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junmizusawa
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@ts_p 「遅くなったけど、お返し」「って、いつのお返しよ!」あきれたふりをしたけどほんとは覚えてるんだよ?小さなころ、おもちゃの家の中で初めてあげたチョコレートのことも、あの時のかわいいプロポーズも…
2011-03-10 23:23:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 「あの…これ、良かったら」もらった友チョコのお返しに、大好きなお店のマドレーヌを買った。大好きだけど、ずっと我慢してるお菓子。誰よりも大切な先輩が無事に志望校に合格するまでと、もちろん黙って絶っている。
2011-03-10 23:43:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p だから先輩が一緒に食べようって言ってくれて、うれしかったけどとても困った。なんて言い訳したらいいんだろう…気を悪くされたらと思うと悲しさのほうが先に立つ。 だって人に聞かれたら願い事はかなわないんでしょう?それが先輩自身でも。だったら口にすることは出来ない。
2011-03-10 23:43:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 口ごもる私の肩をそっと抱いて、先輩はおでことおでこをこつんとぶつける。 「優しいね…あのね、私、受かったんだよ」だから一緒にお祝いしよう?そう言われてやっとうなずいた。あふれる涙は、拭うより早く熱っぽい口づけに吸いとられた。
2011-03-10 23:44:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p ホワイトデー企画、滑り込み行きます(汗) タイトル「To You~玉手箱ガーデン パンジーより~」 #tknk
2011-03-10 23:48:44![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p「結局何個貰ったんだ?」もうすぐホワイトデー。俺の恋人は社内ではモテモテのようだ。「十七個。これって完璧にお返し目当てだよな」三倍返しなんて慣習、一体誰が流行らせたんだよ、と怒るアイツ。「お前は何個貰ったんだ?」「俺の課は男しかいないから、義理チョコは貰ってないよ」
2011-03-10 23:49:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 社会人になってから、女子社員の義理チョコが一気に増えた。円滑な人間関係作りってところだろうか。「本当?」急に不安そうな声を出して、アイツが顔を胸に押しつけてきた。「実は本命貰ったりとか……」「ああ、貰ったよ」腕の中にいるアイツが身体を固くするのが伝わってくる。
2011-03-10 23:49:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 「売店の板チョコ一枚な」言いながら額にキスを落とす。途端に力が緩んだ。なんて分かり易い。「可愛いなお前」「何言ってるんだよ……っ」言いかけた唇を強引に塞いだ。俺の家のベッドでは自由にさせないから。ああ、明日ホワイトデーのお返しを用意しないとな。やっぱ会社の売店かな。
2011-03-10 23:50:56![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 「よっ」 黒のジャージを着た悠介が、私に挨拶をする。 ばっさりしたショートと相まって、陸上選手っぽく見えるけど、これが彼……じゃなかった彼女の私服、それも着たきりの一張羅みたいなものなんだから困る。 「……うん」
2011-03-10 23:59:15![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 呆れるほど爽やかな彼女に、私はどう接していいかわからなかった。 彼女は、明日上京する。 「ちょっと歩こうか」 「……うん」 すたすた歩き始める悠介の後ろに、黙ってついて行く。 見慣れた通り、通い慣れた道。桜舞い散る道。 この道は……学校へと続く道だ。
2011-03-10 23:59:38![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 先週、私達はここから卒業した。 「見ておきたかったんだ」 言うなり、悠介はずかずかと門をくぐって中に入る。 「ちょっと!」 「大丈夫、私は顔パスだから」 「そういう問題じゃないでしょ!」 慌てて後に続く。
2011-03-10 23:59:54![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 校庭には部活をやってる生徒達がいて、その大半が悠介の姿を羨望の眼差しで見つめている。 そんな視線など気にせず、悠介は校庭にある朝礼台の上に立った。 「さあ」 さっと手を出され、訳もわからないまま、思わずその手を握ると、ぐいっと引っ張り上げられた。
2011-03-11 00:00:15![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 「ちょっ……」 よろめく私を受け止めながら、悠介は自分のポケットの中をまさぐる。 「あった。ちょっと待ってて」 手に持っていたのは、100円ショップにあるような市販のマシュマロ。 彼女はそれを口にくわえて……えっ!?
2011-03-11 00:00:35![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 口の中に、甘いものが流れ込んだ。 しばらく目を閉じて、その温もりに浸る。 やがて、彼女の唇がすっと離れる。 「はい、お返し」 「……莫迦!」 私は悠介の胸を何度も叩いた。そしてすがりついて泣いた。 ……キスの意味がわかったから。
2011-03-11 00:00:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 泣きじゃくって、疲れ果てて、私はその場に崩れ落ちた。 そんな私に合わせて、悠介も屈む。 「……なんで泣くんだよ……」 「わかってるくせに! 莫迦っ!」 「わかってないな」 悠介が、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
2011-03-11 00:01:03![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 「携帯の番号も住所も知ってるよな?」 「うん……」 「そしてお互いの実家も知ってる」 「うん」 「四六時中のべつまくなし忙しい訳じゃない。呼ばれたらいつだって会いに行く。だから悠子も、俺が呼んだらすぐ飛んでこい」 「……うん」
2011-03-11 00:01:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 「卒業したら、迎えに来る」 「……えっ?」 「だから、泣くな!」 そういう悠介の声が震えていた。 「その約束をここに刻みに来た!」 立ち上がり、悠介は叫んだ。 「俺は悠子を愛」 「ちょっと、莫迦っ!」 大慌てでその口を塞いだ。 まったく……莫迦なんだから。
2011-03-11 00:01:42![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p 彼が亡くなった日は,珍しく雪が積もった3月14日、ホワイトデーだった。幼なじみの高志に、友情ではない特別な感情を抱いたのも、高校3年の同じ日だった。想いを伝えることもできないまま、彼は一人、サヨナラも言わずに逝った。僕に残されたのは、彼の寂しげな笑顔だけだった。
2011-03-11 00:08:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p音もなく舞い落ちる風花 僅かに触れただけで 胸元や 手のひらや 足元で 儚く悲しく消えてゆく 消え去っていったものは 二度とこの手にもどらない どんなに願っても どんなに求めても それは 君の命と同じ
2011-03-11 00:10:01![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@ts_p ホワイトデー企画 日にち過ぎたけど投下しちゃいました^^; だめ? タイトルは「君への想い」
2011-03-11 00:11:25