った。 #赤風車

2016-07-10 01:46:36

英媛に夏の東風吹く

不可村 @nowhere_7

歳時記に関わることをしているのは二名ほどいた筈だ。祭の準備をし、二日間は氷涼祭を歩いたのでそこは一文字も把握していた。正午あたりに見かけた掲示板にも、夕闇俳句帳、というのともうひとつ、 #はなのえ文庫 と記されていた気がする。 そこで足が南区から西へ戻った。 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 13:38:53
不可村 @nowhere_7

蛇の道は蛇――と例えると何やら怪しげになってしまうがつまりはそういうことである。昼下がり、一文字は編んだ三つ編みを背に回し、弁慶を僅か下げると、図書館と思しき民家の戸を叩いた。 「失礼。はなのえ文庫はこちらで宜しいか」 @Ne2_co #はなのえ文庫 #赤風車 #空想の街

2016-07-03 13:41:08
1 ・・ 5 次へ