ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ 【7:ポラライズド】 #2

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがアマクダリ側の圧倒的な物量と連携。しばしば弾き損ねたスリケンが、スパルトイ本人だけでなく、カラテミサイル連射を続けるパーガトリーの肌をも掠める。「守りが甘い!下賤な重金属弾がこの身を貫こうものなら、どうなるか分かっておろうな!?」「ハイ!」「ええい、他の者らは何処へ……!」

2016-07-25 21:47:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

両目にこぼれんばかりの狂気を湛え、メンポから粘液を滴らせながら、彼女は回転着地した。「フォ、ハハハハ!」衝撃波で恐慌状態に陥り、戦線離脱していたパープルタコが、再び乱戦に飛び込んだのだ。両手を広げジツを繰り出す!「シテンノ!」狂気の眼光!ペイガン部隊が錯乱!「「「アバーッ!」」」

2016-07-25 21:58:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その隙をつきスパルトイはアルデバランに挑む。「イヤーッ!」「ヌウーッ!」パーガトリーはジツの出処を探り、強化されたネクサスの思念リンクへと繋ぐ。(ジツの使い手が重ツェッペリン上に陣取っておる)(ぬしのカラテミサイルで撃墜できんのか)(高度が高すぎる)(ファイアウィルムを回させろ)

2016-07-25 22:04:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、アマクダリ本営。ハーヴェスターはピストルカラテを構え、手勢とともに最終防衛ラインを構築しながらザイバツ勢を待ち受ける。ここを突破されれば、後方にはアルゴスとの高速通信を維持するための重要なコアユニット。コア周辺は電磁バリアで四方を守られているといえど、敵は全て、ニンジャだ。

2016-07-25 22:12:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「イヤーッ!」」」カラテ馬に乗った時代錯誤の一団が、斜面を駆け上ってくる。敵将ダークニンジャの気配を感じ取り、ホワイトドワゴンとブリザードは一足先に動いた。ハーヴェスターの目には、ホワイトドラゴンがオーロラを纏って宙を舞い、敵部隊めがけ凄まじい冷気の竜巻を浴びせるのが見えた。

2016-07-25 22:20:50
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このアンブッシュを受け、何人かのニンジャが氷漬けになりながら上空へ巻き上げられ、再び斜面に叩きつけられて砕け散り、爆発四散した。その一人は、危険な石化ジツの使い手、ザイバツのペトリファイズ。ペイガンも数名含まれていたが、この程度の犠牲で手練れを道連れにできるならば、戦果は上々だ。

2016-07-25 22:28:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「突撃の勢いをくじいたか!だが敵も見事な采配よ!散開し、攻め上ってくるぞ!」ハーヴェスターは激突の予感で口元に笑みを隠しきれぬ。アルゴスの眼により収集された情報が瞬時に伝わる。彼は手勢に臨戦態勢を取らせた。同時に、新たな異変を察知する。ジグラットに迫る人の波を。いや、人形の波を。

2016-07-25 22:37:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは何の騒ぎだ。暴動にしては……」彼は眉根を寄せた。カルトのハッカーが報告する。『い、一斉蜂起です!ドロイドが……オイランドロイドが、ツナミめいて押し寄せてきます!ジグラットへ!』「やりおるわ!」老将は痛快そうに笑い、命令を下す。「砲撃を開始せよ!ジゴクの蓋を開けてやれ!」

2016-07-25 22:39:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

DOOM!DOOM!DOOM!ジグラットの裾野で、ハイデッカーと湾岸警備隊の兵器群による砲撃が始まった。東手では、ミボウジンの二連装レールガン一発の射撃で数十体ものオイランドロイドが破壊され宙を舞ったが、彼女らは恐怖も躊躇も抱かぬ。後続が次々押し寄せ、ジグラットを登ろうと試みた。

2016-07-25 22:46:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

外部からだけではない。オイランドロイドはそこかしこに存在していた。ジグラット内部でソウカイヤを追っていたヴァニティ部隊は、これらのドロイドを片端から破壊して進まねばならなくなった。同じく、キョウリョクカンケイ艦上でも、積まれていた数体のオイランドロイドが同時に行動を起こしていた。

