Bloodborne(ソニーエンターテイメントジャパン、フロム・ソフトウェア、PS4用テレビゲーム) マスケッターのサーガ その3(ネタバレ注意)
Bloodborne マスケッターのサーガ お詫びと訂正 作中、『血に餓えた獣』とあるのは『血に渇いた獣』の誤りでした。お詫びと共に訂正します。
2017-01-21 14:51:55Bloodborne マスケッターのサーガ 95 いちいち確かめずとも、アルフレートが加勢に来てくれたのは間違いない。しかし、純粋な義侠心からでもないのは分かりきっていた。ビルゲンワースや教会の事どもについて、彼なりに追求したい話があるのだろう。それには、 96へ
2017-01-21 14:56:11Bloodborne マスケッターのサーガ 96 俺を支援して、露払いをさせるのが能率的だ。そうした発想は嫌いではなかった。戦場では良くある話だし、むしろ心強い。俺は軽くうなずき、率先して中に入った。 屋内には調度品らしい調度品はなく、ただ、奥の突き当たりに 97へ
2017-01-21 15:01:45Bloodborne マスケッターのサーガ 97 祭壇が設けてある。祭壇のすぐ手前に、うずくまった黒い塊がいた。四本足で、焼け焦げて炭化した皮膚が内側から裂けて垂れ下がり、薄桃色の皮下組織からひっきりなしに血が滲み出ている。長く鋭い鈎爪は、なまくらな剣なら 98へ
2017-01-21 15:06:15Bloodborne マスケッターのサーガ 98 簡単に斬り飛ばすだろう。アルフレートの言によれば、毒も備えている。俺は、斧の仕掛けをつけ、柄を伸ばした。アルフレートは、剣を鞘に納め、背中に負った巨大な金槌の頭に鞘ごと差し込んだ。そこで初めて、獣は俺達に目を向けた。 99へ
2017-01-21 15:09:19Bloodborne マスケッターのサーガ 99 俺達は二手に別れ、両脇から獣に詰め寄った。敵は明らかに混乱し、首を左右に振りながら当てずっぽうに両前足を振り回した。俺はなんなく地面に身を投げ出してかわし、一回転して立ち上がり様に戦斧を内懐から一閃した。 100へ
2017-01-21 15:12:45Bloodborne マスケッターのサーガ 100 半円形の刃が獣の前足に噛みつき、悲鳴が上がってステンドグラスがびりびり震えた。そこへ、アルフレートが戦鎚を胴体に叩き込み、脇腹が大きくへこんだ。獣はたじたじになって後退りするが、俺達は容赦なく踏み込んだ。 101へ
2017-01-21 15:16:14Bloodborne マスケッターのサーガ 101 兵士たるもの、最後の相手の首を落とすまで油断はならない。染み付いた本能を、軽視したつもりは全くなかった。しかし、まるで犬が自分にかかった水を跳ね飛ばすように、獣が身体をふるった時、俺はとどめの機会を失った事にだけ 102へ
2017-01-21 15:19:41Bloodborne マスケッターのサーガ 102 頭が向いていた。震えた獣の身体から、紫色をした無数の飛沫が散り、床や祭壇の壁につくや否や煙を上げて変色させたのを、俺は目のあたりにした。すぐに身体を弾ませ、床をごろごろ転がって避けた。 「ぐわあああ!」 103へ
2017-01-21 15:22:59Bloodborne マスケッターのサーガ 103 アルフレートの悲鳴だ! 彼は、喉をかきむしりながら、手近な柱の陰に隠れ、ベルトポーチから白い錠剤を出して口に含んだ。一発逆転を嗅ぎ付け、獣は毒の霧をまといつつ俺の方ににじりよった。アルフレートが回復するまで、 104へ
2017-01-21 15:26:20Bloodborne マスケッターのサーガ 104 時間を稼ぐのが賢明だろう。奴は、仲間から切り離された俺が、焦って勝負を挑むのを狙っているのだから。アルフレートから距離を離すように斜め後ろへ飛び退き、一度斧の仕掛けを外して手斧にした。俺の得物が縮んだのを知った獣は 105へ
2017-01-21 15:29:03Bloodborne マスケッターのサーガ 105 ますます勢いづき、俺に向けて走り出した。俺は脇に転がり、獣をやり過ごしてから、ピストルを抜いて撃った。右の後足に申し訳程度の穴が開く。獣は振り向き、後足だけで立ち上がって両前足を振り上げた。身体を大きく見せるのは 106へ
2017-01-21 15:32:22Bloodborne マスケッターのサーガ 106 威嚇の基本だ。俺はピストルに次の弾丸を装填し、また撃った。胸の中央に当たったが、大した被害には至っていない。それで構わなかった。ある意味で、威嚇に威嚇を返したのだから。怒り狂った獣が、俺に鈎爪の洗礼を 107へ
