【片道勇者オンライン】　～狩人ンクの終点への旅路～

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どうやら命に別状はなさそうなのでじきに目覚めるだろう。その後のことは本人次第だ。 またなにかに囚われるのか、無事に逃げ延びられるのか……。 【今日のステータス】 LP:90 DK:23 伝:64 《仲間：気高き騎士》《◆貫通射》

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【超／休息／探索３】ンク＠北は迷宮内で安全な避難場所を見つけた。それにしても、さっき出会った君に恋した亡国の姫は大丈夫だろうか……。少し休み、ＬＰ＋６、ＤＫ＋３。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #片道勇者ONLINE

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今日も平和な一日だった。途中で自称王族で惚れたという極めて怪しい人物を見たが、あの調子では迷宮の中で生き残るのは難しいだろう。 安全地帯があるならせめて連れてくるべきだったか？まあいいか。 【今日のステータス】 LP:96 DK:26 伝:64 《仲間：気高き騎士》《◆貫通射》

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【超／休息／探索３】ンク＠北は迷宮内で安全な避難場所を見つけた。それにしても、さっき出会った好色な冒険家は大丈夫だろうか……。少し休み、ＬＰ＋６、ＤＫ＋３。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #片道勇者ONLINE

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昨日に引き続き平和な一日だった。途中で……ワオ。すごいことになっている人物を見たが、あれはまったく参考にならない。色々な意味で大丈夫だろうか。 【今日のステータス】 LP:100 DK:29 伝:64 《仲間：気高き騎士》《◆貫通射》

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どうやら、最終決戦のお膳立てが整ったみたいだ。 しかし私が動くべきは今じゃない。いずれ必ずそのときが訪れる。そのときになれば討つべき敵が姿を現すはずなんだ。 そのために今は鋭気を養うとしよう。

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@Albert_swolf 支援するよっ！

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んん……あともう一眠りしたら貯めこんだ財宝で《最終決戦の神器》を買い取って闇をぶちのめすんだ……。 でも迷宮の床はひんやりしてるし誰もこないしもう少し寝てていいよね……。闇の気配も全然感じないしまだ余裕はあるよ……。

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はげしくつつかれて目を覚ます。 仕方なく目を覚ますと、鳩。手紙を携えた伝書鳩がいた。おまえが起こしたのか。朝ごはんにしてやろうか。 「あの、手紙をとるのを待ってるみたいですよ？」 道理だ。こんな迷宮の奥底にまで届けに来るハト根性、あっぱれ。 ……いや、それ以前に。 「誰！？」

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わたしはビーティーに不寝番をさせて寝ていたはずだ。誰か近づいてきたらすぐに分かるはず。 なのにどうして鳩につつかれる。そして声をかけてきたのは誰だ！？ とっさにナイフを抜いて声のした背後に振り返る！

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「どうしたんですか！？わたしです！わたしですよ！鎧を脱いだから分からないんですか！」 両手をあげて慌てる人間の女の子。 「もしかして、ビーティー？」 「そうですよ！今まで闇の影響でずっと鎧が脱げなかったんですけどついに外せるようになったんですよ！」 マジか。おなごだったのか。

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かたまるわたしの頭を鳩がガンガンつついてくる。本当に大した鳩根性だ。伝書鳩でなければ射抜いているところだぞ。 「わたしのことはいいですから、はやく手紙を受け取ってあげてください」 「う、うん」 責務を果たした鳩は迷宮の外へと飛んで行く。 そして手紙を読んだ私は固まった。

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手紙には華やかな言葉が躍っていた。 各地の勇者たちが立ち上がり闇を撃破したこと。そのなかにアレイラやアルバートさん、そしてロイスが含まれていたこと。魔王や各大陸のボスたち、それに迷宮のコアも綺麗さっぱり片付いて世界が訪れていたこと。 私が活躍の機会を完全に逃したことを、知った。

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「そんな……かっこよく闇を倒してロイスより人気者で有名人になるはずが……」 「しっかり！しっかりしてください！」 いつの間にかへたりこんでいたらしい私をビーティーが支えている。鎧がないとやわっこい体してるなあ……。 「ンクさん！ンクさあああああん！！」 迷宮の壁に叫び声が響く。

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「おかしいよね、体力も財力も十分でさ、完璧だったよね私ね。真っ先に闇を倒せるはずだったよね？」 「ンクさんが……ンクさんがずっと寝っ転がってるから悪いんじゃないですかああ！！」 うん、なんか昔そういうお伽話を聞いたことがある。そこでもネコは寝すごしてネズミに出番を取られるんだ。

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それからのことはあまり覚えていない。 なんとなく習慣になっていた通りに迷宮の中を練り歩いていたと思う。 闇が消えたいま、ゴーレムは微動だにしないし罠も片付き魔王が迫ってくることもない。 ぼんやりと歩き続ける中、とある一室で妙な輝きを見つけることになる。

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「これは……」 「トキノトビラ……時の扉？」 「読めるのビーティー？」 「ちょっとだけですけど、文献で見たことがあります。これを潜った者は異世界に誘われる、と。まさか実在するとは思ってませんでしたけど」 異世界。異世界ときたか。 野望が断たれたいま、渡りに船とはこのことでは？

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この世界に何の未練もなかった。 闇に呑まれた大地。迷宮を行けばそこには傷ついた癒し手や癒しのアンプルを頑なに拒否する怪我人ばかり。闇を倒しに来たロイスを待ち伏せして討ち取ることも叶わなかった。 （彼は真っ先に闇に挑んだらしい。畜生） 私は少しだけ逡巡した。

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異世界へ発つかどうかを迷ったわけではない。決めることが一つだけあったのだ。それもいま、決まった。 「ビーティー、今までありがとう」 「ンクさん！お別れみたいなことを」 「わたしは今日からンクじゃない！狩人『ゴーストドッグ』だ！」

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なんでネコなのにドッグなんですかとか、一緒についていきますとか言われることを予想していたけど、ビーティーの反応はどちらでもなかった。 「こちらこそ……今までありがとうございました……一緒に旅ができて楽しかったです……」 おいおい、泣いてるぞこの子。 私は君にとってなんなんだ。

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「わたしは……ンクさんがどんな旅をしてきたのか伝えて周ります！ンクさんがどんなに勇敢に戦い抜いたのか！ だから……ンクさんがちゃんと人気者になったらこの世界に戻ってきてください！」 おいおい、私の非道な行いの数々が伝わったら余計に人気が下がるんじゃないか。

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「いってらっしゃいンクさん。いや、ゴーストドッグ！」 それでも、わたしはビーティーの泣き笑いが眩しくて。待っていてくれる人がいるなら戻る楽しみができるなと考えるのだった。 ゆっくりと『時の扉』に足を踏み入れる。まばゆい光が視界いっぱいに広がる。 振り返って一言だけ叫んだ。

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「見てなさい！次の世界では人気ナンバーワンになってやるんだから！！」 かすかに見えたビーティーの笑顔が、この片道勇者オンラインの世界での最後の記憶となった。