- fuzzwall02
- 574
- 1
- 0
- 0
フジウズ
@fuzzwall02
『長波姫(かみながひめ)』あらすじ:得体の知れない海の生物を母が食すことで産まれたとされる長波姫は、『本当は工廠に持ち込まれた海の悪魔が人の形の鋳型にはめられたのではないか』とも噂され、恐れられ、今日も灯台塔に一人閉じ込められています。
2017-04-12 21:22:36
フジウズ
@fuzzwall02
通りがかった旅人は、長波姫の艶やかな髪を目にし、言葉を交わして快活なひととなりを知り、やがて姫に恋焦がれるようになります。長波姫はそんな旅人に、自分の長く伸びた髪を垂らし、掴んで登ってくるよう促します。
2017-04-12 21:23:28
フジウズ
@fuzzwall02
意を決した旅人が髪を掴むと、その髪――触手の刺胞から毒が射ち込まれ、痙攣した手は触手を硬く握ったまま放さなくなってしまいます。抵抗もままならず、網にかかった魚のように塔の上に引きずられていった旅人は、それまで見上げていた窓から、初めて、塔の中身を目にすることになります。
2017-04-12 21:24:07
フジウズ
@fuzzwall02
そこは既に、姫の髪から伸びた肉色の触手が縦横無尽に根を張る異界でした。もとは無機物であった塔は、言ってみれば長波姫という生き物の「骨格」として、生命を得たのです。地上に生を得た珊瑚虫は、故郷の海中のように艶やかに花開く用意を整えていたのです。
2017-04-12 21:24:47