フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #19 「選択」

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

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（前回のあらすじ：新種のキメラグモ野郎は、通路を守る恵里を狙うと見せかけて、通路の北側の壁をぶち抜き、そこからクモ共を呼ぼうとしやがった。俺はまだ目覚めたての未来予知能力で、野郎の手を読んだ。そして、奴の体を壁に押し付けることで穴を塞いだ。だが長くは保たねぇ。…援軍はまだか！）

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俺の蹴りで奴が壁に叩きつけられる。ドォン！と轟音が響き、壁にヒビが広がる。割れねぇよな？小瓶の蓋を開けて中身を煽ると、俺は２節目に剣を刺して再び電撃を放つ。小瓶は即効性の魔力回復薬だ。体が余計熱くなるが、すぐに力が戻ってくる。多様は禁物だが問題ねぇ。あと数分稼ぎゃ良いんだからな！

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奴は再び痺れてもがき出す。後ろのクモ共が逃げ出したのか、押し戻す力は弱くなった。恵里の方は変わらねぇ。声が途切れたことで、恵里から逃げる奴が出てきたが、逆に穴に向かっていた奴が新種を避け、恵里の方に向かったのもいる。流石に疲れたらしく、体力の即効性回復薬を飲んだ。

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「大丈夫か恵里！！？」 「こっちの！台詞！…大丈夫なの！？」 正直、キツい。でもやるしかねぇ。 「このまま桐葉さん達が来るまでコイツら抑えるぞ！」 「倒すんじゃないの！？」 「そう出来んなら…頼むぜ！」 恵里の言葉はさっきと同じ内容だったが、今度は流石に半分強がりに聞こえた。

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フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #19 「選択」 実況・感想タグ： #禁森実況

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キメラ野郎は殺意と憎悪の篭った目で俺を睨んでくる。せいぜい勝手にやってろ。痺れて牙や脚を小さくバタバタやりながらも、時折大きく動かして攻撃して来ようとする。その度に電圧をピンポイントで上げて封殺する。電撃が続くうちはこれで抑えてられる筈だが、援軍が来るまで保つかが問題だ。 1

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今の奴の体について整理しとく。体の一節一節が別種のバケグモが合体して出来たムカデみてぇな不気味な姿だ。恵里に潰された残りは８節。先頭はドクバリバケグモ、毒針はさっき撃ち尽くした筈だが、もう１・２本は再生成するかも知れねぇ。デカい方の針が直撃すれば毒以前に腕くらいは吹っ飛ぶ。 2

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二番目はトアミバケグモ、コイツも弾切れだが網の再生成は針より早い。今にもまた撃ってくるかも知れねぇ。さっき、反撃で恵里の剣を奪った奴でも有る。あん時はまだ１５節もあってトアミの姿が見えなかった。俺のミスだ。畜生め。普通のクモと違って、尻じゃなく脚から糸を投げっから要注意だ。 3

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順番が前後するが四番目はヤリバケグモ。他のバケグモを鋭い前脚でつき殺して喰う。三番目はナガヤリバケグモ、ヤリに似てるが、前脚の内側に隠し腕が折り畳まれてる。コレ自体は細くて折り易いのは良いが、ヤリと思ってギリギリで躱すと、この腕でぶっ殺される。 4

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五番目はシラヌイバケグモ。糸で傷口を縫合する。岩にぶつけた頭の突撃痕に縫われた跡が見えるのはコイツの仕業だろう。基本、自己修復用の筈だが、アレも「自己」に含まれるらしい。ついでに声を出してたのはコイツの気門だ。そんな能力あったのか？ 5

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六番目はハシリバケジグモ。ジグモ型で足が速い。強い麻痺毒で次々に獲物や敵を噛むが、牙は今シラヌイに埋まってる。七番目はトビバケグモ、バッタみてぇに発達した後ろ足でピョンピョン跳ねやがる。流石に今は無理だろうが、このキメラ状態の巨重をハシリと共に支えてやがるんだろう。 6

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八番目…一番後ろだけやっぱ分かんねぇ。細身でやたらデカイ八つの目があり、前脚が無闇に長い。後ろ脚もまあ長く、それ以上に太い。虫系妖怪には詳しい筈の俺にも見覚えがねぇ。資料の少ねぇ稀少種か？霊波測定もこのキメラ野郎には意味がねぇしな。他と違って尻がフリーだから糸に注意しとくか。 7

