- attakamosirenai
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「ふむ」 「――みっつほど。先に、言っておこうか」 「ひとつめ。私は、出来ない約束はしない。それは私にとっても、きみにとってもよくないことだからね」 「つまり、“助けられないかもしれない”。失敗するかもしれない、ということは先に忠告しよう」 twitter.com/attakamosirena…
2016-10-04 23:54:12「……おねがい、」 「はるお兄ちゃんを、たすけてください」 「わたし、私、お兄さんに渡せるもの、さがすから――」 「だから」 「お兄ちゃんを、たすけてください」 #って感じでニーターさんに巴投げしようかな
2016-10-04 23:25:50「ふたつめ」 「きみからの対価。すなわち依頼料は、成功してから受け取るとしよう。成功するかどうかわからないのだからね、それが筋だろう?」 「なに、対価を持ち合わせていないなら――その時は、助かった“彼”にもいっしょに話を持ちかけるさ」
2016-10-04 23:55:41「そして最後だが――」 「もし、きみの頼みを私が叶えられなかったとき。失敗の詫びとして、それなりに私からの対価を出すとしよう」 「まあ、これは失敗してしまったその時に考えてくれればいい」
2016-10-04 23:57:49「――彼が帰ってきたとしても、前のような日々に戻るわけではない」 「理由はどうあれ、結果として彼は多くを殺した。その波紋は、止められるほど小さなものではないだろう」 「それでも、私はきみの願いを聞き届けよう。この世界に今生きるきみの願いならば、私も満足だとも」
2016-10-05 00:01:31とある名家に、幼い女の子が養子として迎え入れられたらしい。 記憶喪失の孤児らしく、家族のことも、住んでいた場所も思い出せない。それを哀れんだ家主が、家族として迎えることを決めたそうだ。 当の家主も近頃は外出が少なく近所からは心配されていたが、少女のための手続きだったと判明した。
2016-10-05 00:10:27大変だったそうね、旦那様。もう落ち着いたの? そう尋ねる近所の奥様方に、家長の男性は朗々と返した。ああ、ご心配をおかけしたようで。もう大丈夫なのですが、いかんせん娘もまだ新しい生活が始まったばかりですから――もう少しばかり、ご心配をおかけしてしまうかもしれない。申し訳ない。
2016-10-05 00:17:16そんなこと、気になさらなくていいのに! 落ち着いたら、娘さんのお顔も見せてくださいまし。 ええ、そのときはぜひ。 ところで、娘さんのお名前はお伺いしても? ああ、これは大事なことを失念していました。娘の名前は――
2016-10-05 00:20:35“ちょっとした手違い”で、聖杯戦争に参加するまでもなく退場してしまったのは惜しいことをした。まったくもって役に立たないサーヴァントであることを自ら証明してしまったようなものなのだ、皮肉ではなくなんだというのか。過ぎたことはどうしようもないが、過去の自分には苦笑を禁じ得ない。
2016-10-05 21:33:06過ぎたことはどうしようもないものだ。生前のこともそうだが。やれやれと呆れることしかできないものであり、そんなこともあったと酒の肴にするしか活用法がないものなのだ。ゆえに聖杯で叶える願いなど、もとより私にはなかった。と、いうより。そもそも現界した時点で私の願いは叶ってしまったのだ。
2016-10-05 21:38:32つまらない人間、つまらない人生。その私に、再び世界へ触れる機会が与えられた。たったそれだけの奇蹟ひとつで、私の願いは叶った。それっぽっちで叶う願いであることこそが、私がつまらない人間であることの証左かもしれない、と思う。
2016-10-05 21:46:43消え行く今、ひとりでなければもっとよかったのだが――まあ、それは高望みだろう。私はここに居続けることを選んだ。人を見はしたが、人に触れることは選ばなかった、選べなかった。知らないものは、存在しないも同然だ。そうだろう? だからこそ、世界のどこにも私はいなかっただろう?
2016-10-05 21:56:29サーヴァントとして仮初に世界に触れても、私はつまらない人間でしかなかったが。人生を読み直し、総観としてできた“私”は、まあ、それなりに面白い人生を満喫できただろう。それで満足だ。
2016-10-05 22:00:27