唐突にボトムズ予告になる合唱曲
昼過ぎが言う―影を飲みたい! 月は言う―飲みたいのは星の輝き 澄みきった泉は唇をもとめ 風がもとめるのはため息 匂い 笑い 新しい歌、 絆、健気な野心、老いも若きも、男も女も、昨日も明日も呑み込んで、走る、炎、炎。音をたててウドが沈む。 次回『脱出』不死鳥は炎を浴びて蘇る。
2016-08-18 07:57:33第14話『アッセンブルEX-10』―「新しい人」に
私は好きだった、 信じることのできる自分が。 人を、生きている世界を、 その未来も、秘密も。そして、あらゆる悪徳も同じだ。全てが振り出しにもどった。兵士は死んだ魂を疲れた身体に包んで、泥濘と、硝煙の地に向かった。 次回『アッセンブルEX-10』傭兵は誰も愛を見ない。
2016-08-20 20:24:52第15話『疑惑』―爽やかな五月に
月の光のこぼれるように おまへの頬に 溢れた 涙の大きな粒が すぢを曳いた一筋の光。 だが、この糸は何のために。 手繰り手繰られ、相寄る運命。 だが、この運命は何のために。 炎熱のクメンに第2幕が開く。 次回『疑惑』まだ黒子は姿を見せない。
2016-08-21 00:03:24第16話『掃討』―鎮魂歌へのリクエスト
《セント・ルイス・ブルース》を演ってくれ 死んだら、ぼくのために。 すばらしい 音楽が 欲しいとき、 皮肉にも、生の充足が魂を震わせ肉体に溢れる。 ロシアンルーレット。 この、危険な遊戯が、これこそがこの世に似合うのか。 次回『掃討』弾倉が回れば、リスクが上がる。
2016-08-23 12:38:23第17話『再会』―怪獣のバラード
真赤な太陽 沈む砂漠に 大きな怪獣が のんびり暮らしてた ある朝 目覚めたら 遠くにキャラバンの鈴の音聞こえたよ 思わず叫んだよ そんなはずはない。 ならば、この世の全ては幻想に過ぎぬ。 では、目の前にいるのは誰だ。 次回『再会』劇的なるものが牙をむく。
2016-08-24 00:33:30第18話『急変』―名づけられた葉
ポプラの木には ポプラの葉 何千何万芽をふいて 緑の小さな手をひろげ いっしんにひらひらさせても ひとつひとつのてのひらに 載せられる名はみな硝煙に閉ざされて見えない。 だからこそ、切れぬ絆を求めて、褪せぬ愛を信じて。 次回『急変』変わらぬ愛などあるのか。
2016-08-24 07:37:16第19話『思惑』―水汲み
ぎっしり生えたち萱の芽だ 紅くひかって 仲間同志に影をおとし 上をあるけば距離のしれない敷物のやうに ある者は自らに絶望する。 だが、営みは絶えることなく続き、また誰かが呟く。 たまには火薬の臭いを嗅ぐのも悪くない。 次回『思惑』神も、ピリオドを打たない。
2016-08-24 13:32:51第20話『フィアナ』―われもこう
あの色だけならば 暗すぎる すすきの道をふさぐ われもこう 風のままゆれ 霧のたびぬれ さびついた臭いに導かれ、地獄の炎に照らされて、 アストラギウス銀河の星屑の一つで出会った、 60億年目のアダムとイヴ。 これは、単なる偶然か。 次回『フィアナ』衝撃のあの日からをトレスする。
2016-08-28 22:09:27第21話『遡行』―雨
トタン屋根に雨が降り あれは秋の音 猫は浮かれて歩き 毛先に雨を捉えてくる こおろぎは糸のように鳴き わたしの肩は冷たい野心のために硝煙と死臭にまみれる。雨は汚れた大地を禊ぎ、流れとなり川となって常に大海をめざす。 次回『遡行』人は流れに逆らい、そして力尽きて流される。
2016-08-28 22:45:09第22話『触発』―ワクワク
タネまけば 芽が出るさ 芽が出れば 花が咲く 花が咲きゃ 実がなるよ 実がなれば行動を、行動は情熱を生み、情熱は理想を求める。理想はやがて、愛に行き着く。愛はすべてに呵責なく干渉し、創造の嵐を育む。そして、放たれた雷は誰を打つ。 次回『触発』必然たりえない偶然はない。
2016-08-29 08:08:50第23話『錯綜』―島へ
見知らぬ人よ あなたはどこにいるのですか 巡り会いを信じていますか ガラスの回転扉を ひとつくぐり抜けたとき、突然現れた一刻の安らぎ。沈みゆく夕陽に、二つの影が重なる。だが、思いは、切なくすれ違う。 次回『錯綜』夜の闇が茶番を隠す。
2016-09-05 21:42:27第24話『横断』―風になりたい
風になりたい 風になって 渡り鳥を運び 潮騒の歌を お花畑の香りを 深い森を走る無謀な風となろう。戦いの果てにしか安らぎは来ないものなら、己の血のたぎりに身を任せよう。それぞれの運命を担い男たちが昂然と顔を上げる。 次回『横断』放たれた矢は、標的を射るか。地に落ちるか。
2016-09-05 21:47:33第25話『潜入』―柳河
もうし、もうし、柳河じゃ、 柳河じゃ。 銅の鳥居を見やしゃんせ。 欄干橋を見やしゃんせ。 (馭者は喇叭の牙を飲み、涙を隠している。 血塗られた過去を、見通せぬ明日を、切り開くのは力のみか。 次回『潜入』キリコは、心臓に向かう折れた針。
2016-09-12 17:31:59