バンドは解散した。輝ける日々はそのまばゆさだけを残し、あっさりと消えたのだ。最初で最後のライブで見た光が、今も瞼の裏を焼いている。波のような歓声が、血潮となって耳を熱くする。あのとき自分は、間違いなく世界一輝くうんこだった。しかし、今は……。
2016-08-02 02:06:17手を見ると、努力の痕が未練がましく残っていた。スティックを握りできたタコ、リズムに合わせて擦れた手の平。あの日の栄光に縋るように、この思い出を逃さないように、両手をぐっと握りしめる。ふと見上げると、夏の空は嫌になるほど青く晴れ渡っていた。
2016-08-02 02:11:42「はは……、ほんとにただのうんこになっちまったな…………。」 自嘲しようと漏らした声さえ、風に吹かれてかき消えた。 ただのうんこ。coming soon......
2016-08-02 02:13:36しかもライブ一回しかしてないしメンバードラムしかいないし、うんことゴリラだし、絶対ファンサービスでうんこ投げてるよこのゴリラwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 私じゃん
2016-08-02 02:08:01バンドは解散した。 実にあっけなく、短い時間だった。言いだしたのは自分だった。何よりも二人の未来の為だった。だが、それを言ったところでどうにもならないと思ったから、アイツには適当に解散を言い渡した。 あのライブの眩い思い出が脳裏に蘇る。客の歓声、熱、全てが残っていた。
2016-08-02 02:16:46しかし、うまくはいかないと判断したのは、何よりも、自分がゴリラなことが原因だった。自分にできるのは叫ぶこと、そしてドラミング。相方のうんこは、ドラマー。 うまくいくわけがなかった。それでもひと時だけは夢を見られたのだ。うんこと共に。
2016-08-02 02:18:13手に残ったドラミングの感覚をしっかりと握り締める。 「そろそろ…潮時か」 既に荷物はまとめた。そう、解散を言い渡した以上、この地にとどまる理由はない。 別れも告げず、ゴリラはジャングルへと帰ったのだった…~Fin~
2016-08-02 02:20:04彼が解散を言い渡したのは自分の、そして何より俺の未来を考えてのことだった。確かに二人とも、もう無茶が出来る年ではない。でも、それでも――。 震える脚を叩いて動かしロビーに駆け込む。酸欠で霞む目をなんとか凝らし、彼の姿を探した。世間は夏休み。空港は驚くほどの人で溢れかえっていた。
2016-08-02 02:24:51「どこだ、どこだ、」 焦る気持ちが口をつく。そのとき、見覚えのあるキャリーケースが目についた。あれはあの日、楽屋入りした時の――。 人波をかき分け走る。視界が開けると、彼は今まさに搭乗ゲートをくぐるところだった。 「―――ゴリラッ!!!!!」
2016-08-02 02:28:54二度と呼ぶことはないと思っていた名前を叫ぶ。チケットを半端に差し出したままの体勢で、ゴリラがゆっくりとこちらを向いた。 「うんこ、なんで……」 「なんではこっちの台詞だ……!」 歩み寄って胸ぐらを掴んで、一発殴ってやりたい。そんな心とは裏腹に、体は一歩も動かなかった。
2016-08-02 02:31:41爪が食い込むほど強く拳を握りしめる。自分の情けなさを、不甲斐なさを、何よりゴリラへの想いを口にすることは、ライブよりもずっと勇気が必要だった。 「お前は!!……お前はジャングルに帰ればいいのかもしれない。仲間とバナナを食べるのも、またひとつの幸せだろう。でも、でも俺は…………」
2016-08-02 02:34:46「俺はお前とバンドしてないとダメなんだ!!お前とバンドがなくなったら、俺、あとは流されるしかなくなっちまう……!!!俺はまだお前と一緒にいてぇよ!あの日みたいに輝いていたいんだよ!!!」 涙で滲む視界の中で、ゴリラが微笑んだような気がした。
2016-08-02 02:48:31「じゃあの」 ゴリラの短い別れの言葉と共に、轟音が耳を襲う。それと同時に強烈な寒気。 何が、何が起きているんだ。何もわからない。ゴリラの言葉が、聞こえない。 拒絶の言葉は質量を増し、俺を飲み込む。激流に揉まれ、息ができない。四肢がもげ渦に沈んでいく。 俺は、―――流された。
2016-08-02 02:52:20くぅ~疲れましたw これにて完結です! 実は、ネタツイしたらバンドの話を持ちかけられたのが始まりでした 本当は話のネタなかったのですが← ご厚意を無駄にするわけには行かないので定番の話で挑んでみた所存ですw
2016-08-02 02:55:19