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3LDK @s_and_a_room

1 帰りの車の中から連絡したけど、返事がない。 もう寝てんのか? ええけど。 一応、静かに玄関を開ける。 ベッドには…おらんな。 風呂か? 『~~♪』 鼻唄が聞こえる。 ご機嫌やな。 この歌…あれか。 歌詞、違うやん(笑) 「ただいま」 扉を叩いて声をかける。

2015-12-10 15:38:59
3LDK @s_and_a_room

2 『あっ!おかえり!』 水音と共に聞こえる声。 「いつから入っとんねん。連絡したぞ」 『えっ、ごめん。気付かなかった』 「ええけど」 ガタガタ音がする。 『すばる入るよね?今あがる』 「ええよ。一緒に入ろうや」 『…えー…?』 「歌うたったるし」 『…聞こえてた?』

2015-12-10 15:39:22
3LDK @s_and_a_room

3 「おん。お前歌詞違うねん」 裸になって中に入る。 風呂ん中から見上げるお前。 『おかえり』 「おん」 シャワーで体を流して、背中から抱き締める様に湯船に浸かる。 『どこ違った?』 「ん…最初はな、重なるんじゃないねん」 ふやけて皺の寄った手を握り締める。

2015-12-10 15:39:43
3LDK @s_and_a_room

4 「重ねんねん」 耳元に口を寄せて歌う。 初めにあるのは、重ねる意志。 嵐の中でも一緒にいる決意。 それがあってから、未来がある、と思うねん。 多分、やけどな。 俺のに、小さな歌声が重なる。 歌い終わって、こっちを振り向いた。 『いい歌、だよね』 「…おん」

2015-12-10 15:40:01
3LDK @s_and_a_room

5 微笑んで、口付ける。 「顔赤いで?」 『うん、逆上せそう』 「やっぱ先あがるか?」 『ん。そうする』 『ゆっくり温まってね』 一人、湯船に足を延ばす。 …恥ずかし。 ざぶざぶと顔を洗う。 多分、俺の顔も真っ赤や。 目を閉じて、歌詞を反芻する。 10年先…なあ。

2015-12-10 15:40:20
3LDK @s_and_a_room

6 10年後とか先の事なんてわからん。 でも、この先どうなるかは自分の意思次第のはず。 それやったら、心配になることはないねん。 この手を離すつもりは毛頭ないから。 あいつが離したいって言う未来も、ない、はず、やから。 そう信じることから始まんのやろ、未来って。

2015-12-10 15:40:37
3LDK @s_and_a_room

7 なんか色々考えて、ぼーっとしてきた。 あかん。 俺まで逆上せそうや。 早よ上がろ。 あいつ抱いて、手握って、寝よ。 今日も。 明日も。 ずっと。 そうしよ。

2015-12-10 15:40:54