2017-01-21 15:35:39Bloodborne マスケッターのサーガ 107 ほどこそうとした時、獣の背後に鈍い音が響いた。獣は再び悲鳴を上げ、反射的に後ろを向いた。俺は斧を戦斧にして、弾丸のように獣へ突っ込んだ。そのまま、肩から袈裟懸けを一撃見舞い、斧を手放してから柄をステップ代わりにし、 108へ
2017-01-21 15:39:27Bloodborne マスケッターのサーガ 108 亀裂が生じたばかりの獣の肩口に取りついた。毒をものともせずに手を突き入れ、ぬめぬめした動脈を掴み出し、自分のマントを外して巻き付けてから引きちぎった。獣は口から泡を吐き、俺を乗せたまま真後ろを向いた。 109へ
2017-01-21 15:43:21Bloodborne マスケッターのサーガ 109 アルフレートは、一度降り下ろした戦鎚を担ぎ直したところだ。余りにも重いので、高い威力と引き換えに身動きはどうしても鈍くなる。武器を捨ててかわせ、と、俺が叫ぶ前に、残った方の肩に最期の力を込め、獣の鈎爪が 110へ
2017-01-21 15:47:01Bloodborne マスケッターのサーガ 110 アルフレートの胴を横から薙いだ。アルフレートは毬のように吹き飛ばされ、壁に頭を叩き付けられて動かなくなる。同時に、獣も倒れ、身体が渇き切ったかと思うと紫色の粉末になり、風に吹かれて消えた。 続く
2017-01-21 15:49:44Bloodborne マスケッターのサーガ 111 アルフレートの元へ走ると、彼はかすかにうめきつつも薄目を開けた。しかし、血の気のない顔からは、急激に生命そのものが蒸発して行くのが嫌でも分かった。 「これまでのようです……。どうにか、獣は倒せましたね……」 112へ
2017-01-23 19:59:52Bloodborne マスケッターのサーガ 112 最期に言い遺す事はないか、と聞くと、アルフレートは口をかすかに動かした。 「ビル……ゲン……ワース……学長……湖に、そのま、ま、飛び込み……眼を持つ……ロマ……」 口が半開きのまま動かなくなり、 113へ
2017-01-23 20:03:22Bloodborne マスケッターのサーガ 113 力なく頭が横に倒れた。そして、彼の亡骸は、目を閉じてやる余裕もないまま虹色の光に包まれ、消えた。 俺は、改めて室内を見回した。祭壇のすぐ前に、人形が待つ館へ出入りする為のランプが出来ていた。俺はランプに近より、 114へ
2017-01-23 20:07:35Bloodborne マスケッターのサーガ 114 手をかざした。ランプがひとりでに灯り、俺は瞬時に館に戻った。 相変わらず、静かなたたずまいだった。人形は、行儀良く立ったまま俺を迎えた。 人形に向かって左側の奥に、上品な水盤がある。数体の矮小な骸骨が、 115へ
2017-01-23 20:10:38Bloodborne マスケッターのサーガ 115 俺を招いていた。迷わずそちらへ行き、旧市街の塔で奪った槍つきの銃のペンダントを見せる。骸骨の一人が、本物を出してくれた。巨大な槍に寄り添うように付け加えられた散弾銃。普段は、折り畳んで手槍として使う。 116へ
2017-01-23 20:14:01Bloodborne マスケッターのサーガ 116 水盤から離れ、館に入り、これまで使っていた斧を壁際にある長持ちの中にしまった。更に、館のすぐ脇にある別な水盤から発火ヤスリを幾つか受け取る。ゲールマンはおらず、人形も館には入って来ないので、衣服もその場で着替えた。 117へ
2017-01-23 20:18:17Bloodborne マスケッターのサーガ 117 教会と手を組んで、旧市街を焼き払った狩人が身に付けていた衣服だ。ひどく煤けているが、頑丈な上に火に強い。旧市街で見つけたものだ。 攻防両面が充実し、俺は、館を出て聖堂街の集会場に移った。室内を見渡すと、 118へ
2017-01-23 20:24:53Bloodborne マスケッターのサーガ 118 取り立てて変わった事はないように思える。しかし、アルフレートの助言を思い出し、隣の建物に続くドア……以前は施錠されていた……を試すと、あっさりと開いた。誰かが鍵を使ったのでもなし、血に渇いた獣の持つ血の神秘で 119へ
2017-01-23 20:28:42