アスール戦記(VER:Twitter)01 -5

Twitterのアンケート機能で進行していく物語・アスール戦記(VER:Twitter)のまとめその5です。
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管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

銀色の翼のロボットがこちらに迫ってくる。 その手には大型の銃。対するこちらの武器は、一度防がれてしまっている。 どうする……どうする…… ぼくは―― #アスール戦記_01_5

2016-11-16 22:07:43
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

ぼくは全力をもって逃げ出すことにした。正直、今のぼくではまるで勝てる気がしない。 なら、できることはただ一つだ。 思い立った次の瞬間、ぼくはマシンキャノンを散射する。効かなくてもいい。 ぼくは相手が怯んだ一瞬を見逃さず、ロボットを加速させた。 #アスール戦記_01_5

2016-11-16 22:43:05
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

全力で加速用のペダルを踏み込む。機体が、宙に浮く。ロボットは重力に負けるどころか、逆らう勢いで地上から離れていく。 《!?……逃げる、だと?お前が……!?》 銀色の翼のロボットから通信が入る。ひどく驚いている。 視界下で4つの光が走る。ミサイル? #アスール戦記_01_5

2016-11-16 22:52:20
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

光を確認した。だが、振り返ってみるような余裕はない。 ぼくはペダルを踏む力を弱めることなく、ロボットを上昇させ続ける。 雲を突き抜ける。視界下の光も見えなくなった。 ふと気になってロボットのエネルギーを確認する。 まだ10分の1も消費していない。 #アスール戦記_01_5

2016-11-16 23:27:36
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

まだしばらくは飛行していられそうだが、ずっとこのままというわけにも行かない。 しかし、ただ飛び上がるだけなのと、飛行したまま進路方向をとるのではまるで難易度が違う。どうしたものか…… 逡巡していると、画面が赤く点滅を始めた。 #アスール戦記_01_5

2016-11-16 23:32:39
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

敵、ではない可能性は捨てきれない。 味方とは考えづらい。だが、そのどちらでもないとしたら。 ただ殺すのは、嫌だ。 予告された時間の3秒前。接近物をギリギリ目視する。 2秒前。飛行機、いや戦闘機か。接近物から光弾が射出されている。敵だ。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:17:30
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

できる限り接近を許した。結果は敵だった。 だが、後悔はない。 光弾の直撃を受けてロボットが揺れる。大丈夫。落ちはしない。 1秒前。戦闘機の片翼が赤く染めあがる。このままの進路なら、あの翼がこちらを直撃する。突貫する気か。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:20:27
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

マシンキャノンの発射ボタンを押す。敵の光弾をはるかに凌ぐ数をもって、前方にこちらの光弾が展開される。 流星のようだった。 いくつかの流星が直撃し、戦闘機は粉砕した。空中分解。だが赤く染まった片翼の勢いは止まらない。そのままこちらに向かってくる。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:26:53
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

視界が赤く染まる。続いて暗転。1秒もたたないうちに、再び赤く染まる。 赤い片翼がコックピットにゆっくりと突き刺さっていた。実際にはあっという間の出来事なのだろうが、不思議とその光景が目で追える。頭で処理しきれている。 死ぬ、のか。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:30:56
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

視界が今度は白く染まっていく。まったく忙しなく移ろっていくものだ。 片翼がこちらに迫っている。1秒も経たずに、それはぼくの体に達することだろう。 あぁ。生きたいな。 次にぼくが見たのは、蒼色に染まった世界だった。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:38:16
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

香取崇弘は星を見ていた。 たまたまではない。それが彼の子どもの頃からの習慣だった。息抜きしたいときは星を見る。親から教わったでもなく、友人を模倣したものでもない。彼が物心ついた頃から行ってきた、彼だけの習慣。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:54:01
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

今日はあいにく、星そのものを見るに適した空ではなかった。空の7割がたを雲が覆っている。ほとんどの星が雲に隠れ、月も姿を隠している。 それでも彼を頭上を見上げていたのは、それが彼の習慣だったからだ。 だから、それが落ちてくるのも真っ先に気付いた。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 00:57:03
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

何かが空から落ちてきている。そう思ったときには、それはもう地上に落下していた。5キロほど先。モノ自体は、20m近くあったように思える。 香取崇弘はとっさに姿勢を低くして身構えた。落下物の衝撃に備えたのだ。 だが何も起こらない。訝しむ。何だ、あれは。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 01:11:33
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

少し考えたあと、香取崇弘は口の端を上げて笑った。 「確かめに行ってみるか。あれが何なのか」 そう呟くと、香取崇弘はすぐに行動に移した。 手元の無線機の電源を入れる。間髪入れず、女性の声が響く。 ≪やっと電源が入った! どこにいるんですか!?≫ #アスール戦記_01_5

2016-11-17 01:24:39
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

「甲板だよ。星を見ていた」  バンと何かを叩く音が無線に響く。崇弘、思わず目を瞑る。 ≪急速発進で振り落しちゃいますよ≫ 「落とすのは勘弁だが、発進は構わない。5キロほど動かそう」 ≪……? 何か異常でも?≫ 「流れ星が落ちた。何なのか確かめに行く」 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 01:28:21
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

≪流れ星?こちらの計器では何も反応はありませんが≫ 「だが落ちた。それは間違いない。気になるだろ?」 ≪……了解。じゃあ今すぐ出しますね≫ 「え。いやちょっ」 崇弘が言葉を紡ぐ前に、無線の向こう側で喜々とした複数の声が響く。そして通信が切れる。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 01:36:47
管理人@C99_1日目_東ハ28b @OriginalRider

香取崇弘が再び屈んでその場にしがみつくと同時に、大地が揺れた。 否。そこは大地ではない。巨大な機械の船の上である。 全長200mを超える地上戦艦「ユニオンキャプター」が動き出す。 #アスール戦記_01_5

2016-11-17 01:46:34