承前ロール2

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トト@TYA中邪 @glnewto

【後/危機/調査点3】トト@中立は領内のパンドラのアジトで倒れ伏す人を見つけた。怪しいやつだと処刑するならSP+6、生かして事情を聞くなら《改心した闇魔法師》か《パンドラを追う者》を入手する。 appli-maker.jp/analytic_apps/… 開始前の試し引きです。

2017-02-03 01:02:16
トト@TYA中邪 @glnewto

(承前ロール2) 《ゆきずり》 黄昏時だ。もうほとんど空も暗くなり、紺色に星が瞬き始めた。 宿に引き返そうと、人の少ない通りを選んで歩いていた。 小さく、本当に微かな、呻き声のようなものを聞いた気がした。 別の物音を聞き間違えたのかもしれない。

2017-02-03 01:14:03
トト@TYA中邪 @glnewto

とはいえ急ぐわけでもなし、不発だったならそれでいい。 そうでなかったなら。その先も、あまり深く考えてはいなかった。 多分こちらからと、更に道を外れて路地裏へ。 続きはその先の、窓が割れた廃墟へと進む。 錠も壊れていて、扉はボロい飾り同然だ。そっと押せば簡単に中へ入る事ができた。

2017-02-03 01:25:00
トト@TYA中邪 @glnewto

カウンターと、倒れたりシートが破れたりの椅子が何脚か。丸テーブルも欠けたり穴が空いたり折れていたり。 手荒い喧嘩の後とはまた違うひどさだった。 ぎぃぎぃ音を立てる床板に眉を顰めつつ、店の中を見て回る。 軋む音とは別の、はっきりと、声を聞いた。

2017-02-03 01:25:37
トト@TYA中邪 @glnewto

カウンターの奥で壁を背に、腹部をぐっしょりと赤黒く湿らせた人が、歯を食いしばり、痛みに耐えていた。 足音か気配に気がついたのか、薄く目を開ける。 それだけだった。 手を伸ばすでも、すぐ傍に取り落とした武器を拾うでもない。 目を細めて何かを判別しようとしているようだ。

2017-02-03 01:26:47
トト@TYA中邪 @glnewto

私が敵なのか味方なのか、そもそも何者なのか判断しかねているのだろうか。 失血量で視界も朧なのかもしれない。 放っておけばいずれ致死量に達するのかも。 ……関わるのは得策ではない。服も汚れるし、余計な嫌疑をかけられても迷惑だ。 踵を返して見なかった事にすればいい。

2017-02-03 01:41:06
トト@TYA中邪 @glnewto

(本当に?) ……わかっている。否だ。 それでは何も、あの日から動かない。 溜息をついて、意識があるのかもわからない半死半生のその人を支えた。 「……あ」 廃墟の外へ出てから気付いた。 この街の事もろくに知らない。 診療所に運ばなければどうしようもないのに、その場所がわからない。

2017-02-03 01:43:10
トト@TYA中邪 @glnewto

……重いし、血生臭いし、やっぱり放っておこうか。 廃墟の中よりは人目につく。暫くすれば別の誰かがどうにかしてくれるかもしれない。 服の脇腹あたりにシミがうつり始めていた。……本当に迷惑だ。 けど。ここで放り出したら、ここまで連れ出した分の労力はゼロになる。 なかったことに、なる。

2017-02-03 01:43:55
トト@TYA中邪 @glnewto

それが、一番癪だった。 街の様子を伺いながら運んでいたら、数奇な人が手を貸してくれた。 どうにか目的地にたどり着き、その人も一命は取り留めたらしいが、結論は大損だった。 翌日、街の領主が私のところへやってきて、あの人とはどういう関係かをしつこく聞かれた。 半日ほど、尋問同然に。

2017-02-03 01:45:19
トト@TYA中邪 @glnewto

「知らないものは知らない」を通した結果、漸く信じてくれたのか解放されたのは良いものの 買い物はできない人の目は煩わしい、宿代を払って早々に出て行かざるを得なかった。 治療所にいた筈のその人がどうなったのかなど、知る由もない。 気に入っていた服が汚れただけ。一人の命が長引いただけで

2017-02-03 01:47:39
トト@TYA中邪 @glnewto

良いことだったのか悪いことだったのかはわからない。 渋々一晩野宿しながら、カップ一杯のお茶を用意する。 鉄錆のような黒い風味の混じる一杯だった。 パンドラという名前、組織の存在を知ったのは、それからまた暫く後のことだ。 ……思想は噛み合うのかもしれないと、薄っすら考え始めた。

2017-02-03 01:49:34