M-48開発話

Takeshi Nonaka @nonarox

アレヒの新パーソナルミキサーですが、M-48の開発者としては基本コンセプトをパクってくれてむしろうれしく思います。allen-heath.com/UK/Products/pa…

Takeshi Nonaka @nonarox

せっかくだからM-48の開発話を書いておこう。M-48の開発は、AVIOMをはじめとするパーソナルミキサー（以下PM）が盛んに使われていたアメリカの市場調査から始まりました。市場調査からまず分かったのは、一般的な16chでは現場のニーズを満たせていないという事実です。

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（承前）例えば、ドラマーはドラムセットに複数立てられたマイクを個別に調整したいと考えます。これを実現しようとするとドラムだけで8chほど消費されます。キーボーディストなら複数のキーボードを個別に調整したいと考えます。もちろんステレオで。

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（承前）これらの要望を聞いていたらとても16chに収まりません。実際現場ではミュージシャンが妥協することでなんとか16chに収めていました。これが16chでは足りないと言われていた理由です。では何ch必要なのでしょう？

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（承前）24、32、最終的にはREACの上限40まできました。でも40chミキサーなんてミュージシャンが操作したいでしょうか？調査を進めると豊富なソースの中から自分が欲しい16程度を選んで操作できれば良いことが分かりました。これでM-48の操作子は最大16と決めることができます。

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（承前）ではどんなソースが要るのでしょう？例えば4人編成のコーラスパートで、自分と他3人とのバランスを調整したい場合を考えます。ここで必要なソースは自分の音声と、自分をマイナスワンしたコーラスミックスです。基本IEMとして使われるのでコーラスミックスはステレオがいいでしょう。

Takeshi Nonaka @nonarox

（承前）こんなソースをコンソール側でミュージシャン分用意しようとするとミックスバスも伝送も足りません。各PMにはなるべくバラで送り、PM側で自分に必要な単位にまとめるのが良さそうです。さてどうするか。

Takeshi Nonaka @nonarox

（承前）ここでVCA付きコンソールが頭に浮かびました。膨大なch数のミキサーでもVCAにまとまっていればミュージシャンも無理なく操作できそうです。バラで送られるソースを自由に受けられるよう40chミキサーとし、ミュージシャンが操作したい単位でVCAにアサインすれば良いのです。

Takeshi Nonaka @nonarox

（承前）こうしてM-48の基本コンセプトが決まりました。苦しい開発期間を経てなんとか完成し、おかげざまで今では国内、海外いろんな所で使われています。

Takeshi Nonaka @nonarox

ついで。M-48で本当に目指したかったのはモニターエンジニアとミュージシャンの融合です。

Takeshi Nonaka @nonarox

（承前）モニターミックスの中でもIEMミックスは非常に難しいと言われています。ミュージシャン任せにするのではなく、モニターエンジニアのノウハウを活かしながらミュージシャン自身も調整を加えることで、より高い次元のIEMミックスが作れるのではと考えました。

Takeshi Nonaka @nonarox

（承前）M-48内部の40chミキサーは、モニターエンジニアがリモートで操作できます。手元に置いたM-48をモニモニに設定してミックスもモニター可能です。ここで各ミュージシャン向けにベストと思うミックスを作ることができるんです。

Takeshi Nonaka @nonarox

（承前）実際には融通が利いてミュージシャンも喜んでくれるパーソナルミキサーとして使われてるのがほとんどでしょうか。けどいいんです、ミュージシャンが喜んでくれて現場がハッピーであれば。

Takeshi Nonaka @nonarox

さらについで。当時「モニモニ」って英語でなんて言うだろうと思ってググったら、「おっぱいモニモニ」がいっぱい出て仕事中笑ってました。