真珠湾訪問にて、「真の和解」のため過去の歴史を無理やり終わらせた事に関し、それに見合うだけの意義はあったのかどうかについて

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生命情報保存研究所 @rodan670

先日安倍総理がハワイを訪れ、オバマ大統領とともに真珠湾攻撃の犠牲者となったアメリカ人達を慰霊した。日米が真に和解する歴史的特異点になったと高く評価する声も多い。しかしこれは特異点以前の歴史を真の意味での過去、生きた流動体ではなくホルマリンに固定された死体へ変えてしまう行為でもある

2016-12-30 21:40:08
生命情報保存研究所 @rodan670

真珠湾はアメリカの歴史上数少くない自国領土への攻撃であると同時に、同国では卑劣な奇襲と解釈されており、それがゆえ第二次大戦を象徴付ける出来事と認識され、また大戦に付随する、せざるにかかわらず、同国国民が日本への憎悪感情を抱く際の拠り所と化している部分がある。

2016-12-30 21:48:37
生命情報保存研究所 @rodan670

よって、戦後はおおむね良好な関係を保っている日米双方において、残されたわずかなわだかまりの場であるこの地を、両国の首脳がそろって慰霊することは、最後の遺恨の除去に繋がると好意的に受け取られている。しかしそれは本当に事実であるのか?また事実であったところで好ましいものなのか?

2016-12-30 22:06:21
生命情報保存研究所 @rodan670

第二次大戦でアメリカが蒙った損害は日本などと比べると軽微で、また戦勝国でもあるため当時の歴史はそれほどネガティブにはとらえられず、リメンバーパールハーバーは彼らが自らのストーリーの中における成功体験を再認識するための引き金として機能している、

2016-12-31 07:46:02
生命情報保存研究所 @rodan670

よっていかに真の和解が果たされたとみなされようが、彼らがその言葉を放棄することはありえないし、愛国心と結びつけばたちまち憎悪表現へと変質して日本にぶつけられることとなる。その意味で慰霊前後にて目に見えて何か大きな変化が生じるとは考えにくい。

2016-12-31 07:52:05
生命情報保存研究所 @rodan670

ただその代わり映えの無さは、そもそも日米両国が基本的な部分ではきわめて早期の段階ですでに和解できてしまっていることに起因する。両国首脳が公言するように、両国の関係はおおむね良好であり、相互の国民感情が悪いわけでも、外交に支障を与えているわけでもない。

2016-12-31 08:00:04
生命情報保存研究所 @rodan670

「真の和解」とは、そのようななかにあってなお残る最後の棘を抜こうという試みであるが、これはむしろ過度な漂白である。 むき出しの憎悪が国対国の関係を抜き差しならぬ状況にしているのであれば、特異点を作り出し歴史の切り替えを演出する利益はあるが

2016-12-31 08:17:30
生命情報保存研究所 @rodan670

そうでないならば逆に生きた歴史を停止させることでそれに縋り付きたい人間の感情と時間的資産価値を傷つけることに繋がる。 パールハーバーの場合は、アメリカ人が日本にネガティブな感情を抱いたとして、それは攻撃されたものとしては当然の反応である。

2016-12-31 08:20:19
生命情報保存研究所 @rodan670

生物は他者から損害を受けた際、それを忘れず、同時に深い憎悪を刻むことにより、以後の侵攻に即時に備えられるようにし、自分たちの生存確率を高める必要性に駆られている。逆に、この憎悪が要らなくなるのは、かつての敵がもはや自分たちにとって脅威ではなくなった瞬間以降ということになる。

2016-12-31 08:29:45
生命情報保存研究所 @rodan670

ただ、自然界ではこの転換は生じにくい。敵(捕食者、縄張りを奪い合う同種別個体)はほぼ一貫して敵であり続ける。戦時中は凄惨な殺し合いを演じながら、戦後は一転して同盟を結んだ日米関係のようなイレギュラーは想定しにくい。よって人間の脳はこれに完全に対応し切れない。

2016-12-31 08:34:22
生命情報保存研究所 @rodan670

特に、戦争で直接的間接的な被害を蒙った人間からすれば、どれだけ国対国の関係が良好なものに変質しようと、心の片隅には憎しみを残していたいというのが本音であると考えられる。過度な漂白は、人間の本能由来のこの感情を無視し、閉じた歴史に生きる時代錯誤の堅物と糾弾する冷酷な一手でもある。

2016-12-31 08:39:08
生命情報保存研究所 @rodan670

特異点を持って歴史の転換を図った場合、それ以前の歴史は現在のストーリーから隔絶された死体となって打ち捨てられる。当然その歴史に自らのストーリーを見出していた人々は己の心の在り処を失う。

2016-12-31 08:43:34
生命情報保存研究所 @rodan670

ある人間が、絶対に許せないと憎んだ人間あるいは存在を許せるように感じたとき、他者はそれを道徳上すばらしい出来事であると賞賛する。しかしそこへいたるまでの紆余曲折した過程である程度の連結ははかられ続けていても、

2016-12-31 09:03:17
生命情報保存研究所 @rodan670

180度逆の思考を有してしまっている時点で「許せた」人間は「許せなかった」人間とは別な人格となっている。「許せた」人間に成り代わる際、人は「許せなかった」時の自分を放棄し、また裏切ることとなる。この作業は大きな負担と喪失とを人に強いる。

2016-12-31 09:06:48
生命情報保存研究所 @rodan670

真珠湾攻撃で命を落としたアメリカ軍兵士の立場から見ると、かつて自分たちが自国を守るため命を対価に闘った相手が、今や強固な同盟国と化しているという現状は、これ以上ない皮肉ととらえられる恐れもある。敵はあくまで一貫して敵であり続けたほうが、むしろ彼らにとっては救いになるかもしれない。

2016-12-31 08:48:52
生命情報保存研究所 @rodan670

ならばその慰霊は、本当に慰霊か?

2016-12-31 08:54:04
生命情報保存研究所 @rodan670

時の経過とともに自然な流れで、友好関係を発展させてきた二国間において、わずかなるしこりや遺恨も認めないために、人為的に特異点を作り出し、以前の歴史を無理やり終わらせることに本当に価値はあるのか?

2016-12-31 08:57:40