(新連載まとめ13)朝の三分小説〜おかん〜(検知との遭遇編)
おかん212 山を降りたおかんは意味もなく茅野市に来ていた。そこで検地をしている麦わら帽子の紳士と出会った。 「楽しいですよ検地、あなたもどうですか」 「自分忙しいんで」 「知りたくないんですか、田畑の面積とか収穫高とか」 「興味無くもないことはないけどさ」 でも面倒くさい。
2016-09-01 07:01:06おかん213 「なんでそんなに検地させたがるのさ」 「実は私、検地星人なんです」 「検地星人だと」 おかんは昔、雑誌で読んだ事があった。検地星人とは全宇宙の農地を調べている宇宙人。カステラが大好物だが母星「ワナゲッチョ18」には製造技術が無いので土産屋で大人買いしているらしい。
2016-09-02 06:58:02おかん214 「地球を検地してどうなるの、侵略の下準備とか」 「侵略だなんてとんでもない。私は月刊検地25554年14月号付録の老後に移り住みたいローカル惑星石高大辞典の資料を集めに来たのです」 「なんだ取材か」 「ですが人材が不足してまして、暇そうなのでぜひ協力を」 「いや」
2016-09-05 06:57:38おかん215 「この星の検地に対する意識はあまりにも低い」 「あぁ、最近はスマホとかあるからねぇ」 「実は先日、小学校で将来の夢についてアンケートを採ったんですがね。みんなニートとか公務員ばっかりで検地する人と答えたのは百人中二人ですよ」 「あぁ、最近はスマホとかあるからねぇ」
2016-09-06 06:55:34おかん216 「人材不足ではノルマが達成出来ませんな」 「ノルマあったのか」 「はい、私の管轄は地球と近くにある惑星JG52、かにざんまい、ヤーモンドですね」 「もしさぁノルマが達成出来なかったらどうするのさ」 「その時は惑星を破壊して石高は0として報告しますよ」
2016-09-07 06:58:58おかん217 惑星を破壊するような奴に勝てる見込みはない。つまり検地に協力しなければ滅ぼされる。 「とりあえずハローワークに求人を出してみたらどうかな」 それから数日が経ち、四人の採用希望者が現れ、とりあえず地球の運命をかけた集団面接をしてみることになった。
2016-09-08 06:56:55おかん218 集団面接が始まった。 「もやし山きゅうり之介です」 「ウホッウホッ」 「長野セントラル大学セントラル未来クリエイト学部ホーリービジネス学科の高井高文と申します」 「俺が臭素マンだ」 地球終わったとおかんは思った。それから三十分面接してやっぱり地球終わったと思った。
2016-09-09 07:01:02おかん大百科 ワナゲッチョ惑星群 恒星ワナゲッチョを中心とする125の惑星からなる惑星密集空域。高度に文明が発達しており、惑星ごとの分業化が進んでいる。朝はパンを食べる人が多い。
2016-09-11 10:32:54おかん219 採用されたもやし山きゅうり之介、ゴリラ、臭素マン達と検地星人は検地チームとして早速基礎研修を始めた。 「そう言えばノルマっていつまでに達成すればいいの」 「16915年後ですが」 「えぇ……もう好きにしてよ」 どうでも良くなったおかんは寿司でも食べに行くことにした。
2016-09-12 06:58:25おかん220 おかんに誤算があったとすれば検地チームに意外と検地の才能があり、わずか30年でノルマを達成してしまったことだろう。 おかんは道中に兜を着けた紳士と出会った。 「そこのあなた、刀狩りとかに興味はありませんかな」 「あんたもしかして刀狩り星人!?」 「検地との遭遇編」完
2016-09-13 06:57:09