2016-07-25 22:50:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アルゴスは即座に、この事態に対する分析を行った。彼はネコチャンAIと同化してはおらず、下位のデーモンとして使役しているため、オイランマインドには辿り着けていないのだ。だが今、事象を観察した彼は、オイランマインド存在の可能性を知り、一時的なオヒガン接近がこの事態を招いたと推測する。

2016-07-25 22:55:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オイランドロイド一体一体の戦闘能力は低い。ニンジャとは異なり、重火器で容易く一掃できる。だが一体でも打ち漏らせば、再定義に関わる重要なUNIXデッキに直結され、ハッキング攻撃を受ける危険性がある。結論、一体も打ち漏らさず凌ぐべし。再定義が進めば、かくの如き混沌は完全排除されよう。

2016-07-25 22:58:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ハーヴェスターはアルゴスと協調し各方面へと指令を飛ばしながらも、その隻眼を下の乱戦から片時も離さぬ。この世ならざる輝きを発する刃が三百メートル先で夜を切り裂く。妖刀ベッピンか。ごくりと唾を飲む。ダークニンジャはホワイトドラゴンを相手取り、凄まじい勢いで戦場を跳び回る。化物どもだ。

2016-07-25 23:07:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

DOOOM!DOOOM!盛大な再砲撃で、ジグラットの四方が地鳴りめいて揺れる。ほぼ同時に、下の乱戦の中から、いくつかの影が抜け出してくる。カラテ馬に乗ったユカノ、同じく馬上のナイトウィンド、さらに双頭の巨漢ギガントが、棍棒でペイガンを軽々と払いのけ迫る。「来るぞ!総員!備えよ!」

2016-07-25 23:12:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、ドラゴン・ニンジャです!」ユカノは竜の瞳を輝かせながら、馬上でマストダイ・ブレイドを抜く。敵の数およそ十。ユカノの狙いは無論、敵将ハーヴェスター!カラテ馬の使い手ナイトウィンドと並走し、銃弾とスリケンを弾きながら、敵部隊中央へ突き進む!「大将首、貰い受ける!キエーッ!」

2016-07-25 23:19:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「「イヤーッ!」」」」両部隊は真正面から激突した。目にも留まらぬカラテが飛び交い、衝突の勢いで四人のアクシスがまず弾き飛ばされた。敵も、カラテ馬に致命的なカラテと銃弾を叩き込み、雲散霧消せしめた。ユカノらの刃は敵将には届かなかった。熊頭巾の側近が、身を挺してこれを防いだのだ。

2016-07-25 23:26:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノとナイトウィンドの二人は乱戦の中へと回転着地し、互いの獲物を構え並び立った。ギガントも遅れて突き進み、後続のアクシスと激しいカラテをぶつけた。一方、ユカノとナイトウィンドによって深々と斬りつけられたそのアクシス、ベアハンターは、致命傷と思われながらも、なお立ち続けていた。

2016-07-25 23:29:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「GRRRRR……」ベアハンターは異常興奮状態で涎を垂らし、満月を見上げていた。「イヤーッ!」ナイトウィンドがカイシャクすべく斬り掛かった。(アブナイ)ユカノが危険を察し、警告した。次の瞬間、ベアハンターは身をよじりながらヘンゲヨーカイ・ジツを行使し、巨大なワーベアへと変身した。

2016-07-25 23:37:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「GROWL!」ベアハンターは爪の一振りでナイトウィンドを弾き飛ばし片腕を奪った。「グワーッ!」「GRRRR!」彼はオーロラに抱かれる月を見上げ、咆哮した。アクシスとして死の淵を彷徨い会得したこのジツは、第3波でなお力を増していた。アマクダリもまたこの戦争に全てを賭けているのだ。

2016-07-25 23:51:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ベアハンターの胸からはシュウシュウと湯気が立ち上り、その傷を塞いでゆく。この手合いを満月の夜に殺すのは、至難の技である。「一筋縄では行きませんね」ユカノは龍の眼で敵を睨みながら、ナイトウィンド、ギガントと陣形を組み直した。ザイバツ側の突撃の勢いは、ここで一度断たれることとなった。

2016-07-25 23:59:43