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まとめると前ニ節が飛び道具、次の二節が長物ニ種類、その後ろにヒーラーと土台…コイツらが自分の意志で合体したのか、他に原因があるのか、そもそも本体があるのかすら分からねぇが、「意図的」にやったんなら中々考えられた構成だ。飛び道具が切れたとは言え、まだ完全に崩すのは難しい。 8

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俺は今、四節目と五節目に剣をぶっ刺して電撃を流してる。ヤリ２種の脚には特に注意が必要だから敢えて内側に入った。前ニ節も残弾切れとは言え、油断はならねぇ。にしても妙だ。コイツらの半分くらいとは戦った経験があるが、皮膚が硬ぇ気がする。個体差や気の所為で済まされる差じゃねぇ。 9

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「げ！」 恵里の声だ。刀が刃渡り５０ｃｍの半分辺りで折れちまってた。ここでか！恵里は折れた半分の根本を引っ掴み、クモの脳天に振り下ろした。皮膚の硬い奴だ。刀が折れた原因だろう。 「おい！恵里！」 「大丈夫！まだいけるわ！」 蹴りで小さい金属片を押し込んで止めを刺しつつ跳ぶ。 10

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根元側を敵に投げつけて、鍔を後ろから蹴り飛ばす。先端側で斬り、鞘でぶっ叩く。先端をぶっ刺し、根元側を回収してすぐ別のを斬る。回収中の隙を突いてきたやつは、鞘で突き返す。子グモはなるべく打撃と鞘で倒しながら、親グモを折れた刀で対処する。マジかお前…だがまだ暫くは保つだろうぜ。 11

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「うげ！」 今度は俺が奇声を出す番だった。恵里に注意を奪われた隙に、ほんの僅かだが押し返されてきた。更にナガヤリの脚が頭上を薙ぐのを危うく躱し、返す隠し脚も体を反らして避ける。反らした拍子に剣が少し引いたのをすぐさま刺し直し、一瞬電圧を上げる。野郎が悶える。 12

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やべぇ、電圧が下がってる。元々、俺は耐魔力こそ高いが魔力の量は少ねぇ。先輩の真逆だ。敵を痺れさす電撃も、本来は一瞬動きを止めて仲間か分離刃での攻撃に繋げるためのもんだ。長時間使い続けるべきじゃねぇ。手持ちの回復薬は尽きた。恵里に貰ってでも電撃を続けるか、攻め方を変えるか…？ 13

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「恵里！薬頼む！魔力回復の方！」 恵里は『２本目でしょ！？』と驚きと難色を示した。一瞬考えた後、クモ共との攻防の間に 小瓶を投げてきた。俺は右剣を口で咥え、空いた手で瓶を受取り中身を一気に煽った。不味い…不味過ぎる！！折角飲んだのを吐き出しちまった…そして電撃も止まり… 14-1

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俺は恵里に薬を投げてもらい、覚悟を決めて中身を煽った。普通・即効性/体力・魔力問わず回復薬は本来飲みやすい。むしろ旨い。ところが即効性の奴は短時間に二本目を飲むと、スゲェまずく感じる様になってる。ミラクルフルーツってあんだろ？アレみてぇに受容体に作用してるらしい。 14-2

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--即効性のを多様しねぇ為の措置らしいが、言葉では説明できねぇくらい不味い。健康に配慮した結果、戦闘中に吐き戻した隙に殺されたらどうすんだってくらい不味い。最悪の気分だが、とにかく電撃を再開した。さっきの１本目もまだ効力を発揮し切った訳じゃねぇ。多分、後２分は保つ筈だ。 15-1

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１分が経った。野郎はまだ痺れてる。不意に声がして恵里の方を見る。無理な姿勢で溶解液を避けて転び掛けてる。俺は受け止めるべく、残った刃を飛ばす。飛ばした。その筈だ。届かない。薬の多用で狙いが狂った？恵里が床に叩きつけられる。受け身を取ったがダメージは無視出来そうもない。 16-1

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俺は電撃を止め、剣を引き抜く。 「おらぁっ！」 渾身の力でトビバケグモ部分の片脚をぶった斬った。野郎が口から甲高い声で悲鳴を上げる。麻痺から回復する前にハシリジグモの片脚も斬り落とす。ナガヤリの反撃を飛び退いて躱す。壁と刃を蹴ってジグザグ移動し、フェイントを混ぜて動く。 14-3

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再び「足元」を狙うと見せかけてから、四節目と五節目の継ぎ目に飛び蹴りをかます。 「!!$$%##」 四節目のヤリの脚が反撃してくるのを、刃の腹で俺の腹を押して少し加速することで躱して、地面に降り立つ。一節目が放った頭突きらしき攻撃を横っ飛びで躱す。 15